三嶋亭 本店
京都市中京区寺町通三条下ル桜之町405
TEL 075-221-0003
定休日 水曜日、不定休
創業明治6年、日本のすき焼店の草分け的存在として140余年にわたる歴史を誇り、
有名人や海外の間でも知られるようになった。
京都寺町三条の賑やかな界隈に建つその姿は
まるでタイムスリップしたかのような趣きのある店構え。
京都らしい京町屋造りの店構えはこの辺りのランドマークでもあり、
その佇まいで歴史を感じさせる。
シンボルといえる行灯に瓦屋根、京都らしい風情が溢れていますネ。
この本店では精肉、生総菜の販売コーナーもある。
店の外看板には本日の奉仕品の札が出ていた。
このコーナーもどことなく文明開化の雰囲気が漂っていましたネ。
数寄屋造りの店内に足を踏み入れると、四季折々の表情を見せる坪庭や欄干、
天井、格子など、そのほとんどが明治の創業当時のままになっており、
お料理はもちろんですが、華やかかりし文明開化時代の歴史と
伝統を感じる空間が広がっている。
御公家侍に仕えていた初代三嶋兼吉は、その妻・ていと共に長崎で牛鍋を学び、
明治6年に京に戻り現在の地、寺町三条で三嶋亭を創ったのが当店の始まり。
現在は五代目が頑張っているそうだ。
三嶋亭さんは個室が18室もあり、全部で180席もある大きなお店だ。
今回は京都の雰囲気を感じながら文明開化の香り漂うすき焼が食べたくて
敢えてここ大広間を予約した。
この大広間は天井の網代、欄間など明治の風情を残し、
畳席でのすき焼は、今、京都にいるなーと感じさせてくれる。
テーブルは朱色の漆塗りのようなテーブル、
そして炭火に近い効果が得られる電熱器が使用されている。
このテーブルも郷愁に浸る空間であった。
また、大広間の中央天井に設けられている照明器具の存在感がすごい。
この工芸造り枠は番浦省吾氏の作品だとか。
こちらが三嶋亭さんのおしながき。
コースはすき焼、オイル焼、水だき、季節限定(11月~2月)としてみぞれ鍋がある。
お値段も立派で月コース15,730円だ。
因みにお昼のコースは7,986円とお得な設定。
そしてコースをよく見るとなんと円の文字が戦前の圓の漢字を使っているのには驚いた。
こちらは中国語、英語バージョンのメニュー。
コロナ前は多くの外国人が日本の味、すき焼に舌鼓を打っていたのだろう。
当店の調理方式はすべて着物姿の仲居さんが調理をしてくれ、
お客は盛られた料理をいただくだけという贅沢な食べ方。
その分しっかりとサービス料は取られている。
こちらはお通し。
何だったのかすっかり忘れてしまったが、牛肉と野菜の和え物みたい。
器もなかなかシンプルでいいですネ。
それでは三嶋亭のすき焼ワールドの始まり始まり!
配膳台に置かれた、まずは大きくて肉の厚み、
そしてサシが入った牛肉(この日は熊本県産)。
付け合わせの野菜、豆腐など。
そして卵を割った取り皿。
昔から思うのは関西風のすき焼の仕込み方は最初に鍋に砂糖をまぶしていく。
昔行った明治村で食べた牛鍋がこのやり方ですごく美味しかったことを思い出した。
砂糖をほどほどに熱した上に牛肉を入れ、
長い伝統の中で五代目がさらに進化させ完成させた秘伝の割り下を入れる。
これが小分けされた第1回目のすき焼バージョン。
旨そう!
いや、すごくマイウーなのです。
次に野菜バージョン。
もちろん長ネギは九条ネギです。
次に第2回目の野菜すき焼バージョン。
ある意味、口直しになる。
次に第3回目のバージョンは牛肉の上に三つ葉を添えた料理法。
これもサッパリ系で乙な食し方だ。
ごはんと漬物、肉そぼろのセット。
最近名店で感じるのはご飯の味と香りのこだわりだ。
当店もそれを感じた。
最終のデザートは柑橘系の逸品。
これ美味しかったナー。
なぜかこの旅ではこの系統のデザートがあと2回続いたのは偶然か。
三嶋亭のある寺町通りと三条通りの交差点風景。
この交差点は桃山時代以来、段賑を極めたところである。
三条通りは平安京の三条大路にほぼ該当し、
古くから東国、西国に通ずる道路として重視された。
寺町通りは平安京のほぼ東京極大路に当たり、南北を通貫していた。
中世には戦乱によって衰退していたが、
天正18年(1590年)から始まる豊臣秀吉の京都大改造によって道路が修復・再生された。
主として、洛中に散在していた諸寺院がこの通りの東側に強制的に
移転させられたので「寺町」の名が付けられたが、
西側には多くの商店街が軒を連ねた。
数珠屋、位碑屋、石塔屋、仏師、書店、筆屋、
楽器屋、人形屋、紙表具屋、扇屋、白粉屋など、
宗教・文具・装飾関係の店があり、多くの人々を誘った。