わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

旅する赤い犬 Red Dog

2013-03-02 | 映画・ドラマ・本
 オーストラリアの探鉱の街を舞台にした映画「レッド・ドッグ」を観ました。本国では2011年8月に公開され、多くの映画賞を受賞したそうです(公式サイト)。この映画に関しての前知識は全くなかったのですが、図書館で、このパッケージを見たら、たとえ内容が「死霊の盆踊り」より酷かったとしても、喜び勇んで借りるしか無いでしょう。だって見て、このパッケージ!犬のお話!しかも毛色、目の色、鼻の色が同じで、耳の形を別にすれば、ウチの子そっくりじゃありませんか!見つけた時には、心の中でわきゃわきゃ、大歓喜。

 1970年代終わり頃、オーストラリア版忠犬ハチ公、レッド・ドッグが、西オーストラリア中、果ては海を超え、日本にまで行って、死んだご主人を探し続けるお話。ヒッチハイクしながら、あちこちで様々な人のお世話になりながら旅すること2年。そして探鉱の町、ダンピアーに働く世界中から集った人々の心を結びつけた、ってお話は、映画では色々とドラマティックな脚色が交えられているとはいえ、実話を元にしています。オースラリアのハチ公とは言っても、湿ったところはなし、赤い砂埃の立つオーストラリアの砂漠のごとく、からっとした映画です。ストーリーは、年老いたレッド・ドッグの死によって終わりますが、悲しさよりも、むしろ「やっと大好きなご主人と一緒だね」と、ほんわかさせてくれるような… レッドが、とても充実した人生(犬生)を送ったからでしょう。

 本物のレッド・ドッグは元々、バス運転手の飼い主と共にオーストラリア中を縦横と旅していたそうですから、彼が放浪した本当の理由は、事故で死んだ飼い主を探し続けてたんじゃなくて、根っからスナフキン・スピリットな犬だったからかもしれないけど、国内の色々な所で旅するレッド・ドッグの姿が報告されており、当時のオーストラリアでは、かなり有名なわんこだったようです。今なら、ツイッターの「レッド・ドッグを見た!」報告サイトや、「レッド・ドッグ目撃報告掲示板」とか出来そうですね。なんと、港からタンカーに乗って、佐世保まで行った記録もあるとか。映画中にも、いかにもはめ込み画面ですが、レッドドッグが日本の漁村風景を通り過ぎていくシーンがあります。「じゃぱんなう」

 主役のレッド・ドッグを務めたのが、ケルピー犬のKOKOくん。あまりにも表情豊か、芸達者過ぎて、CGかと思うほど。上にリンクを貼った公式サイトの下の方に、KOKOのスクリーンテストのクリップがあるので、それだけでも見てみて!
唸ってみて(がるるる)
悲しい顔 (うなだれて、耳もショボン)
真剣な顔 (きりっ!)
困った顔 (小首を傾げて困った顔)
別の方に首かしげてみて (困った顔のまま指示に従う)
やっぱ元のほうがいいな (逆方向に首を傾げる)

と、床を転がりまわりたくなるほどの可愛さ!KOKOくんは元々は黒犬なのですが、監督が「言っとかなきゃなんないだけど、赤毛になってもらわないと」(えっ?!)「大丈夫、自然な染色剤を使って、安全だから」(マジかよ~)「なんたって、映画の題名からして『レッド・ドッグ』だからねぇ。終わったら、ちゃんと、元の色に戻すから」(No~!!!)

 レッドの旅の終着点は、飼い主と最後に過ごした探鉱の町、Dampier。これがオーストラリア訛りのせいか、「Dumper(ダンパー=ゴミ箱)」に聞こえて、人生の吹き溜まりなのね~、ってな感じですが、この街で愛されたレッド・ドッグは、自分の銀行口座を持ち、ユニオンや地元のクラブやサロンのメンバーでもありました。1979年に、心無い人に毒殺されてしましたが、コミュニティーが一丸となる切掛けとなり、人々の心を癒した功績を讃えて、ダンピアーの町にはレッド・ドッグの銅像が建っています。オーストラリア国内では、映画のヒットで、この像を見に来る観光客が増えたかもね。映画ではもっとドラマティックに、年老いたレッドが、飼い主ジョンの墓前で息絶えたことになっています。ここでも、歩くのもままならない老犬をKOKOが名演。賢いわんこもいるもんだねぇ…(@_@)

 映画撮影終了後、プロモーションのために国内中を旅したKOKOくんは、昨年末に7歳で心臓病が元で亡くなったそうです。オーストラリアの映画の中心がどこかは知らないけど、レッドの像がダンピアーにあるなら、KOKOの像をオーストラリアのハリウッドにも!ちなみに左は、うちのRed Dog、モカ。上のレッドと同じような表情なのに、レッド(KOKO)に知性がにじみ出ているのに比べ、アホの子らしさが全面に出てますなぁ…orz

 映画では、飼い主のジョンと、炭鉱で秘書として働くナンシーとのラブ・ストーリーが加えられて、華を添えていますが、ハリウッド映画なら、絶対に出てこなそうな、探鉱の男たちのムサくるしさが、むしろ好感が持てます。くたびれたラニングシャツにブリーフ一丁、ビール腹のおっさんのボロいトレーラーハウスとかね。これがハリウッド産だと、おっさんが妙に小奇麗で、鍛えたボディーだったりするんだろうな。だらしないブリーフ一丁でふらついてるとこなんか、絶対映さなそうw

 ところで、うちのRed Dogに、困った顔、真剣な顔、悲しい顔、って言ってみても「あんた、バカぁ?」って表情しか返ってきませんでした

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2 コメント

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こんばんは☆ (JUNxxx)
2013-03-05 18:47:33
動物系の映画は泣かせる系が多いので苦手なんです^^;
でも、この作品はちょっと違うようなので観てみようかな~どうしようかな~^^
KOKOくん、なかなかの名演だったようですし☆
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JUNxxxさん (わに)
2013-03-06 09:02:53
しんみりする場面も有るのですが、全体的にどこか、あっけらかーん!とした感じで、さっぱりしてます。さすがオージー(偏見?)

とにかく、犬が可愛い!!です。
 ただし、むさいおっさんたちが画面をブリーフ一丁で縦横に走り回りもするので、食事中の鑑賞は、おススメできないかもしれませんw
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