わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

National Cat Day

2018-10-29 | 犬と猫、たまに人間の息子
 今日、10月29日は、アメリカでは全米猫の日なんだそうです。因みに、国際猫の日は8月8日、8の字が何となく猫に似てるから?そして、日本では2月22日で、「にゃんにゃんにゃん」だからだって。で、なんで、アメリカでは今日なんだろう?

 ともあれ、猫の日なので、うちの猫を紹介します。


 エリーさん、4歳♂ オハイオの田舎に住んでいる頃、同僚のガレージで野良母さんが勝手に産んだ4匹の子猫の中の一匹です。エリオットさん家から来たからエリーさん。残りの3匹は未だ、エリオットさん家にいます。エリートそっくりで、大きさも同じくらいの完全家猫になったのがエリオット、エリー、エリオットより一回り大きい兄弟猫が、半家猫のサムソン、母猫も半家猫で、いつも「プレゼント」を持ってきてくれるんだって。エリオットさん家の裏庭は林に繋がっているので、さぞや色んなのが貢がれてるんだろうなwww

 胸に白いポイントが有るのは、先住犬のモカとおそろい。雌だと思っていたのですが、チェックのために獣医さんに連れて行ったら、雄だと判明しました。先生が、「エリーのお母さん、実はエリーなんですけど…」と、言われた時は心臓止まりそうだったよ。で、「She's a boy.」と、言われたと

 田舎暮らしでは、ネズミだの、蛇なの、狩りを楽しんでいました。母の日と私の誕生日に、蛇をプレゼントそいてくれたことがあります。今はアパートぐらしで、狩りもできないし、登る木もないので、すっかりお腹どえんになってしまいました。性格は温厚で甘えん坊。本猫は、自分は小さいと思っているので(比較対象が犬しかいないんで)、よく私の大腿部の血流を滞らせてくれます。

犬猫が一緒に暮らしていると、猫が犬につられて、お水をしっかり飲むように思います。エリーも毎日、立派なお団子を作ってくれます。



 趣味はダンボールをかじること。でも、箱に興味なくて、全然入ってくれない。黒猫がジャック・オ・ランタンに入ってるなんてカワイイよね!と、子猫の頃に勇んで買った、大きなかぼちゃ型ボウルにも決して入ってくれない。いつか入ってくれるかもしれないと、しつこく持ってるけど、今年も入ってくれなかった。そして、かわいい猫サックにはデカすぎて収まりきらない。デカくて全体はガチムチ、なのにお腹はどえん。走ると、お腹が左右に揺れておる。でも、声はとっても可愛らしいのよ~ 

ハロウィンって何だっけ…orz

2018-10-27 | アメリカの街の暮し
 つい先日、ハロウィングッズが半額になってて、ハロウィンが何日だったか悩んだと書きましたが、今日スーパーに行ったら、既にお菓子や飾りが70%オフとかになってて、確かに大人は当日より準備が楽しいんだよね、とか思いつつ、つい目玉の形のグミを買ってしまった私ですが(だって7割引きだったんだもん)、東京の繁華街で、仮装した人により混雑で立ち往生した軽トラが倒されたり、喧嘩等で逮捕者が出た、なんてニュースを見て、今度は、ハロウィーンってなんだっけ?と、悩んでしまいました。


 ハロウィーンのことは、NHKでやってた「ピーナッツ」でライナスが「かぼちゃ大王」を待つアニメで知りました。アメリカっちゅーとこは、なんか派手なことするんだなぞい、なーんか判らんけど、楽しそうやのー、って、思ってました。

 アメリカに来て一年目、ニューヨークで、グリニッジ・ビレッジで、オカマさん(ドラッグ)の仮装パレードを見た時は、すっごい衝撃だったよ。パレードのしんがりは派手に飾付けたゴミ清掃車と仮装した清掃員さん達で、さすがは洒落てるもんや、と、ご機嫌で家に帰るために地下鉄乗ったら、運転手さんも仮装してて、アメリカって面白ーい!って思ったな。30年も昔の話。

 子供ができる前は、仲間内で仮装パーティーしましたが、自分も友人たちも「なんちゃって」で大した格好じゃなかったな。せいぜい黒い服着て猫耳カチューシャとか、変な帽子程度。それでも物珍しくて楽しかった。今にして思えば、若い頃にもっと派手な格好すればよかった、って少し後悔してるけど。

 息子たちが小さい頃は、子供達が何の仮装しようかと品定めするのに、親も一緒にワクワクしたものでした。ワシントンDCに住んでいた時は、子供博物館の盛大なイベント、テキサスとLAでは、子供達と「お菓子をくれるか、悪戯するか」に付き添い、家にも仮装した子供達が来てお菓子配った。近所の知ってる子や息子たちの友達には、Kちゃんが送ってくれた日本のお菓子や、折り紙の鶴や紙風船をあげて、すっごく喜ばれたのも懐かしい。コロラドでは、この時期には既に雪が積もっているし、家と家の間が離れているので、街の歴史博物館になっている古いお屋敷がハロウィーン仕様になって子供達を招待していました。雰囲気ありすぎて子供向けなのにシャレならん怖かったw

 今はアパートの二階に住んでいるのでTrick-or-Treatersは来ない。実際のところ、子供だけで自由に近所を回ってお菓子をもらう、っていうピーナッツのアニメのような光景は見られません。子供達の安全を考えれば仕方のないことでしょう。普通は一定のエリアか、知り合いの家を、保護者同伴で訪れます。去年まで住んだ、ド田舎の町ですらも、決まった日の決まった時間帯に決まった場所が指定されていました。当然、保護者同伴。

 地域内にお菓子をくれる通りやエリアがあると、他の地域からも車で来て「トリック・オア・トリート」の名所になります。テキサスで住んでいたコミュニティーは、小学校の向かいだったせいか、遠くからもTrick-or-Treatersが来る、知る人ぞ知るエリアでした。入口すぐが歯医者さんのお宅で、ゲートを超えたら、そのお向かいからぐるっと周り、最後に歯医者さんのお家で歯磨き粉と歯ブラシを貰うのw

 LAでは、一本隣が地元では有名な「ハロウィーン通り」で、子供達は近所の友だちと連れ立ってお菓子をもらい、私も玄関先で、魔女の格好して黒猫のクロさん抱いてお菓子配った。たまたまですが、そんなエリアに住めたのはラッキーでした。

 って、なんか懐かしくなって語ってしまいましたが、日本のニュースを見て、いや、それ絶対ハロウィーンを誤解してるだろ、と。集まって騒ぐイベントになってしまった元凶は、まだハロウィーンに馴染みのなかった頃に日本で、仮装して電車内で騒ぎ立てた外国人たちでしょうか?

 前記のNYのビレッジのパレードも、私が見に行った30年前の主役はオカマさん達でした。今じゃ逆に、LGTBQ差別だってなっちゃうだろうけど、当時はキワモノ的な見世物で、パペット等に混ざって、この日とばかり、派手にお化粧し、ドレス姿で踊るドラッグ・クイーン達に声援を送るのは、まだまだLGTBQが受け付けられなかったった頃の、多様性への応援でもあったと思います。だいたい、このビレッジ・パレードも、LAのウェスト・ハリウッドのパレードも、ちゃんと組織されて、色々と規則があり、勝手に参加して踊れるってものじゃありません。

 せっかく、ほっこりした楽しいイベントとして日本で定着しつつあるハロウィーンなのに、悪印象が先行して欲しくない。本来は、翌日の死者の日に向けて、この世に帰ってくる夜で、お盆みたいなイベントで、だからおばけの格好をしていたのが、どんどん魔女やモンスター等も加わり、更に枠を超えて、自由な仮装になってきたみたい。お菓子をくれなきゃイタズラするぞ、は、子供達が楽しむべきであって、頭の中だけ幼児の大人がイタズラとは言えないような悪質な騒ぎを起こすイベントじゃないから!

ファースト・マン

2018-10-23 | 映画・ドラマ・本
 ジェームズ・R・ハンセンによる、人類で初めて月面に降り立ったアポロ11号のニール・アームストロング船長の伝記「ファースト・マン:ニール・アームストロングの人生」の映画化で、1961年から1969年にかけてのNASAのミッションの実話をたどりながら、ニール・アームストロングという一人の人間に焦点を当てた作品です。アームストロングを演じるのは、ライアン・ゴズリング。好きな俳優さんです。そして監督は、「ラ・ラ・ランド」でアカデミー賞史上最年少で監督賞を受賞したデイミアン・チャゼル。日本の公式サイトはこちら


 宇宙飛行、そして月面歩行という壮大な偉業をテーマにはするものの、派手なファンファーレとは無縁の地味な映画です。「ライトスタッフ」のような高揚感はありませんが、実際に狭い宇宙船の中に押し込められたような臨場感、そして恐怖を感じさせます。どんなに危険なのか、

 当時のフィルムを織り込んで、ドキュドラマ的ではありますが、この映画の主目はあくまでも人間です。顔のアップが多くて、正直、予算少なそうですが、お金のかかった派手なシーンを控えたことで、ジェミニ計画の黎明期から、アポロ計画初期に関わった人々を見つめることができます。人並み外れた明晰な頭脳、体力、判断力、そして勇気を持った宇宙飛行士たちもまた、一人の父であり、夫でもある家庭人です。そして、もう二度と帰ってこないかもしれないミッションに、彼らを送り出す家族の苦悩も描かれます。地上にいれば宇宙に焦がれ、宇宙にいれば地上を思う宇宙飛行士と、そんな夫を送り出す妻を描いた、ブラッドベリの「スペースマン」を思い出します。

 私にとって印象深かったのは、アメリカ人初の宇宙遊泳を行った宇宙飛行士であり、アポロ1号の事故で亡くなったエド・ホワイトの奥さんです。幼い娘を失った後に、ニールが宇宙飛行士候補生に選ばれ、ヒューストンに移り住んだ時、最初にそのドアを叩いたのは、アームストロング家のお向かいに住む、パット・ホワイトでした。ニールの奥さん、ジャン(ジャネットの愛称)が、ニールとのすれ違いに悩んでいた時にも、良き友として接していたパットが、エド亡き後、新聞が何日分も放置されたままの庭先で、呆然と立ち尽くす、ジャンに肩を叩かれて振り返ったときに、明るい作り笑いを浮かべていたシーンの重さ。アームストロング家の前に集まったメディアの称賛を受けるジャンを、お向かいから、どんな気持ちで見ていたかの描写はありませんが、私はとても気になった。

 陽気で、自分を売り込むのが巧いオルドリンとは対象的に、ニール・アームストロングは、無駄口をきかず、ドライで大変に内面的な人物です。月面上でも、オルドリンはぴょんぴょん跳ね、アームストロングは一歩一歩、月を踏みしめようでした。アポロ11号搭乗前の記者会見で、オルドリンが妻の宝石を持っていって、妻が宇宙に行った宝石よって自慢できるようにするよ、と、軽口を叩くのに対し、アームストロングは、宇宙に何か持っていくかと聞かれても、「今回の飛行に最善を尽くします」と言うばかり。

 Wikiによると、オルドリンは月に子どもの写真を持参し、その後の飛行士も家族の写真を持っていったり、月表面に子供の名前を書き残したそうですが、アームストロングは何も持っていかなかった。後に離婚する妻のジャンは「思いやりにかける時間が彼にはないのです」と、言ったそうです。作品中でも、夫婦のすれ違いに触れられていますが、月から帰ってきた夫と妻はしみじみと互いの存在を確かめあったのに、家族を顧みない夫を非難するかのような、妻の言葉には、現実の寂しさを感じました。

 でも、この映画の中では、密かに娘の思い出の品を月で手放しました。それは、万感の思いをのせた、映画のクライマックスだと思います。映画の中で星条旗を月に立てる場面が無いことで、反米映画だなんて言ってる人もいますが、星条旗シーン入れたら、娘への思いのシーンが霞んじゃうから、私は無くてよかったと思う。

 外に出ると、雲一つない夜空に明るく輝くお月さま。見上げているうちに、じわじわと感動が押し寄せてきました。素晴らしい映画だったと思います。

西郷どん

2018-10-21 | 映画・ドラマ・本
 今年の大河ドラマ「西郷どん」、毎週、楽しみに見ています。今週からは、西田敏行さんが、長男の菊次郎として登場し、西田敏行が創設して西田敏行が継いだ徳川幕府を倒した西田敏行の長男西田敏行が京都市長に就任しましたが、林真理子さんの原作本は、菊次郎氏が補佐の川村氏に父、西郷隆盛を語るという形式なので、その形式を引き継いだということになるのでしょうか?すると、今までも、菊次郎が語ってきたのだな、と、納得…っていうか、尊敬する父に「せごどん、ちょっぱれー!」とか言ってたのねwww


 実は図書館で借りて、原作を読んだばかりです。字が大きくて読みやすいのはいいけど、わざわざ三冊に分ける必要はないような?そういう売り方しても、どうせ大河の原作として売れるだろうから?とか、勘繰っちゃう。

 原作はあっさりと歴史を追っていく感じで、ドラマで細やかに描かれる脇役の人々、特に女性は、ドラマのオリジナルでした。ドラマでは瑛太さん演じる大久保利通公が、第二の主役とでも言うべき存在感を放っていますが、これもドラマならではの肉付けでした。今週からの新しいオープニングは、西郷どんと大久保がすれ違う場面があり、これからの終盤は、吉之助さが大好きな一蔵さではなく、冷徹な政治家となった大久保と、戦の鬼となった西郷隆盛の軋轢が描かれるのだろうと思うと、寂しく思います。

 主役の鈴木亮平さん、しっかり上野の西郷さんに似せて太ってましたね。ガリガリになったり、ムキムキになったり、本当に役への取り組みが凄い。クリスチャン・ベールが、鈴木亮平か、って。きっと、トレーナーが付いているのでしょうが、まだ若いので、無理せず、長い役者人生を送ってほしいと思います。

 ところで、西郷さんといえば犬ですが、今日は犬がいっぱい出てて、私的に嬉しかった。菊次郎役の子役も可愛いし!一年間、毎週楽しみにできる番組があると、人生が潤うし、メリハリ付く。来年は東京オリンピックがテーマで、ちょっと微妙なんだけど、面白いといいな。

ハロウィーンって、いつだっけ!?

2018-10-20 | アメリカの街の暮し
 8月も末になると、スーパーに早速ハロウィーン向けの飾りやお菓子が売り出されて、気の早いことだと思っていましたが、この頃は既にハロウィーン・グッズがセールになっており、代わりにクリスマス商品が並んでいます。あれ?ハロウィ-ンって、もう終わったんだっけ?と、真剣にカレンダーを確認してしまった。

 かつては、ハロウィーン向けのお菓子や飾りが店頭に並び始めるのは、10月になってからだったように思うのですが、年々、何もかもが早まっているような気がします。息子達が小さくて、年中行事にもっと敏感だった頃は、8月から9月にかけては、アメリカでは新学年なので、文具や、新たに家を出て大学に向かう新入生向けの商品がメイン。ハロウィーンの次は感謝祭、そして感謝祭の次の日からクリスマス一色という感じでしたが、お店には、9月末からクリスマスに向けたグッズが並んでいます。もっとも、クリスマスは今どき、Politically Correctじゃないん(この記事も参照してね)で、大っぴらじゃないハズなんだけど、同時期のユダヤ教のハヌカや主にアフリカ系にほと達が祝うクワンザ関連の商品は、ぎりぎりになるまで出てこないし限られてるんですよね。

 ハロウィーンは、すっかり日本でも定着したようですね。仮装した外人が渋谷で大騒ぎして、眉を顰めさせた謎のイベントから、ここ10年ほどで楽しい年中行事として市民権を得たようで、やっぱ日本人って柔軟だと思う。私は、キナリノfolkといった女性向け情報サイトが好きで、よく訪れるのですが、ハロウィーンの飾り付けやおやつの記事が多くて、つい自分もやってみたくなる。


家にあるそれらしい物と、Kちゃんの送ってくれたのんでハロウィンコーナー作った


こんなのも送ってもらった!日本のお菓子と比べるアメリカの食べ物って何?ってなっちゃう


 アメリカの場合だと、ハロウィンの後は感謝祭なのですが、日本の飾り付けは、そのままクリスマスに突入できるように、ツリーを使った飾りが流行ってるみたい?今に逆輸入で、アメリカでもハロウィーンツリーが流行ったりして??

天国でまた会おう See You Up There / Au revoir là-haut

2018-10-19 | 映画・ドラマ・本
2017年のフランス映画です。英語字幕で見ました。日本でも「その女アレックス」が大ヒットした、ピエール・ルメートルの小説「天国でまた会おう」の映画化です。前知識なし。DVDのパッケージ絵に興味を持って、観てみました。フランス本国では、大ヒットした作品だそうです。


 第一次世界大戦後のモロッコ。熱く苦しい熱気が伝わってきそうな小部屋。銀行詐欺で尋問を受けているアルベール・メナードが、なぜ、作る気のない戦没慰霊碑建造を偽って、国からお金を巻き上げるという犯罪に手を染めたのかを話し始めます。

 1918年、第一次世界大戦休戦を目前にした11月のある日、停戦命令を無視したプラデル中尉の命により、塹壕にいたフランス軍兵士はドイツ軍への突撃を命じられます。その中で、アルベールは危うく生き埋めになりそうなところを、友人のエデュアール・ペリコールに救われますが、エデュアールは大怪我をして顔の鼻から下を失ってしまいます。家族との絆を絶ちたいというエデュアールの頼みで、アルベールはエデュアールの戦死を偽装します。

 アルベールは、戦争で職も婚約者も失い、エデュアールの面倒を見ながら、エレベーターボーイやサンドイッチマンの仕事をして生活を支え、モルヒネに依存するエデュアールのために傷痍軍人からモルヒネを奪ったりと、剣士的に尽くしていました。元々、画才に恵まれていたエデュアールは、孤児の女の子、ルイーズと親交を深めて明るさを取り戻し、生来の才能を生かして、損傷した顔を隠す様々な仮面を作ります。映画では、この仮面が、この世のものならぬ悪夢的な雰囲気を作り出していました。

 エデュアールの「通訳」である、小生意気なルイーズが親交を深めていく様子には、なにか淫靡で不穏な雰囲気がつきまといます。二人の関係はあくまでも友情なのですが、暗い小部屋と、この世ならざらぬ仮面の造形、そして蚊帳の外にされたようなアルベールの表情が、心をざわつかせるのです。ま、この映画全体が不穏なんだけど。

 画才に恵まれたエデュアールと、銀行の会計士の仕事を得たアルベールは、戦死者への記念碑には大金を惜しまないのに、自分たちのような帰還兵を顧みない社会への復讐も兼ね、銀行でちょろまかした資金を使って、戦没者慰霊碑サギを仕掛けます。一方で、全ての元凶であるプラデルは、戦死者墓地のサギで私腹を肥やして上流社会に乗り込み、金目当てでエデュアールの姉、マドレーヌと結婚していました。

 私は、この原作を読んでいないのですが、amazon等から得た情報だと、映画では、色々と省かれている部分があるようですし、機会があればぜひ読みたいと思っています。戦争の残した大きな傷、社会の不条理、欺瞞を暴く大変に辛い、苦しい内容なのですが、冒頭が、詐欺事件の事後でアルベールが告白している場面なので、彼が生きていることは判る。でも、なにしろタイトルが、あの世で会おうなので、エデュアールの行方が気になります。あの世ではなく「天国(Up there)」なのは、地獄行ってそうなプラデル抜きだから?すると、早川から出ている翻訳本の3つの墓標は誰のため?最後に出てきた彼?やっぱ、本を読まなくちゃ。でも、「その女アレックス」を読み終わった時は、うー、うー、うー…と、重苦しかったのだなぁ… この本も重そう…

 だけど、映画の方は寓話的で、華麗で幻想的とも言えるめくるめく画面のせいか、重苦しさは感じず、むしろ見終わった後には、ほっと安堵したような気持ちに。監督・主演(メナード役)のアルベール・デュポンテルさんは、この映画で初めて知りました。この映画の中では、エデュアールに翻弄されながら一生懸命生きる、生真面目で不器用なオッサンでしたが、ずいぶんと才能のある方だと思います。この映像美、劇場の大画面を見逃したのは残念!


早川から出ています

パンプキン・フェスティバル!

2018-10-18 | Museumsとイベント
 コロンバスから南へ一時間ほど下がったところに、サークルビル(Circleville)という名前の、古い街があります。一八世紀半ば、街の創立時に、丸いインディアンマウンド(先住民のお墓)を中心に、丸く街を設計したので「丸い町」という名前なのですが、どうも使いにくいってんで、19世紀初めに一所懸命、四角に再開発したという歴史があります。普段は静かな…と、言えば聞こえはいいけど、廃れた街ですが、ここはオハイオきっての、かぼちゃのお祭りで知られています。


給水塔もかぼちゃ


街の中心の壁画もかぼちゃ


 仕事で、暫くの間この町の郊外にある工場に通ったことがあり、このお祭りを楽しみにしていました。街の中心部にずらりと食べ物やクラフトの屋台が並び、特設遊園地も2ヶ所設置されて、結構な規模です。自称、地球上で最もスンバラシイ無料の祭り(The Greatest Free Show On Earth)ですが、駐車に10ドルかかったわい。このお祭りの歴史は古く、1903年以来、ずっと続いているというのだから、ま、アメリカとしては古いわね(←祇園祭とか9世紀からだしぃ、と、上から目線の日本人)

いろんなかぼちゃ


もっといろんなかぼちゃ

  

 かぼちゃのチリ、かぼちゃドーナツ、かぼちゃアイスクリーム等々を食べてきました。みんな、美味しかったよ~!ちゃんと、パンプキンパイもお持ち帰りした。普通、イベントだとぼったくり価格が多いけど、ここでは水のペットボトルが1ドルで、良心価格でした。

 メインストリートに立ち並ぶ古いビルは立派で、市庁舎や図書館は堂々たる壮麗な建物ですが、表通りに並ぶ店舗の半分は閉鎖され、かつては美しかったであろう古いビクトリア風の家が手入れもされぬままに並び、少し中心を離れるとトレイラー・ハウス村。平日の真っ昼間から、入れ墨だらけの20代と思しき若者達が、所在無げにブラブラと歩いている。そんな、中西部の現状を象徴するような哀しい光景の街が、今日は人に溢れ、音楽が鳴り響き、青い空に市庁舎の鐘塔がそびえる。年に4日間だけ、栄光を取り戻す。

 しかし、この周りって工場沢山あるし、雇用はありそうなもんなんだがねぇ…

スターリンの葬送狂騒曲

2018-10-16 | 映画・ドラマ・本
「怖い絵」や「名画の謎」で知られる中野京子氏が、ご自身のブログで触れておられたので、観たくなって図書館で借りてきました。公式サイトはこちら。公式サイトによるあらすじは:
1953年、ソビエト連邦の最高権力者スターリンが、脳出血の発作で危篤に陥る。“粛清”という名の大量虐殺による恐怖で、国民はもちろん部下たちも支配してきた独裁者だ。今こそ彼の後釜につくチャンスだと色めき立つ側近たちが、互いを出し抜くオトナげない駆け引きを始めるなか、スターリンは後継者を指名することなく息を引き取る。表向きは厳粛な国葬の準備を進めながら、スターリンの腹心だったマレンコフ、中央委員会第一書記のフルシチョフ、秘密警察警備隊長のベリヤが3大トップとなり、各大臣にソビエト軍の最高司令官ジューコフ陸軍元帥までが参戦し、権力バトル開始のゴングが鳴った!

なんか軽い紹介文だなぁwww


アメリカ版のポスターでは、A Comedy of Terrors(恐怖のコメディー、シェークスピアのThe Comedy of Errorsのパロディーかな?)とありますが、史実を鑑みると笑ってる場合じゃ全く無いのに、くすくす笑える場面の連続。フルシチョフ役がスティーブ・プシェミ、モロソフがマイケル・ペイリンなんて、それだけでも笑うやん。実在の本人たちに何となく姿形の似た、笑いのツボを突いてくるタイミングが絶妙な曲者名優達の駆引きと、悲劇的な史実に笑いを持ち込んだ脚本が素晴らしい。

 残酷な絶対権力者スターリン自身も、その突然の死に右往左往する側近たちも、言動や行動はアホな悪ガキ・レベルの大人気なさですが、彼らは皆、権力に取り憑かれた大量殺人者。独裁者による静粛や、民間人への無差別攻撃、政治犯への拷問・処刑が日常茶飯事の巨大国家を動かす狡猾にして間抜けな男たちの、仲間内の権力闘争と、壮大にして姑息な陰謀、という様々な相反する要素が、とんでもない内容(しかも史実!)なのに、トホホな笑いを誘います。まさに狂想曲という真っ黒なコメディーで、この邦題は巧いよね(原題は「スターリンの死」です)。

 凄惨な弾圧の時代、静粛の名の下に200万人を殺し、恐怖政治を敷いたスターリンの葬儀に続々と集まる民衆が、独裁者の死を悲しんでいるのは心寒い。ふと、未だ一部の米国民に絶大な人気を得ている、トランプの事を思い出してしまいました。

 そんな、葬儀のためにモスクワに集まった市民への無差別攻撃は、裏切り合い殺し合ってきた中で生き残った非道な男たちの、政治的駆け引きの手段。そんな凄惨な史実を踏まえながらも、当の張本人達は妙にセコく、そこへ更にアホな息子が小者感たっぷりなトホホな連中。こういう風刺って、とってもイギリスっぽいって気がする。

 映画冒頭はコンサートのシーンでしたが、最後も権力を手にしたフルシチョフがコンサートを聞いているシーンです。その斜め後ろから、ヒゲ眉が睨んでますよ…(レーニン=ハゲ、スターリン=ヒゲ、フルシチョフ=ハゲ)。そして、とても皮肉なエンドロールも秀逸でした。ところで、DVDには、削除されたシーンが入っていますが、警察長官ベリヤのゲスぶりを示すシーンがいくつもカットされていました。確かに映画には無用と思ったけど、興味深かった。



 ロシアでは「西側の陰謀」とされて、上映禁止の憂き目にあったのだそう。ここアメリカでも、見た人の評価は高いけど興行成績は振るわず($8mil.ちょっと)、私もこの映画のことは、中野さんのブログで読むまで知りませんでした。早速、息子らにも勧めたよ。


 ところで、今、日本では「怖い絵」の展覧会が開催中で大盛況だそうですね。本の中で見た絵の実物を、実際に前にできるなんて羨ましい!こういった本や展覧会が大人気であるというのは、日本人の知的好奇心と教養の高さを示していると思います。

 中野京子さんの本は、先日LAに行った時にまだ持っていなかった「名画の謎」を二冊もゲットできて嬉しかった。ユーモアを交えた読み易い文章で、歴史や絵画を分り易く解説してくれる、この方の本は全部読みたい!のですが、中の絵が恐すぎて手元に置くのが怖い~な本もあるので、図書館に置いて欲しいなぁ…

オハイオの中心で曼荼羅に出会う

2018-10-14 | アメリカの街の暮し
 中心からはちょっと離れてるような気もするけど、まぁ真ん中辺りのエリア、ダブリンで開かれた多文化のフェスティバル、B.R.E.A.D! Festivalに行きました。BREADというからパンのお祭りかと思ったら、これは、Bake(パン等を焼く) • Reconnect(再結する) • Educate(教育する) • make Art (アートを創る)• celebrate Diversity(多様性を称える)の略だそうです。


舞台では様々なパフォーマンスが。これは西アフリカのダンス


お薄もいただけました


 ダブリンには、日本人も多く住んでいるので、日本紹介のテントもいくつかありました。私は、折り紙クラブに入っているお友達に誘われて、子どもたちに折り紙を教えるボランティアで参加。理由は、日本人だから。しかし!いくら折り紙が日本発祥とはいえ、超がつくほど不器用な私は、小さな子供達に超簡単なのしか教えられない。その私の横で、子供達のお父さんがサラリと複雑なの折っちゃったりして、日本人は手先が器用という伝説をぶち壊しまくっておりました。(;´д`)トホホ…

 長らく、このイベントに参加している他のボランティアさんによると、このフェスティバルは、昔はとても盛大だったそうですが、今では展示も参加者も減ってしまったとのこと。今は、他にも沢山の催しがあるし、インターナショナルなお祭りも珍しくないものねぇ… 車で小一時間掛かるこの公園に、少なくともイベント目当てで、今年3回か4回来てるし。


 ところで、この催しの目玉は、チベット僧による密教の曼荼羅作成の実演でした。




 鮮やかに染色された砂(石英の粉)を、金属の漏斗を使って描くこの少世界は、完成とともに破壊されてしまいます。この砂はその後、川に流されるのだそうで、そこまでが修行の一手順だそう。初めて実物を見たのは20年以上も前の学生時代でしたが、砂絵と入っても平坦なものではなく、繊細に凹凸が付けられているのに驚きました。その時には、ダライ・ラマの講演も聴くことができたのですが、若い頃は直ぐカッとなる性格だった、なんて意外な人間らしさや、滲み出る人柄の暖かさに、すっかりファンになってしまい、今は、Twitterでダライ・ラマの公式アカウントをフォローしてます。解放される、その日まで長生きしていただきたい。いつか、ラサに行ってみたいな!

オハイオの素敵な街・グレンビル

2018-10-13 | アメリカの街の暮し
 すっかり秋らしい気温になってしまい、慌てて衣替えをしました。今週初めにはエアリズムを着てたのに、いきなりヒートテックの出番です。今年は、11月になっても暖かく、12月になってから急に冷え込んで5月になっても寒く、今週初めまで暑かったという妙なお天気のせいか、あまり紅葉が期待できそうにありません。色が変わる前に、急な気温の変化で、葉っぱが落ちちゃったみたい。

 それでも少し期待して、植物園に行こうと思っていたのですが、その前にランチで立ち寄った街が素敵だったので、結局午後中を街の散策や、博物館見学に費やしちゃった。コロンバスから東へ小一時間ほど高速を走り、少し北に上がる、その町の名前はグランビル(Glanville)。実は街ではなく、正式には村(village)なのですが、1831年創立の私立のリベラルカレッジ、デニソン大学を擁し、お洒落なギャラリーやカフェ、素敵な雑貨屋さんが軒を連ねるメインストリートを離れると、ビクトリアンなお家が並ぶ、歴史を感じる町です。

 アメリカには、ぽつり、ぽつりと、こういったチャーミングな小さな町が点在しています。同じオハイオ内なら、アーバナやイエロースプリング、キャナルウィンチェスターが思い浮かぶし、テキサスならフレデリックバーグ。西海岸になると、歴史が浅い分、ちょっと雰囲気違うかな?

 日本だと、都会の中の界隈(ワタシ的には神戸の港町とか)や、郊外の街の一角(岡本とか夙川)に、素敵なお店の並ぶ通りがあるって感じだけど、アメリカだと車でしか行けない、大都会から少し離れたところに歴史のある街が点在し、オーナーのセンスが伺われるユニークなお店があるような気がする。そんな街には、昔ながらのインがあり、19世紀から20世紀初頭に建てられたお屋敷が歴史博物館として利用され、当時の華やかな富裕層の暮らしを垣間見ることが出来るのです。日本だと、伝統ある旅籠と武家屋敷って感じ?

 
なんだか可愛い警察署入口と街の記念公園


街を見下ろす大学のチャペル


大学の雰囲気って大好き


19世紀のお屋敷が博物館として公開されています

 
タワーと六角形の部屋は後から付け足された部分


内部は無料のツアーで見学できます


見学中、外で繋がれていた犬は静かに怒っていた


この目である