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「紙谷悦子の青春」こんな時代もあったという記憶を風化させない

2006-09-17 01:15:34 | 邦画
「紙谷悦子の青春」★★★★★オススメ
原田知世、永瀬政敏主演
黒木和雄 監督、2006年

黒木監督の遺作、
最近「父と暮らせば」を見たばかりで、
その前は「美しい夏キリシマ」を見た。

後者があまりにストレートな
少年の物語だったので、
なんだか次の作品を敬遠していたが、
先日前者をTVで見て、
「映画館で見たかったな」と
思ったので、今回は劇場へ。

この映画、
「スーパーマン」や「X-MEN3」を
見た後だと、
スローな展開にイラつくかもしれない。

だったら見てどうだったかと言えば、すごく良かった。

病院の屋上でベンチに座る老夫婦、
遠くからふたりを写し、ふたりはとりとめもない話しを
ゆっくりと繰り返す。

そして場面は戦時中の彼女の実家の食卓へ。

何げない会話、舞台劇のようにも感じるが、
それにしてもひとつひとつはこれと言った
話題を提供するでもなく、
日常の些細な事を家族は延々と話すが、
ちっとも退屈しないのは
誰にでも経験のある、日常のリアリティを
感じるからだろう。

戦地に赴く兵士、
生きては戻って来ないことをお互いが分かっている。

昔から好きだったお互い同士は、
そのことをお互いが承知しながらも、
最後の最後まで抱き合おうとしない、
手も触れない。

これはこうして書いてしまえば
そういう時代だっただとか、
そんなものだとか思うが、
このシーンはホントすごいシーンだった。

息を止めて二人に見入っていた。

そして強烈に今のこのボケボケの平和な暮らしを
大切なものだと、いまさらながら強烈に実感した。

きっとそのことで監督の意志は伝わったんじゃないかな。

しかし現代はまた自由すぎる不自由さで
皆がんじがらめになっているのかもしれない。

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★冒頭のシーンは二人は80過ぎのはずだけど、それは
ちょっと見えなかったな、でもそんなことどうでも良い。


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