2010年の尖閣事件後、中国はレア・アース等の輸出規制で日本に圧力をかけてきた。
トウ小平は1992年当時、「中東に石油あり。中国にはレア・アースあり」と語り中国の世界戦略のキーの一つと位置づけた。しかし、この輸出規制が日本の反攻を呼び込んだ。
代替製品の開発や調達先の多様化を図り、昨年の中国の輸出量は16,000t余りであった、これは中国政府が許可する30,000t余の半分近くしかない。この中国政府の数値も日本に圧力かけるための数値であった。
WTOの判断が中国に有利に出そうであったがこれも日米欧の勝利に終わった。中国には虚しい結果となった。そして現在の中国では多くのレア・アース関連企業が倒産している。
また、幾ら戦略物資だからと言っても購入する者がいなければ宝の持ち腐れである。資本主義の初心者たる中華人民共和国はこの事が理解できないようだ。20世紀末のアルミと基本同じである。国際市場から相手にされない品質のアルミを生産する精錬所が200ヶ所以上中国にはあった。日本は6ヶ所である。在庫の概念が根付かないようだ。
更にレア・アースの国際価格の下落が続いており、外交カードを自らの失策で失う結果となっている。今更であるが、中国の業者は「日本企業にもっとレア・アースを調達してもらいたい」などと取引拡大を懇願してきているというのは、虫が良すぎる。
幾ら価格が安くてもチャイナリスクが明確化した現在、製造業の中国進出は後ろ向きである。小売業やサービス業は別であるが、中国が欲している製造業は日本だけでなく多くの国が中国から脱出している。人件費の高騰からすれば中国は決して魅力的な国でなくなったということである。同じ人件費ならばベトナムの方が丁寧で几帳面な仕事をする、更に未だベトナムの人件費の方が安価である。
日本の経済的な反攻は地域経済そのものを破壊する、レア・アースで支えられていた企業城下町は悲惨なようだ。それも多数出現した。今後中国から世界中の企業が逃げ出す事が予想されるが中国社会はその失業者を吸収できるのか?