メアリー・ダウマニー+マイルス・ブラウン『The Narcoleptor』(Nosferatunes、2018年)を聴く。
Mary Doumany (harp, voice)
Miles Brown (theremin)
30分弱のサウンドにおいて、このふたりがみせてくれる空間の拡がりに感嘆する。
テルミンは、(当然のことだが)サウンドへの宇宙的な味付けなどではなく、全体を支配するエーテル流の創出器として機能している。それが大きく揺蕩うなかで、メアリー・ダウマニーのハープが仕掛ける響きもまた自由に泳動し、音が届く空間をさらに拡張している。ヴォイスとのつながりも良い。
はじめてメアリーさんを知ったのは、たしかFtarriにおいてである。観客として隣に座ったメアリーさんは、初対面のわたしに、演奏が終わるなり「いまかれらは熱い砂漠を耐えて歩いていた」とか「いまかれらは細い峰を落ちないように歩いていた」とか幻視した内容を話してきて、おもしろい人だなと思ったのだった。音楽はもっとおもしろい。
メアリーさんはまもなく再来日する。