下北沢のApollo(2020/8/29)。暑くてまぶしい夏の昼間に暗くて涼しい地下の部屋。
Miyama McQueen-Tokita マクイーン時田深山 (十七絃箏)
深山さんはプラスチックを買わない・使わないということをライフスタイルに取り入れているのだが、やむなく出てしまったプラごみを使った即興を行った。これが、最初の「Shiroi Yoru」(『Sonobe』にも収録)における低音をやさしく撫でる感覚とはずいぶん変わり、驚きを与えてくれるものになった。左手で異音を出しつつ、プラや右手を使って弦に触れる。やがて両手で弾きはじめるのだが、しばしば左手で弦を押しては音を歪ませる。その結果として一音がとても強い。そしてある領域を基盤として左手で高低を行き来した。
セカンドセットはビョークの「The Anchor Song」。越生の山猫軒でリコーダーのライアン・ウィリアムスとデュオで演奏したことを話に聞いていて、興味津々だった。ビョークとは違う響きを持つ「I live be the ocean...」の呟きとともに箏の最低音を効果的に使っている。なんどか左手首で弦の振動を止め、まるで喉がうぐっと鳴るような雰囲気も出している。竜尾を撫でる音は声の艶。(深山さんがビョークの大ファンだと知ったのはついこの間のことである。)
続いて即興。高音から中音域を流れるように奏で、左手で2本の弦をつまみあげる。この動きによって、単の響きと複の響きとが混じりあって実に良いあんばいになった。ときに全音域を跳躍するようにしてジャズのバップも思わせるノリになった。
Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4
●マクイーン時田深山
マクイーン時田深山@下北沢Apollo(2020年)
アンノウン・ミラーズ『Your Ten Is My Twelve』(-2020年)
『今・ここ・私。ドイツ×日本 2019/即興パフォーマンス in いずるば』(JazzTokyo)(2019年)
喜多直毅+マクイーン時田深山@松本弦楽器(2017年)