以下、私の知り合い、資本主義君からのお手紙です。他人からの手紙をネットに上げるのはどうかと思いましたが、問題が問題ですし、資本主義君の言い分も分かるので、ひとまず世に知らしめるという意味で、こちらに掲載することにいたしました。
============================
こんにちは。いつもお世話させていただいています、資本主義です。
今までは忙しすぎて、なかなかテレビなどを見る時間がなかったのですが、最近、ちょくちょく時間が空くようになりました。そこでこの間、久しぶりにテレビを見ていたら、とあるコメンテーターの方が、私のことについて話していました。まあ、社会全体が大変だという話だったのですが、そのなかで「歪んだ資本主義」って言ったんです。正直、耳を疑いました。
-えぇ?何でそんなことを言うんですか?!-
そりゃ、たしかに私は、完璧ではないと思います。いろいろと問題もあるでしょう。しかし、それでも昔、共産主義さんと私と、どちらが良いかっていう話のなかで、「私の方が良い」って言って選んでくれたじゃないですか。それに何だかんだ言いながら、今日の人間さんたちの繁栄は、それなりに私が頑張ったからだという自負もしていました。それなにの・・・それなのに・・・。
そもそも、私を生み出したのは人間さんたちです。そして、私を使うのも人間さんたちです。「歪んだ資本主義」という話が出るに至る議論をじっくり聞いていると、単純な話、私を利用している人間さんたちの方が歪んでいるだけで、私はちっとも悪くないのではと思うのです。ただ残念なことに、私には、言い分を主張するだけの口がありません。それをいいことに、人間さんたちが自分たちの問題を棚に上げて、私ばかりを一方的に悪者扱いしているような感じを受けてしまい、それが悔しくて、悔しくてたまらないのです。
ごめんなさい。こんなことを愚痴っても仕方ないですよね。でも今、社会で起こっている問題を「歪んだ資本主義」などといって、私のように、人間さんたちが生み出した仕組みのせいばかりにするのではなく、人間さんたちが自分自身を見直してくれたら、もっときちんと良い答えが見つかるのではないかと思うのです。
生まれてきた以上、私は私なりに、これからも精一杯、人間さんたちのお役に立てるよう頑張っていきたいと思っています。なので、もしできれば、人間さんたちにも、もっともっと頑張っていただくようにお伝えください。よろしくお願いします。
資本主義より
追伸、今年も残り僅かとなりましたが、来年もお互いに良い年になるといいですね。
============================
うん?あ?こんな手紙、届くはずありませんか・・・。いやでも、もし資本主義君に口があったら、こんなことを言うのではないかと思ったのです。自分たちのことを棚に上げて、物申す口がないもの(仕組みや制度)へ責任をなすりつけるのは、けっして良くないことなので、それを自分自身への戒めともしつつ、今後の新しい社会作りに励んでいきたいと思います。