GOVAP便り

プノンペンからモンドルキリに、その前はTAY NINH省--AN GING省--HCM市GO VAP

通貨リエルの歴史を振り返る

2012-07-13 00:07:15 | 経済

日本円やベトナム・ドンからの両替で銀行や両替店へは毎週のように足を運んでいます。最近は殆どUSドルへ両替し、カンボジア・リエルに替えるのはせいぜい25ドル=10万リエル程度で済ませるようになりました。

スーパーの価格表示もUSドルだし、プノンペンではガソリンスタンドのメーターもドル建てに設定されているのでUSドルで支払う方が計算も楽。2万リエル紙幣は5ドル弱の価値ですが、使う機会が滅多にありません。5千リエルと1万リエル紙幣は色柄が似てるため間違えることもしばしば。5万リエルや10万リエル紙幣もあるそうですが、見たことがありません。

工場の労働者賃金もドル建てのようです。公務員給与はどうなんでしょう?

             

ベトナムではドル建て表示の営業は禁じられ、罰金対象とまでされているのとは対照的なカンボジア通貨状況です。国家中央銀行が発行しない外国紙幣がこれだけ流通するというのは未だに釈然としないものがあります。とは言え、ベトナムでも高額商品はつい最近までドル建てが一般的でした。

古くて破損した紙幣を回収して処分するなんてことは外国紙幣に対してできないわけだし・・・。もっともベトナムでは自国通貨でありながら破損紙幣は銀行に手数料を払わねば交換して貰えず、ババ抜きのババの如く相手に気付かれないように使っていましたが。

以下のプノンペンポスト紙に掲載された記事で幾分事情も分かったような気になりました。

                「Looking back at riel history」

カンボジア経済は過去12年間、平均年率複利5%を超える成長を遂げてきた。

この成功にもかかわらず、経済は基本的に農業にあります。住民の約58%が農業に従事し、サービス分野の従事者は26%、工業分野は残り16%である。

1999年に平和が回復し、内戦が過去のものとなってから、被服産業の拡大と共に観光業が急速に発展した。雇用の5%を占めるに過ぎないにも関わらず、被服産業の製品は国の輸出の70%を占めている。

この成功の中で、しかしながらカンボジアは安定的で信頼できる通貨システムを持っていない。

カンボジア・リエル(KHR)は、国家の公式通貨である。しかし、法定通貨としての使われ方は全国的に一様ではない。

様々な単位で受け入れられ、使用されてはいるが、依然として現地レベルでUSドルと競合している。

USドルはいまだに長い間、循環的に広く流通しており、カンボジアの非公式な第二通貨とみなされている。

リエルには変化に富んだ過去があるが、少なくとも12回発行されたことがある。
ヨーロッパ諸国は19世紀末まではジャングルを開発することはなかったが、フランス植民地主義がインドシナを獲得してからは「ピアストル」が、より一般的であったスペインの「pieces of eight」とメキシコのペソとの等価として現地通貨となった。

最初のリエルが登場したのは1953年。カンボジア、ラオス、ベトナムの現地通貨の要求をアピールするためにフランスがピアストルに等しいものとして発行した時である。

リエルは100センチームに分割され、「セント」と略記されるが、1959年には100「セン」と変更された。

1975年から1979年のクメールルージュの時代には新しい紙幣が印刷はされたが、発行されなかった。

政府機関が崩壊していたためベトナム占領下の1980年に新リエルが導入されるまで目に見える通貨システムは存在しなかった。

多くの場合、政府は実際のところ農村地域の住民に通貨をただで与えた。交換すべき前の通貨がなかったからである。

1993年に国連の平和維持部隊が到着すると、彼らは経済を刺激するために大量の米ドルを注入することを決定した。

今日、USドル紙幣が支配的であり、USコインは導入されていないためリエルはしばしばUSドルの小額支払のために使われている。

振興国経済における「二つの通貨」システムの存在は再建段階にあっては世界的に珍しいものではない。

同様の措置はラテンアメリカ、キューバ、アフリカそして中国にさえも歴史があった。IMFはこれら二重通貨制度を「ドル化」として言及している。

実際の通貨循環から「ドル化」の度合を測ることは難しいが、外貨預金対現地通貨を推測することは可能だ。

カンボジアにおいて、USドルはこの通貨指標の80%を占める。

「ドル化」は一般的な現象である。幾つかの報告では、90ヶ国もが市場の発展を理由にこの政策を用いている。

この二重措置を不要とすることはコストが掛かり困難があるが、しかし財政・通貨政策が時間を掛けて信頼を得る時には可能である。

http://www.phnompenhpost.com/index.php/Business/        


最新の画像もっと見る

コメントを投稿