わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

近況など

2014-02-24 | 日記
ネットではよくいろいろな模様の子猫が一緒にいる写真が掲載されていますよね。黒、白、ロシアンブルーっぽいグレーにハチワレ、茶トラにサバトラ、三毛にサビ、シャム模様… ああいう写真を見る度に、もし、この中から一匹あげるって言われたら、どの子を選ぼう… ああっ、みんなカワイイ。黒、ミケは既にいるから、違う色模様の子を選ぼうか?しかしツヤツヤの黒い毛並みと丸い目の黒猫は魅力的、そして一匹一匹がユニークな模様のワン・アンド・オンリーな三毛猫も捨てがたい。ああっ!どうしよう?!ああ~っ!(悶絶)

と、いうのが私の好きな妄想です。箱の山に埋もれて、頭のなかで何かがイッてしまったようです。しかし、この期に至っても、翻訳の依頼が来ると、目先の小切手に目が眩んで、ついつい引き受けてしまう大馬鹿者なわたくし。そんなわけで、皆さん、こんにちは。ごきげんはいかがでしょうか?


下らないことで悩む間にさっさと飯を出せ

 とにかく時間が少ないので、大急ぎで荷物をまとめている最中なのですが、私の持ち物の中で大きな割合を占めているのは本。箱の半分以上が、中身は書籍だもん。かなり思い切って古本屋に持っていったり、図書館に寄付したり、お友達に差し上げたり、個人売買で買ってもらったりしたのですが、簡単に日本語の本が手に入らない地域に行くとなれば、日本語の本や漫画は手放しがたい。だから、もっと日本語の電子書籍が普及したら、私の荷物は大幅に減ると思う。そしたら引っ越しも簡単になるけど、まじ一箇所に定住したいっ!!(切実)


どうでもいいから飯を出せ

 今まで、私が全米をフラフラし続けたのは、わにおの仕事の関係だったので、彼がひょっこりひょうたん島男だから、自分はとばっちりをくった島民なのだと思っていましたが、今回は私が1人で行くので、実は、自分が根無し草なんではないかと、ふと思ってしまいました。最初に米国に来た、大統領がレーガンだった時、上陸したのはニューヨークのマンハッタン。その後、ニューヨーク州の田舎、ボストン郊外、ワシントン、D.C.と東海岸を経て、南部テキサス、コロラドのロッキー山脈の麓、そして西海岸カリフォルニアへと、西へ、西へと進んできた私。次はアラスカかハワイしか残ってないなと思っていたら、まさかの中西部。人生、いきあたりばったりだわぁ…


とばっちりを受けてるのは私だみャ
(洗面所で気取っているミケさんは私と一緒に都落ちします)

 

オリンピック閉会式

2014-02-23 | 日記
 NBCの閉会式放映を観終わったところ。やっぱNBCサイテー!開会式はBBCの録画をネットで観たのですが、閉会式もそうしたかったわ。せっかくのボリショイとセント・ペテルスブルグのバレーの間も、長い時間をシャンデリアを大映しに費やし、その後のロシアの文豪へのトリビュートでは遠景ばかりで、それぞれの作品を取り上げた演出が無駄。しかも画像で紹介される文豪たちが誰かも全く説明なしで、ドストエフスキーやトルストイ、ソルジェニーツィンくらいしか判らない、全く教養豊かではない私には「これ誰ー?何書いた人ー?」状態。

 しかも、閉会式の前には延々、1994年カルガリー冬季オリンピックでの、ナンシー・ケリガンとトニヤ・ハーディングの確執に関する番組を流してた。裕福なケリガンさんは相変わらず若々しくて美しかったけど、金困なハーディングはすっかりオバサン、ってこと以外に見るもものなく、今さら、後味が最悪なオリンピックの暗い過去を持ち出すなんて悪趣味だとしか思えない。それよか、今回のハイライトとか、芽だう取ったアスリートの喜びの声特集とか、いくらでも放映するべきものはあるでしょうに。

 でも、日本勢、特に十代の若手選手の活躍はほんとうに素晴らしかった!メダルこそ逃したものの、浅田真央選手のガッツにも感動したし、もらい泣きの萩原氏、41歳でメダル獲得、4年後にも意欲を燃やす中年の星、葛西選手と、とても楽しい17日間でした。次はリオ。そして東京!心躍ります!しかし、次の冬季はかの国なので、やや不安感が拭えない…

シュワちゃん復活!The Last Stand

2014-02-22 | 映画・ドラマ・本
 The Governator is baaaaack!!!

 アーノルド・シュワルツネッガー主演の復活第一作「ラスト・スタンド」を観ました。アメリカでは興行成績が芳しくなく、すっかりコケた映画でしたので、何も期待せずに観たのですが、なにこれ、面白い!お話は完全に現代版マカロニ・ウェスタン。ラスベガスで逃亡し、国境を超えてメキシコに逃げ込もうとする麻薬取引業界のボスを、国境の小さな田舎町の保安官、シュワちゃんが阻止するという、大筋はそれだけなのですが、引退までの時を静かで平和な片田舎でのんびり過ごす、実は元LAの凄腕警官という役は、シュワちゃん以外の役者さんなら説得力ゼロかもしれない。でも、シュワちゃんなら、どんなメチャクチャも納得できます。大型銃器がこれ程に似合う役者さんは、世界中探しても他にはいない!国境を渡ろうとする麻薬王の前に仁王立ちで立ちふさがるシュワちゃんは当に「最後の砦(The Last Stand)」です。

 シュワちゃん保安官を取り巻く脇役も皆、味があります。


 脚本も上手く出来ていて、気になる矛盾もなく、上手くはられた伏線も回収されてます。しかも、シュワちゃんいじりのコネタもタイミングよく盛り込まれて、バイオレントなのに軽く笑え、最後にはスッキリ爽快と、エンターテイメントの王道。街は、地元高校フットボール部の試合応援に出かけて、残っているのは少数のお年寄りだけという状況説明が、真昼の決闘舞台を無理なく設定していますし、市長が消火栓の前に駐車していったスポーツカー、戦争マニアの変人が集めた武器と、道具立てもばっちり。「ホット・ファズ:俺たちスーパーポリスメン(予告)」でも、街の外れにとんでもない武器を溜め込んた偏屈爺さんが出てたけど、イギリスでもアメリカでも、片田舎にはガレージに古い武器を溜め込んだ住民が必ず居るものらしいwww

 店番をしていたおばあさんがいきなりライフルを取り出して乱入者を撃ち殺したり、街に何かが起きていることを気付くきっかけが、電話も引いていない偏屈な農夫が、一度も遅れたことのない牛乳の配達に現れなかったことだったり、住民が揃って高校のフットボールの試合に出かけちゃったり、ダイナーにはいつも同じ席にじっ様達が座ってて、街の人は皆顔見知り。血気の多い国境の田舎町だな~って感じ。DVDのおまけによると、監督は英語ができなくて、通訳を通してや身振り手振りで演技を指揮していたそうです。それでもちゃんと作品が完成してる。ちょっとビックリ。だったら、日本の監督が、ハリウッドと協力して作品を生み出すのも可能じゃない?!
 

 昔の西部劇風のポスターもかっこいいね!派手なドンパチ、ちょっと変わったカーチェイス、ドカーンと爆発、肉弾戦にぶっ飛ぶ手足。お約束も全て兼ね備え、更に少しひねりを加えた、頭空っぽで楽しめるアクション映画です。こういうの大好き!シュワちゃんは、これからもどんどん、こんな爽快アクションに出演して、楽しませて欲しいわ!

お役に立てましたか?

アメリカは広かった

2014-02-21 | 日記
 な~にを今更、ではあるのですが、飛行機から中西部の平原を見下ろすと、しみじみとそう思わずにはいられませんでした。平ら。真っ平ら。で、何にも無い。超なんにもない!実は一昨日、シカゴ経由でオハイオへ飛び、昨日の(と、いうより殆ど今日の)深夜、テキサス経由で帰ってきました。本当は午後10時前には到着予定だったんだけど、飛行機が遅れて結局、深夜を過ぎてしまったの。しかも、ダラス-フォートワース空港では、途中でゲートが変わって、テキサス級にだっつ広い空港内を往復させられたし、飛行機は満席で手荷物置き場が足りず、チェックインのボランティアを募るほどだったし、もう、ぐったりです。だから今日は、韓国スパ行って、垢すりしてもらいました。ぷはー

   
何も障害物もなく平面なので地球は丸いと実感できます。右はシカゴと凍ってるミシガン湖

    
氷が綺麗な上空から見たミシガン湖と、夜のダラス-フォートワース地域

 実は来月、いきなりオハイオに移ることになったので、今回は下見という感じ。行く前には、何にもない田舎町だと聞かされていたので覚悟を決めていたのですが、実際に訪ねてみたらウォル・マートもKマートもあるし、映画館もスタバもあって、ちゃんとした街だった。今まで、もっと何もない田舎に住んだことあるぞ。平ったい中西部と南部を経て、LAに帰ってきたら、夜中だというのに道路には車の光がずら~り。やっぱ、ロスアンゼルスは車が多すぎると思った

 それにしても、また荷物を箱に詰めて、今回は遠距離なので、家具をなるべく減らさねばなりません。引っ越し貧乏とはまさに私のことよ(とほほ…)中西部は、東海岸のニューヨークから始まって、南部、ロッキーの麓、西海岸へと移動してきた私にも未踏の地ですが、ともかく何とか、数年は同じ場所に落ち着きたいわ!(切実)

プレジデント・デーにニクソン・ライブラリー

2014-02-17 | 日記
 今日は、2月の第3月曜日、Presidents' Day、2月22日生まれの初代大統領ワシントンと、2月12日生まれの誕生日を記念した祭日です。この機に、歴代で唯一、任期中に辞職した大統領であるリチャード・ニクソン第37代大統領を記念するロスアンゼルス郊外、ヨバ・リンダにあるリチャード・ニクソン図書館&博物館に行ってきました。プレジデント・デーのスペシャルで、入場料が無料、特別イベントがあったので、随分と盛況でした。この博物館は、大統領図書館(Presidential Library)の一つで、大統領の貢献に関する資料や書翰・写真等を管理している施設で、一般に公開されています。だいたいが、その大統領を褒め称える内容なのですが、このニクソン・ライブラリーには、ウォーターゲートに関する展示も大きなスペースを取っており、問題の録音テープも聴くことが出来ます。また、ニクソンの生家と、ワシントンを離れるときに使ったヘリコプターも展示されており、そして、敷地内にはニクソンさん自身と奥さんのファースト・レディー、パットさんのお墓もあります。

 プレジデント・デーのスペシャルは、ワシントン、リンカーンに加え、トマス・ジェファーソン、セオドア。ルーズベルトのそっくりさんと空軍バンドによるコンサート。ホワイトハウスの一室を模した部屋で約1時間、マーチにビートルズのメドレー、ジャズと幅広いレパートリーの曲を披露。アメリカ各軍の行進曲では、観客の中から現役、退役兵の方が居たら、この曲はあなた方に捧げますから起立してください、との呼びかけがありました。第二次世界大戦を戦ったじっさまもにおられて大いに盛り上がりましたよ!

    

   
例のヘリコプターと、リンカーンのそっくりさん

The LEGO® Movie

2014-02-16 | 映画・ドラマ・本
 またまた、ご無沙汰しております。またも、人生の急展開が迫ってきそうな、行き当たりばったり人生のわたくしでございますが、観たい映画はしっかり見る。「47Ronin」、「I Frankenstein」、そして「RoboCop」と、期待していた作品がことごとく撃沈していく中で、多くの批評家からの絶賛を受け、他の新作映画を蹴落としてトップ興行成績を爆走中の「レゴ® ムービー」を観に行きました。これが、期待以上に面白かったので嬉しい!

 何の特徴もない建設作業員フィギュアのエメット。「プレジデント・ビジネス(おしごと大王)」が支配する世界で、説明書に従って平和な暮らしをしていましたが、建設現場で穴に落っこちて、長らく失われていたあるものを背負っちゃう。そして、のちに指名手配になった時、「容疑者の特徴は?」「ありません!」と断言されるエメットが、いきなり世界を救うヒーローに。ホットな女の子やバットマンや神様等、他のスーパーヒーローとともに戦う。果たして、説明書通りに建築するし可能のなかったエメットが、マスタービルダーになれるのか?というベタな展開ながら、お仕事大王の正体が明かされた時には、私は「そうだったのかー!」とひざポンでした。爆発や海までレゴで表現された、リアルさを追求する従来のCGアニメの逆を行っちゃうような世界には小ネタがふんだん、あちこちに散りばめられたパロディー等、目が離せません。この映画を見ている間中ずっと、私はニコニコしていたに違いありません。本当に、頬が緩んでしまうような、思わぬ笑いやほのぼのに満ちた映画だったのですもの。

 実は、家から一番近くの劇場に行ったら、既に切符が売り切れていて、別の劇場まで行ったのですが、そこも最終的には満席になっていました。大人も子供も楽しめる一作で、小さな子供連れから、中年カップル、色々な年齢層に受けているようです。うちは中年母と十代息子二人だし。観客の中に小さな女の子がいて、画面が暗転したら「暗くなっちゃった」、主人公の姿が見えなくなったら「いなくなっちゃった~」とコメントしてはお母さんに「しっ!」って怒られてましたが、彼女の可愛い声とタイミングで、むしろ、歌舞伎の合の手みたいに映画館は彼女のコメントを挿入すべきってほどの絶妙さ。映画がいっそう楽しめたかも。

   
良い-悪い警官の声はリアム・ニーソン、そして神の声は当然モーガン・フリーマン

 レゴの映画なんて子供向きと侮っては損します。大人も十分に楽しめるので、わに的おすすめ映画ですよ!それにしても、昨年の「Despicable Me 2」に、今だ人気を保っている「アナと雪の女王」、そしてこの「レゴ・ムービー」と、CGアニメが躍進中ですね。今年のアカデミー賞受賞作には、私が魅力の感じる作品が1作もなかったのですが、興行成績を鑑みても、映画界と観客の間に温度差があるような気がします。評論家絶賛の素晴らしい演技や社会的に鋭く切り込むテーマもいいけど、娯楽産業なんだから、客を楽しませてほしいよね!

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冬季オリンピック開会

2014-02-07 | 日記
♫ターン、タッタタンタンタンタン、タンタカタッタ、タンタカタッタ、タンタカ、タッタンターン♫

 ソチ・オリンピックが始まりました。開会式、楽しかったですね。私は、アメリカのオリンピック放映独占権を握っているNBCの演出や、無理やりプライムタイムに放映して、テレビで見るときには半日遅れってのが嫌いで、とっととネットを通してBBCの放映を観たのですが、五輪の輪のアメリカに部分だけが開かなかったのも、同性愛者であることに苦悩したチャイコフスキーの音楽が多く使われたのも、かつては泣く子も黙る存在だったロシアの警察官が楽しそうに歌ってるのも、皆、ステキでした。プーチンさんが立ち上がって短いスピーチした時だけ、気温が下がったような感じが伝わってきたけど、きっと気のせいよね?

  日本勢は、フィギュアスケートの羽生くん、スノボの平野くん平岡くん、女子ジャンプの高梨沙羅ちゃんという十代の活躍が期待されるのも楽しみです。フィギュアスケートは団体で昨日、既に、男子の羽生くんが最高得点を獲得。個人でも期待が持てますね。浅田真央ちゃんにも頑張ってほしいな。若い選手が多いので、今回の経験を更に踏み台にして、次のオリンピックでも大躍進を… なんだけど、次回は韓国か……  ま、今回も大活躍していただきたいので、一回で二度美味しいオリンピックです。しかし、韓国か…

 それにしても、オリンピックっていつも、開催直前まで施設ができてないの、安全対策が云々、土地問題がどうたらって、「開催が危ぶまれる」のですが、始まってみれば毎回ちゃんと施設等の準備は整っており、開会式は滞り無く開催される。もう、オリンピックの時には、「準備遅延で開催が危ぶまれる」と世界中が心配するのが、デフォになっているというか、オリンピックには外せない儀式になっているみたい。一度くらい「もー、準備万端過ぎて他にやることがないので困ってます」なんて開催地を見てみたいものです。東京?どう、東京?世界を仰天させてみないかい??

素敵な映画を観ました「ルノワール 陽だまりの裸婦」

2014-02-05 | 映画・ドラマ・本
 今夜、観たのは、新聞で褒められていたのを読んだような気がする、晩年のルノアールを描いたフランス映画の「ルノアール 陽だまりの裸婦」(日本の公式サイト)です。日本の映画について語る掲示板では、映像は綺麗、音響も秀逸、でも話は退屈という意見が多かったので、仕事をしながら観る「ながら映画」にいいかなと思ったのですが、息子を思う父の気持ち、兄と弟の関係が、実に美しく描かれており、すっかりのめり込んでしまいました。私はフランス語が全くわからないので、ちゃんと画面を見て字幕を読まねばならなかったせいもありますがw

数多くの名作を残した巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワールの子孫ジャック・ルノワールの原作を基に、偉大な画家の晩年を描く人間ドラマ。光あふれる南仏を舞台に、不自由な体にむち打ちながらも意欲的に創作を続けた老画家と、美貌のモデルにまつわる知られざる物語を紡ぎ出す。心優しい芸術家を演じるのは『トト・ザ・ヒーロー』などの名優ミシェル・ブーケ。後にフランス映画界で監督として名をはせる次男との逸話や、世界を魅了する傑作誕生の瞬間に目がくぎ付け。

あらすじ: 1915年、コートダジュールにある大画家ルノワール(ミシェル・ブーケ)の邸宅に、絵画モデル志望のアンドレ(クリスタ・テレ)がやって来る。老いた芸術家は、先日亡くなった妻に頼まれてここに来たという彼女を喜んで迎え入れる。アンドレは翌朝から裸婦像のモデルとして働き始めるが、ルノワールは持病のリウマチ性関節炎に悩まされており……。シネマトゥデイ


 本当に綺麗な画面。光が溢れて、輝いています。そして、小鳥のさえずりや波の音といった効果音も心地よく、音楽も出しゃばり過ぎず、ルノアールの絵が動いているよう。ですが、内容は時にシビアで、胸が締め付けられることがあり、音と映像のホンワリした気分とのメリハリも、「ながら映画」に適しなかった(いいことなんだけど)。特に印象深いのは、怪我をして帰ってきた次男のジャンが、リウマチに苦しんでいる父が女中たちに助けられながら風呂に入るのを見てしまったシーンです。ノアの裸を観たハムを、更に覗き見ているような背徳的な気分にさせる、ジャンが父の入浴を見るシーン。もちろん、ジャンはハムのように、面白いと思ったのではなく、女達に囲まれた老いて痛みに苦しむ父の姿を見て居た堪れなく目を背けるのですが、そのシーンを見ている側にも、ジャンの心の痛みだけではなく、そして自分自身(観客)がその場面そのもの、そしてジャンの痛みを感じる。暗い背景に浮かび上がる人物と風呂桶の場面はまるで宗教画のようで、静かながらも鬼気迫るものがあります。

 ルノアールの周りには、かつて彼のモデルを務めた女性たちが女中として献身的に彼の面倒を見ているのですが、彼女たちは普通の女中ではなく、かつての画家とモデル(そして愛人?)であったという秘めやかな絆が有り、女中たち自身の間にも互いに彼女たちだけが共有する不思議な絆があるようです。その微妙な空気を匂わせる雰囲気も上手い!そして、私はモデルだけど、女中にはならないわ!と言い切っていたアンデレ(デデ)もまた、いつの間にか、そのサークルの一員となっているような。ただ、そこから追い出されたガブリエルという女性の存在がよく判らなかったのですが、後から調べると、ジャンを育てた女性だったそうです。作中で説明がなかったのは、フランス人ならだれでも知ってる事実だからかな?

 晩年のルノワールが作品を生み出すミューズであり、後にアメリカに渡り映画黎明期の巨匠となったジャン・ルノワールを映画製作の道に進ませることとなる女性なのですが、演ずるクリスタ・テレのヌードはハリウッドの女優さんたちのシャープなボディーとは異なり、柔らかそうで、とても肉感的。コケティッシュで自由で、でもどこか洗練されていない彼女は、日の巨匠たちのにファム・ファタールにはなりきれなかったけど、美を生み出す「道具」であり「きっかけ」であった女性には適役だと思いました。

 ジャンとデデの恋愛、作品が生み出される日常、画家の晩年はあくまでもお膳立てで、しかも、最後の最後に、ルノワールの永遠のミューズがはっきりします。ここに至るまで伏線は有りますが、結局、この映画のテーマは「家族」なのね、と、思わずにはいられませんでした。切れ長の目が印象的な三男のココ、最後にだけ登場する長男のピエールの兄弟の絆、ジャンとガブリエル、そして映画には登場しないけど、全てを繋げる一本の縦糸、ルノアールの亡き妻であり、息子たちの母親、アリーヌ。
    
「母と子」(アリーヌとピエール)と、「子守をするガブリエル・ルノーと幼いジャン・ルノワール」

 同じ印象派を代表する画家のクロード・モネも、妻と息子には先立たれているものの、妻の連れ子に実の子の計8人に恵まれた。セザンヌも明るい絵を描くようになったのは、父親が死んで晴れて隠し妻と結婚してからのよう。ゴッホの悲劇は弟には深く愛されたけど自分の家族を持つことは出来なかったことかなぁ、と、思ったりして。ルノアールは黒を使わない。楽しい色で絵がねばならない、という台詞がありましたが、そんな絵を描くには自身が暖かな環境にいないと無理なのかも。

 私は特にルノアールの絵が好きというわけではないのですが、今度、ルノアールの絵に接することがあれば、もっと注意深く、その筆使いや色を見てみたいと思いました。彼の絵は肉感や髪の毛の柔らかそうな感じが魅力的で、お触りしたくなっちゃうのが、私的にモンダイなんですけど。さわ、さわ…

第48回ス-パーボウル

2014-02-03 | 日記
 ご無沙汰しておりました。眼鏡のレンズに致命傷的な引っかき傷を作ってしまい、今日やっと新しいメガネが出来ました。予備の遠近両用眼鏡は境目があるタイプで、本当に「遠」と「近」用なので中距離であるコンピューター画面を見ると疲れちゃって。ですから、PCはもっぱらお気に入りサイト巡り(これは止められん)と仕事だけに抑えていました。予備だからとケチったのが間違いだった。私によくある「安物買いの金失い」な失敗歴がまた一つ増えました…orz

 先週は、日本人女性科学者が世界的大発見のニュースに喝采!女性科学者というのも嬉しいのですが、未だ30歳という若さで、日本の若い人材の逞しさにオバサンは本当に嬉しく思います。小保方博士、かっこいい!彼女に感化されて、科学の道に進む女の子たちが増えればいいな、と、思います。それに、山中教授のノーベル賞受賞も、日本人の目を科学の発展に向け、民間機関の科学研究への投資を増やすとともに、多くの若い人たちに影響と未来への夢を与えたのではないでしょうか?日本の行方は明るいぞ!
 
 一方、今年のスーパーボウルは、実につまんない試合でしたね~。元よりCM目当てだから、最後まで見てたけど、最後の10分間のシアトル側のニコニコ顔と、デンバーの「もう帰りたい…」顔の対比が泣けました。若息子なんか、試合始まって30分頃には既に爆睡してた。コロラドに住んだことのある私は、試合前にはブロンコスを応援するつもりでしたが、試合前の両QBのインタビュー見て、ころりと掌返し。なに、このラッセル・ウィルソンくん、可愛いじゃない。好み 良い人っぽいマニング兄、ごめんなさい。ウィルソンくんは、おじいさんは大学の学長、お父さんは弁護士で、どちらも学生時代はアスリート。ラッセル君自身もフットボールだけではなく、野球でもドラフトされた万能型。しかも男前。笑顔がカワイイ。いるんだねぇ、こんな少女漫画に出てくる王子様みたいな子が…

 最強の矛、攻撃に強いブロンコスと、最強の盾、守備に長けたシーホークスの一戦は、接戦になるだろうという前評判を裏切り、守備力を誇るシーホークスが一方的に圧勝しました。QBマニングスの不調が大きな原因では有りますが、盾が無くては防御は難しいけど、鉾はなくとも盾でどんどん押していけば勝てる、という試合でもあったと思います。近隣国からガンガン突かれている日本ですが、適切な外交政策や市民の後援という強固な盾があれば、敵を押し返し、最終的には相手を封じ込めることが出来るのではないかと思うのは、考え過ぎでしょうか?

 今年のコマーシャルは、イマイチ印象に残るものがありませんでした。妙にアメリカ、愛国心を強調したCMが多かったのは、さすがにタカ派、保守的、共和党押しのFOX局。その中で、FOXをコケにするコメディー・ニュース・ショーのホスト、スティーブン・コーベルのピスタチオのCMはインパクトが強かった。すっごく内輪受けなコマーシャルだけどね。バドワイザーは安定の心温まるストーリー。撮ったのは、「エイリアン」や「ブレードランナー」で有名なリドリー・スコット監督の息子さんだそうです。1984年のスーパーボウルで放映され、未だに最高傑作の名高いアップル社のCMを手がけたのも、このスコット監督です。亡くなった弟さんも、娘さんも映画監督で、映画監督一家。ジェイク・スコットさんは、去年のバドワイザーのCMも監督しましたが、これはバド馬と牧場のカウボーイの交流でした。SFや歴史大作、アドベンチャーの得意なお父さんとは違って、ほのぼのドラマが得意なのかな?
   
問題のピスタチオと、子犬とバド馬の一場面


 でも、私の今年のスーパーボウル大賞は、うちの大ボケ上息子です。まずは試合前に、「デンバー・ブロンコスとシアトル…ビーバーズだっけ?」と若息子にきく。シアトルはシーホークスだよ!あんたの高校のマスコットと同じだよ!しかも、「スーパーボウルって毎年やるんだっけ?」と素で訊く。アンタ、本当にアメリカ人なの?