工事現場の横を道に沿って左手へと進んでいくと、遮蔽シートが途切れ、そこからお寺のような屋根を持つ建物の鉄骨構造体が見えました。
そこからさらに進んで、裏手の丘の方へと上がっていく道へと入り、その坂道の途中から見下ろすと、さきほどのお寺のような屋根を持つ建物の鉄骨構造体があり、その向こうに気仙沼港とその市街が見えました。
その作業用パイプで囲まれた建築途中の建物の左横に建設されているのが、「磯貝水産」の「港町一丁目店」であり、3階建ての鉄骨部分だけが組み上がっています。
その「磯貝水産港町一丁目店」と「港町一丁目芝居小屋」の鉄骨構造帯の間から、浮桟橋がかつてあり、木製遊歩道が延びる港べりの海岸が見えました。
つまり、「磯貝水産港町一丁目店」も「港町一丁目芝居小屋」も、港のほんそばにあり、港や市街を見渡せる場所に位置しているのです。
おそらくこの建設工事現場の一帯には、かつて磯貝水産関係の建物があったものの、先の巨大津波の襲来によってその建物群は損壊し、瓦礫と化してしまったのでしょう。
その跡地に、「一丁目店」と「芝居小屋」が現在建設中である、ということになります。
私が立っている舗装道(坂道)は、裏手の丘の上にある「気仙沼プラザホテル」へと続いており、その「気仙沼プラザホテル」のやや離れた駐車場がしばらく進むとあって、そこからも先ほどの工事現場や気仙沼の市街地、そしてその前面に広がる港の入江を見渡すことができました。
気仙沼はこの「港町一丁目」付近の中心地も津波被害が深刻ですが、前回(昨年の冬)に車で通過した時に見たように、南気仙沼一帯における巨大津波やそれによって生じた大火災によって受けた被害が深刻です。
津波や火災被害地は、あらかた瓦礫が撤去されて更地となっていますが、その更地の状態は昨年の冬から8ヶ月余が経過しているものの、ほとんど変わってはいないように見受けられます。
その中で、「磯貝水産」の「港町一丁目店」と「芝居小屋」は、いち早く建設が進められており、その設計管理は、「伊東豊雄建築設計事務所」が行っていることがわかったわけですが、この地域の復興に向けて、この施設がどのような機能を果たしていくのか、あるいはどのような役割が求められていくのか、私には大変興味深く思われました。
続く
〇参考文献
・『文藝春秋 平成23年9月臨時増刊号』「吉村昭が伝えたかったこと」(文藝春秋)
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