あるべき時に、ないものは・・・?
「パパ疲れたね。」
「もう少し頑張ろう。」
「しんくんちょっとお休みしたいんだよね。」
考えてみれば、5歳の彼には少しハードな冒険だ。かえってよく頑張っている方だ。
考えてみれば、僕だって疲れた。いったい家に帰れるんだろうか?
こんな気持になるのは、小学校6年生の時、館山の岩場の海岸で、
兄弟3人で迷子になった時以来だ。
それに、いったい今何時なんだ?あんまり遅くなると、妻に怒られる。
こんなに汚してしまったので、「風呂場直行」は、まぬがれまい。
あー、それはそうと、本当に帰れるのだろうか?
「そうだな、少し休むか?なんかリュックに食べる物はなかったかな?」
僕は腰を下ろし、リュックをひざの上にのせると中を調べた。
あーだめだ。やっぱりお茶しか入ってない。仕方がないので2人でお茶を飲み、2人で並んで壁にもたれた。
「静かだねー。」思わず「あーっ!!」と叫びたくなる。
「しんくんお腹空いちゃったなー」
「パパだって空いてるさ。」
「ママご飯作ってるかな?」
「そりゃ作ってくれてるさ。早く帰って一緒にご飯食べよう。」
「でもさあ、どうやって帰るの?パパ道知ってる?」
「そ、そりゃあ知ってるさ。パパが道をいっぱい知っているのを、しんくんだって知ってるだろう?」
さ~って、どうしたものか。
僕はリュックを背負い、彼をひざの上に乗せた。
そして、「ほ~ら、くすぐられると元気が出るぞ!!」と、彼をくすぐった。
かれは、妻と同じでくすぐられるのが非常に嫌いだ。
まあ、「好きな人」っていうのもあまりいないと思けど・・・。
子供をくすぐるっていうのも、まあ定番といえば定番の遊び。
くすぐり続けると、「まいった、あはは、まいった!!」でだいたい終わり。
僕も小さい時良くやられたな、いろんな大人に・・・。
ところが、彼が嫌がって思いっきりのけぞった時だった。
頭が僕のあごに当たりそうになったので、とっさに、よけようとして僕ものけぞり、後ろの壁に背中ごとぶつかった。
その時だった。何の変哲もない壁だったのに、
ぶつかった途端後ろに倒れた。というより「開いた」と言ったほうが正確かもしれない。
僕らは、何の選択権もないまま、足を上に向けてすべりだいをすべる様に、お腹に彼を乗せたまま
どんどん滑り落ちていった。
僕らは無言のままだった。あまりの驚きで声がでないっていうのは、本当にあると、その時知った。
ただ心の中で、「インディジョーンズの冒険なら、絶対1回は、出てくるシーンだ。」と、
ぼんやり思いながらも、どんどん滑り落ちていった。
「パパ疲れたね。」
「もう少し頑張ろう。」
「しんくんちょっとお休みしたいんだよね。」
考えてみれば、5歳の彼には少しハードな冒険だ。かえってよく頑張っている方だ。
考えてみれば、僕だって疲れた。いったい家に帰れるんだろうか?
こんな気持になるのは、小学校6年生の時、館山の岩場の海岸で、
兄弟3人で迷子になった時以来だ。
それに、いったい今何時なんだ?あんまり遅くなると、妻に怒られる。
こんなに汚してしまったので、「風呂場直行」は、まぬがれまい。
あー、それはそうと、本当に帰れるのだろうか?
「そうだな、少し休むか?なんかリュックに食べる物はなかったかな?」
僕は腰を下ろし、リュックをひざの上にのせると中を調べた。
あーだめだ。やっぱりお茶しか入ってない。仕方がないので2人でお茶を飲み、2人で並んで壁にもたれた。
「静かだねー。」思わず「あーっ!!」と叫びたくなる。
「しんくんお腹空いちゃったなー」
「パパだって空いてるさ。」
「ママご飯作ってるかな?」
「そりゃ作ってくれてるさ。早く帰って一緒にご飯食べよう。」
「でもさあ、どうやって帰るの?パパ道知ってる?」
「そ、そりゃあ知ってるさ。パパが道をいっぱい知っているのを、しんくんだって知ってるだろう?」
さ~って、どうしたものか。
僕はリュックを背負い、彼をひざの上に乗せた。
そして、「ほ~ら、くすぐられると元気が出るぞ!!」と、彼をくすぐった。
かれは、妻と同じでくすぐられるのが非常に嫌いだ。
まあ、「好きな人」っていうのもあまりいないと思けど・・・。
子供をくすぐるっていうのも、まあ定番といえば定番の遊び。
くすぐり続けると、「まいった、あはは、まいった!!」でだいたい終わり。
僕も小さい時良くやられたな、いろんな大人に・・・。
ところが、彼が嫌がって思いっきりのけぞった時だった。
頭が僕のあごに当たりそうになったので、とっさに、よけようとして僕ものけぞり、後ろの壁に背中ごとぶつかった。
その時だった。何の変哲もない壁だったのに、
ぶつかった途端後ろに倒れた。というより「開いた」と言ったほうが正確かもしれない。
僕らは、何の選択権もないまま、足を上に向けてすべりだいをすべる様に、お腹に彼を乗せたまま
どんどん滑り落ちていった。
僕らは無言のままだった。あまりの驚きで声がでないっていうのは、本当にあると、その時知った。
ただ心の中で、「インディジョーンズの冒険なら、絶対1回は、出てくるシーンだ。」と、
ぼんやり思いながらも、どんどん滑り落ちていった。