鮎川俊介の「幕末・明治の日本を歩く」

渡辺崋山や中江兆民を中心に、幕末・明治の日本を旅行記や古写真、研究書などをもとにして歩き、その取材旅行の報告を行います。

幕末維新の風景と浮世絵 その3

2007-10-01 06:02:05 | Weblog
 東海道については『東海道五十三次』、中山道(木曾街道)については『木曾街道六十九次』、江戸については『名所江戸百景』が、その名所絵(浮世絵)の頂点としてあるならば、横浜については「横浜浮世絵」というものがあり、その頂点にいる絵師は五雲亭貞秀。「横浜浮世絵」なる名称はもともとはなく、かつては「横浜絵」とか「横浜絵図」とか呼ばれていたのが、昭和37年(1962年)に朝日新聞から発行された『横浜浮世絵』により定着したものらしい。著者は浮世絵収集家の丹波恒夫さん。丹波さんは、北前船で栄えた東北日本海側の港町、山形県の酒田の出身で、昭和44年(1969年)に、「横浜浮世絵」を含む約6,000点の浮世絵を神奈川県立博物館(現歴史博物館)に寄贈。この「丹波コレクション」は、神奈川県立歴史博物館の収蔵品の中の大きな柱になっているとのこと。先の歴史博物館で行われた広重展が、この「丹波コレクション」に拠っていることはすでに触れた通りです。この「横浜浮世絵」などの絵画をもとにして、横浜の歴史を読み解いた本に、宮野力哉(りきや)さんの『絵とき 横浜物語』(東京堂出版)というのがあります。「寒村から国際都市へと変貌する横浜の移りかわりを74の話題と絵で紹介」したユニークな本。それを読むと、「浮世絵」を含む絵画(特に風景画)が、「歴史資料」としてきわめて価値あるものであることがよくわかります。 . . . 本文を読む