わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

シェークスピアは造語名人

2014-01-13 | 英語
 よく見ている面白ニュースサイトに興味深い記事が出ていました。キュウリみたいに冷静とか、釘のように正直とか、唐突だけど分かるような気がする比喩でも有名なあの人。もうここ400年近く死んでいるにもかかわらず、未だ世界一のコピーライターとして君臨するウィリアム・シェイクスピアさん。実は現在、普通に使われている多くの言葉も、元々はウィリーさん(勝手にニックネーム付けるな)が、でっち上げた造語だったそうです。以下は、The Huffington Postで紹介されていた、実はシェイクスピアが作って、今ではすっかり普通に使われてる言葉の一部です:

Gloomy: なーんかダルいわ~、鬱だわ~って時や、グズグズお天気に使う形容詞。シェークスピア随一の残酷劇、タイタス・アンドロニカスのタイタスが可愛そうな娘に掛ける言葉、「情けもなく広き陰鬱な森の中へと強いられたと?(Forced in the ruthless, vast, and gloomy woods?」ってのが原典だって。ところで、アンソニー・ホプキンスの出てた映画「タイタス」は、ひどい自己満足作品だったね。

Hurry: 急げ、って意味で、こちらも日常的に使います。私なんか毎朝、息子たちに「ハリー・アップ!!」って叫んでるよ。元は「Harry」らしいから、実はスペルミスだったりして?原典初出は、ヘンリー6世の「命、誉れ、土地、みな直ぐに失われる(Lives, honors, lands, and all hurry to loss.)」

Generous: 寛容な、とか太っ腹な、という意味ですが、元になったのは「高貴な生まれの」という意味のラテン語、「generosus」だそうです。確かに貴族社会では、生まれがよくて、お金が無いと、太っ腹にもなれないでしょう。今どきは、たっぷりの量を、という意味で「generous amount」とか言うので、高貴なお生まれとは全く関係なくなってますが。初出は、かの有名なハムレットの「どうか、その寛大な心をして、私を自由にして欲しい(Free me so far in your most generous thoughts)」というハムレットのレアティーズに対する台詞。アンタ、父ちゃん殺して、妹も殺したも同然の相手に、そこんとこ無罪放免でヨロシク~!ってのは甘すぎないか?と、思う一言ですね。

Critical: クリティカル・ヒットとか言いますね。致命的、とか必殺!って感じですが、クリティックスとなると批評家の意味。酷評や、非難することもクリティカル。色々な意味で使える便利な言葉ですが、ラテン語の「criticus」が元だそうです。オセロの「アタシの唯一イイトコは、何にでもいちゃもんつけるとこよ(For I am nothing if not critical.)」ってイアーゴーの台詞が原典。いるよね、そんなヤツ。ところで、オカマなイアーゴーって、ちょっと見てみたい。

Majestic:すっごくおっきくて、超すんばらしー!って意味で、「Majesty」って言葉をウィリーさんが勝手に形容詞にした模様。Majestic Theaterって劇場もあるよね。LA郊外のマジェスティック・シアターは歴史的建造物だそうです。行ってみたい。因みに、原典は「テンペスト」の「これってサイコーに壮大なビジョンじゃん(This is a most majestic vision.)」だって…って訳すると、いきなりテンペストがバブル時代の行け行けドンドン的な話に思えてくる。

Laughable: 笑っちゃよなー、って意味。「laugh(笑う)」に「able(出来る)」をくっつけた、お手軽造語で「トラブる」とか「ググる」ってのと同じようなノリ。私も一つ作ってみた:Googlable(ググったら出てくる)。ぐぐっても出ないから無駄(Ungooglable)なのが、シェークスピア戯曲の日本語訳。原典は「ベニスの商人」の「ネストルじーさんだって、シャレにもならんわー、もー笑うしか無いわーって言い切ってんのに~(Though Nestor swear the jest be laughable.)」です。

Lonely: オンリー・ザ・ロンリー♪って歌もありますが、寂しいという意味で日常的に使われている、この言葉もウィリーさん作でした。原典は、ウィリーさんの最後の悲劇「コリオレイナス」が追放されてローマを去る時の台詞、「沼地に潜む孤独な竜のように(Like to a lonely dragon that his fen.)」です。沼の下は金銀パールが入ってる♪(←それ、違う話)

Radiance: 私、化粧品会社の翻訳することが多いのですが、しょっちゅう出てくるのが、この「Radiance」でして、輝くお肌とかって訳してます。コピー風にって注文ついてる時には「真珠の輝きを秘めたお肌」とか。くすんだお肌の私は、報酬は現物支給でお願いしたい、って思ってます。これは、ラテン語の輝く(radiantem)からの造語で、「リア王」の「太陽の神聖なる輝きに誓って(For by the sacred radiance of the sun)」が元。お日様相手だけに、ラテン語で神々しい感じを演出してみたんでしょうか?

Undress: そのまんま。脱ぐこと。「じゃじゃ馬ならし」の「奥様、お洋服をお脱ぎになって、今すぐベッドへいらしてください(Madam, undress you and come now to bed.)」から。「じゃじゃうまならし」の舞台って、私は見たことがないし、戯曲を読んだこともない。あらすじ程度しか知らなかったんだけど、はよ脱いで、こっちゃ来い、って、実はエロい劇だったの!?ちょっと、それ見たい。

 以上、シェークスピアの引用の日本語訳は、なんとなく感じが掴んでいただけるように私(経済学部出身)がでっち上げたものなので、決して信用してはいけません。シェークスピアの台詞くらい、検索すりゃ出てきそうなものなのに、出ないんだな、これが!イギリスの推理小説では、シェークスピアの引用って、よく出てくるよね。日本のシェークスピア学者の皆様、ちょっと使えるシェークスピアのコジャレたセリフ集とか作ってください。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (まさこ)
2014-01-17 01:42:27
面白いですね。英語が母国語でない私達ですが、私も夫と話す時は、勝手に新しい言葉を作っていたりします。夫も意味は分かってくれるので、最近は直さなくなってしまい、自分でも本当に存在する言葉なのかどうなのか、分かっていません。なので、他の人と話す時は、気を付けないと、恥をかく事になります。

あ、今思ったのですが、新年のご挨拶、してなかったような...

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。^_^

今年もわにさんのブログ、楽しみにしてます。
まさこさま (わに)
2014-01-17 07:57:15
明けましておめでとうございます。
今年もお付き合いくださいませv

家族の中では通じる造語ってありますよね。
ただでさえ高校生は、ファンタスティコとかマジェスティコとかって変な事を言い出すので混乱してしまいます。ネイティブが言うならいいけど、私が言ったらただの間違いだよ~
それに、アメリカに長い日本人大友達とお喋りしていると、日本語と英語の合体した変な和洋折衷語が出てきちゃったり。

コメントを投稿