goo blog サービス終了のお知らせ 

うてん通の可笑白草紙

江戸時代。日本語にはこんな素敵な表現が合った。知らなかった言葉や切ない思いが満載の時代小説です。

白い霧~渡り用人 片桐弦一郎控~

2013年01月10日 | 藤原緋沙子
 2006年8月発行

 御家改易により浪人となった片桐弦一郎が、口入れ屋の依頼で、渡り用人となり旗本家の建て直しに奔走するシリーズ第1弾。

第一話 雨のあと
第二話 こおろぎ
第三話 白い霧 長編

 嫡男・辰之助の道楽により、財政難に陥った旗本五百石・内藤家の再建のため、三月の間の用人を務めることになった片桐弦一郎。
 内藤家の門前には、取り立てにいきり立つ青茶婆のおきんの姿があった。
 やがて弦一郎は、放蕩息子・辰之助の心の隙き間を埋めると共に、青茶婆のおきんの凍てついた心をも氷解させていく。
 そして、舞台は内藤家の知行地・葉山村へと移り、村の発展のために尽力するのだった。

 心を鎖した人々が、弦一郎との出会いでやがて人間としての温かさを取り戻していく。そして、捕物あり殺陣ありの爽快時代小説である。
 だが、切なさのある内容も織り込んでいるが、独創性に欠ける感は否めず、片桐弦一郎の、剣の達人であり人品卑しからぬ設定が、このところ読みふけっている澤田ふじ子氏の「公事宿事件書留帳」、「祇園社神灯事件簿」、「足引き寺閻魔帳」シリーズを彷彿とさせる。
 もうひとつ、 片桐弦一郎の人間味が希薄な気がした。
 そして、殺陣シーンや事件解決などのタッチは、あっさりと流されており、剣の達人の件は必要だったのかと疑問を抱く。
 しかしながら、何より読み易い文体であり、1日掛からずにひと息で読んでしまった。
 当書は、シリーズ1作目なので、後続のシリーズは更にバージョンアップされていると思われる。

主要登場人物
  片桐弦一郎...通油町・古本屋大和屋の筆耕、神田松永町武蔵屋の店子
 おゆき...神田松永町・材木問屋・武蔵屋利兵衛の娘
 万年屋金之助...本石町・口入れ屋の主
 鬼政(政五郎)...北町奉行所定町廻り同心・宅間普助の小者(岡っ引き)
 お歌...神田佐久間町・煮売り屋千成屋の女将、鬼政の母親
 内藤辰之助...旗本五百石・内藤孫太夫の嫡男
 増川三平...内藤家の若党
 与吉...内藤家の中間
 おきん...馬喰町・青茶婆(借金取り立て屋)
 藤兵衛...内藤家知行地・葉山村・名主
 兼七...名主・藤兵衛宅の手代
 


書評・レビュー ブログランキングへ



にほんブログ村 本ブログ おすすめ本へにほんブログ村


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。