わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

司会者のいないアカデミー賞

2019-02-25 | 映画・ドラマ・本
 昨夜のアカデミー賞授賞式、面白かったですね!私はケーブルやサテライトの契約もしていないし、そもそもテレビすら持っていないので、ネットでハイライトを見ただけですが、いきなり本物のクイーン+アダム・ランバートで幕開けは、往年のファンであり、映画にも感動したファンとしては嬉しかったです。なに、このかっこいいじっさまたち、なにこのセクシーすぎる男前?!しかも、背後のスクリーンにフレディーが映し出されるなんて、年寄り泣かす気満々やんか。

 司会者のいない授賞式は、実は今回が初めてではないけど、前回は散々だったらしいです。私は、サクサクと首尾よく進んでるって感じました。ハイライトしか見ていないから?と思ったけど、今日のマスコミ見ると、結構、評判よかったみたい。ここ数年は特に、司会者が観客のスターたちを弄るのが、内輪ネタやいじくるというより貶めているようなコメントになってるように感じていたので、もう来年からも、このスタイルでいいんじゃないかな?って思った。もしまだ司会形式でやるなら、来年はメリッサ・マッカーシーがいいな。ウサギのぬいぐるみをいっぱい縫い付けてアン女王に扮して出てきたメリッサ・マッカーシー、ウサギの指人形の可愛さもあって私的にバカウケ。

 出世作の「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」が受け付けなかったのですが、その後、サンドラ・ブロックと共演した「The Heat(日本未公開)」や、「Spy/スパイ」、「[Identity Thief(泥棒は幸せのはじまり)」や「タミー」では、お腹抱えて笑い転げちゃった。主演女優賞にノミネートされた「Can you ever forgive me?(ある女流作家の罪と罰)は、図書館のDVDを順番待ち中。 

 主演女優賞は、「女王陛下のお気に入り」でアン女王を演じたオリヴィア・が取りましたが、私はこの映画を見たばっかりで、女王の顔芸(褒めてるんです~)には、しみじみ感心したので、納得の受賞。一番、呼び名が高かったのはグレン・クローズだけど、実に7回目のノミネーションだそう。ハリウッド映画界のスーザン・ルッチにはまだまだ遠いけど、次にノミネートされたときには取ってほしいな。彼女は私にとっては、いつまでも「危険な常時」の怖いおばさんなのですが、30年経っても未だにその印象が消え去らないほどに、迫真の演技だったのでしょう。この年の主演女優賞にノミネートはされていますが、受賞したのはシェール。ほかの候補者は、メアリ・ストリープにホリー・ハンター(@_@)

 主演男優賞がラミ・マレックは意外でしたが、あれだけ研究して似せてきた役者魂への評価だと思うの。映画の感想にも書いたけど、フレディー・マーキュリーは不世出。この気持をサイバラりえぞう先生が見事に漫画で表現してくれました。

そうなのよ~!!!


 作品賞の「グリーンブック」は観ていないけど、DVDかネットで見ると思う。これは、「ドライビング・ミス・デイジー」の時代からは変わったのだっていう象徴的な選択も有るんじゃないかと思いました。スパイク・リー監督は不満そうでしたが。

「アリー・スター誕生」は、評価の高い作品なので怒られそうですが、正直、私は途中で飽きちゃったんです。劇場で見たら違っていたのかもしれないけど、PC画面じゃコンサートの熱狂とかは伝わらないし。レディー・ガガのアリーは最初からカリスマありすぎ、迫力ありすぎ。だって、ガガ様だもの、仕方ない。レッド・カーペットのガガ様もゴージャスで、正にスター!でしたね。

 昔、バーバラ・ストライザンド版の「スター誕生」は、なんちゃら洋画劇場で見てすっごく感動しました。テーマ曲の「Evergreen」が心に沁みて、今でも聞くと泣きそうなります。声がいいし、情感たっぷりで本当に上手い(だってバーバラだもの)。バーバラ・ストライザンドは、田舎のイモ姉ちゃん風ルックスで決して美人じゃないから(すみません)、説得力あったし、結末も、明らかな自殺より、赤いジャガーでぶつかって、っての方がいい。

 も一つ言っときたいのは、レッド・カーペットのアクアマンさんでしたわ。名前がモモイだけにタキシードがスーツなのは良いとしても、なんかサイズが合ってないような。余りの似合わなさに、上はタキシード、下はドレスの人よりも衝撃でした。

The Favourite / 女王陛下のお気に入り

2019-02-22 | 映画・ドラマ・本
 18世紀初頭の英国宮廷を舞台とする、ゴージャスかつグロテスクにアン女王を巡る侍女同士の覇権争いを描いた映画。史実を基にしているというのが驚きです。「The Favourite(お気に入り)」になることが、政治的実権を握ること。彼女たちが争うのは、今どきの#MeTooやらガールパワーなんて生易しいもんじゃありません。一国のみならず。周辺諸国の命運を決める究極の権力です。

 本当は映画館で観たかったけど、寒いし、引っ越してから映画館が遠くなって出かけるの面倒臭いので、図書館で借りたDVDで鑑賞。正直、下働きの女性の台詞とか、聞き取れなかったろうから、DVDで字幕付きで観られて良かった。お上品な言葉使いに、現代風の4文字言葉が混じってる面白さも、字幕なしじゃキャッチできなかったと思う。そういや、ダンスもやけにアバンギャルドでしたね。


初めは成程、女王が二人にいいように利用されてるのかと思ったけど


 監督は「ロブスター」(観てないけど、あらすじだけで無理)や「聖なる鹿殺し」(物凄く後味悪くて観て後悔)の、ヨルゴス・ランティモスなので、いや~な映画だろうなとは予想がついたのですが、エマ・ストーンとレイチェル・ワイズという、お気に入りの女優さんが出てて、豪勢なお城にドレス、合間に可愛いウサギがはねている。これだけ好物を揃えられては、避けて通れない。

 クイーン・アン様式って、建築スタイルや家具があるように、装飾的で優美でありながら、ゴシックほどにはごてごてしていないのが特徴。本物のお城で撮影されたのだそうで、建物、お庭、そして豪華な内装は目の保養。特に壁に所狭しとかけられたタペストリーときたら、もう目眩しそうw

 そして、ドレスの豪華さ!とはいえ、アン女王は未亡人だからかもしれません、彼女に使える二人のドレスもモノトーンで、それとは対称的に男性軍はカツラに厚化粧、つけボクロ。「男はPrettyでなくっちゃ」という台詞がありましたが、その分、男装のレイチェル・ワイズがかっこいい~!この女優さん、「ハムナプトラ」でのチャーミングなエヴェリン役ですっかり好きになったのですが、あの映画も、もう20年も前の作品なのね。この映画じゃ、立派なお局様であられます。

 Wiki先生によりますと、サラは1660年生まれで1744年に亡くなっており、アビゲイルは1670年生まれ1734年死去と、サラより10年後に生まれ、10年早くに亡くなっています。そしてアン女王は 1665年生まれの1714年死去で、49歳で亡くなっています。映画では、もっと高齢に見えましたが、ちょうどサラとアビゲイルの間の年齢。女優さんたちの本当の年齢も、同じ順番で、女王役のオリヴィア・コールマンのほうがレイチェル・ワイズより若いのね。歯に衣着せぬ凛々しい美貌の年上の幼馴染、戦争推進派でホイッグ党を支持するサラと、自分を褒めちぎって尽くしてくれる可憐で優しい年下、トーリー党と親しいアビゲイルの間で揺れ動く女王と同時に、国家も一緒に振り回される。


可憐で繊細に見えて、実はふてぶてしくしたたかなアビゲイル


 女王は、映画の中でも痛風に苦しみ、車椅子を使っていましたが、実際に極度の肥満で、崩御後の棺桶は正方形に近いものだったとか。一体どんだけ?現在では、17人の子どもたちが皆、流産、死産か早世なのも、免疫性疾患を患っていたからではないと言われています。死んだ17人の子供の代わりに、17羽のウサギを子供たちと呼んで可愛がる女王の孤独に、いわばつけ込んで権力を得た二人ですが、作中何度も「女王は私よ!」の台詞があるように、最後のシーンが示すのは、所詮ふたりとも、女王の胸先三寸で運命の変わる存在に過ぎず、女王の愛するうさぎたち以下の存在なのかも… 最後のアビゲイルの表情が、それに気付いてしまったようかに思われます。

 追放を知らせに来る一団を見ながら、この国は飽きたから他所へ行きましょうというサラ。「あたかも勝ち誇ったような良い草ね」と言ったサラに、アビゲイルは「勝ったのよ」と言い放ちますが、権力は失っても、愛する夫と後生を過ごし、その子孫には、英国の命運を握ったウィンストン・チャーチルや、ダイアナ・スペンサーがいる。お家断絶になったアビゲイルと、本当の勝者はどちらだったのでしょうか?
 

結局、お人形はどっちだったのか?


 話題通り、3人の女優さんの演技は素晴らしい!アビゲイルの台詞はいちいち洒落てるし、後味の良いお話ではないけど、見応え充分、満足の一作でした、でも、エンドテーマがエルトン・ジョンなのは判らなかった。なぜ?

米民主党、非常事態宣言の差止め決議案提出の予定…って、当たり前だろ!

2019-02-21 | アメリカのニュース
 下院の民主党議員が、トランプ米大統領がメキシコ国境に壁を建設するために出した非常事態宣言を無効にすべく、決議案を22日に提出する予定だそうです。

 自分が、中西部の田舎というトンデモな所にいるせいか、たまに論点がずれているような声が聞こえてくるのですが、民主党は壁に反対してるから、非常事態宣言を差止めようとしてるんじゃないから。専権事項である予算作成を大統領が非常宣言という形で、他に使われるための予算を勝手に使おうとしているのが越権行為だから、反対してるんだから。

 何人の共和党上院議員が民主党に同調するかが、この決議案が通るかどうかの鍵ですが、たとえ通っても、大統領は拒否権を発動すると言っている。如何にも無駄な水掛け論ですが、トランプ側としては、いくた世間がそっぽを向いても、ここで強硬姿勢を示せば、自分のコアな支持者にはアピールできる。何をやってもトランプが正しい、この世の全ての不都合はぜーんぶオバマと民主党が悪いと信じてやまない層こそが、トランプに票を入れるんだから、政治戦略的にトランプがやってる事は正しい。会社のカフェテリアはスポーツチャンネルかFOXニュースしか掛かってない中西部に住んでると、本当にそう思う。

 それでも、大学街で若者人口の多いコロンバスに近く、ご町内にカレッジのある街に住んでいると、トランプ支持のステッカーを貼ったピックアップがアパートの駐車場にあると同時に、シンゾー・アベがトランプをノーベル平和賞に推薦したそうだが、アベはクレージーになったのか?と聞きに来るアメリカ人もいて、なかなかに微妙。いやー、日本としては、お隣のクレージーをトランプに抑えててもらわんと困るんだよ、アレのベビーシッターができるのは、トランプかデニス・ロッドマンくらいだしねぇ…と答えるとウケる。


いや、全く笑い事じゃないんだけど…

英ホンダ撤退

2019-02-19 | 時の話題
 アメリカは馬鹿な大統領を選んじゃったけど、今の国民は色んな地域から来たとはいえ、最初に原住民を追い込んで勝手に自分たちの国にしちゃった連中の起源だけあって、よく言えばチャレンジャー、悪く言えばアホな選択をしてしまうDNAを垣間見たというか、何というか…

 自分たちで選んだEU離脱が実現目前になって、やっと、その弊害の重篤さに気付いたと言わんばかりの、外国企業撤退への慌てぶり。離脱投票の時に既に予測されてたし、さんざ言われてたことでしょうに。ホンダが2月19日に、イギリス南部・ウィルトシャー州スウィンドンにある工場での生産を2021年に終了し工場閉鎖の発表しましたが、先の2日、日産はイギリス中部にあるサンダーランド工場での次世代エクストレイルの生産を国内(九州)に移すと発表していますし、トヨタもバーナストン工場撤退のうわさもあるとか。ホンダの八郷社長は、撤退理由はブレグジットではないと言っていますが、タイミングがタイミングだけにねぇ…

 日本とEUが経済連携協定を結んで、関税が撤廃され、日本から輸出したほうが安くなるんだから、企業としては当然の選択。そこで、スウィンドンの3500人のホンダ従業員の将来はどうなる!?って騒いでも、あんたら、ブレグジットが決まった時から見えてた未来でしょうに。あれから2年も猶予があったのに、今更、騒いでるなんて意味不明。だいたい、ホンダにローバーは助けてもらって、経営を立て直したのに、ローバーは結局、BMWの傘下に収まるという掌返しをやってのけたって過去も有る。

 アメリカでも、自動車会社の開発オフィスにはインド人エンジニアさんが一杯いるんだけど、ブレグジッドで移民制限も厳しくなると、高技能労働者の確保も難しくなるだろうし、そうなると益々、英国に拠点を置く意味はないよね。日本のみならず、多くの海外企業も、元々、ヨーロッパの中でも英語が通じるんで便利、ってのが、英国進出の理由にあったんじゃないかと思うけど、この機会に人件費も企業向け税金アイルランドがウハウハしてるかも?ムキムキしても、自業自得。

 ところで、余り話題にならないけど、ホンダはトルコからも撤退するそうです。トルコの工場の従業員さんには同情するし、スウィンドンのホンダ従業員も、個人に対しては大変だろうな、と、同情するけど、ここは国が何とかすべきで、ホンダが悪いみたいにいうのはお門違いだと思います。

Widows/妻たちの落とし前

2019-02-17 | 映画・ドラマ・本
 日本では4月公開だそうです。また何とも安っぽい邦題を付けたものですが… 確かに、内容を反映しているといえないこともないですが、原題は「未亡人達」で、これだけでもカッコいいような気もするけどな。



 お話はタイトル通り、ヤマに失敗して警察に追い詰められ、逃走車もろごと爆発炎上しちゃった銀行襲撃集団の未亡人たちが、死んだ夫の盗んだ2億ドルを返せと脅され、襲撃団リーダーの残したノートをもとに、5億ドルの強奪を企むが、その背景に、議事選をめぐる陰謀やら、親子間の確執やら、人種問題や階級格差やら、DVやら、夫婦関係やら、汚職やら、まぁ、よくもこれだけ盛り込んだものだと感心するほどに、複雑に絡み合った事情があります。

 その中でも、今作のテーマといえるのは、女性のエンパワーメントでしょうか?昨年、一昨年には、#MeToo運動によって生まれた、女性の強さを強調する作品が、ブロックバスターから、インディペンデント作品に至るまで、ゴロゴロ公開されましたが、ピンからキリきりどころか大型ドリル級まで公開された、そんな作品群の中でも飛びぬけていると評されているのが、この作品で、私が興味を持って観てみたたのも、それが理由でした。あと、予告に出てたわんこが可愛い。

 いきなり、中年夫婦の激しいキスシーンから始まるので、おっさんとおばはんの濡場見たいか~と、辟易する間もなく、いきなり場面は、銃撃戦へ。奥さんは本当に、この後すぐ死んでしまう旦那のことを思っていたのね、と、切ない。シャワーを浴びるご主人(おっさんのシャワーシーン、見たいか~)に、スキットルでお酒を届ける奥さんとの無言のやり取りが、これが大仕事の前なんだと匂わせます。禊のような?で、今まで一度もヘマをしたことのない、この襲撃団のボス、ハリー(おやっさんアクションといえば、この人!な、リアム・ニーソン)が、今回は失敗しちゃった、と。

 ほかの3人のうち、一人は奥さんが目の周り黒くしてるし、もう一人はギャンブル狂いの旦那が、経営してるブティックのお金をむりやり持っていく(そのうえ、お店を担保にして、債権者に全部持っていかれちゃう羽目に)と、苦労しています。なんで、そんな男と別れない!?なのですが、精神的に依存しちゃってるんだろうな…って、とこに、旦那全滅。まずは途方に暮れる女性たちですが、議員選挙に参戦中の冷酷なギャングリーダーは、金返せ!って迫ってくるし、生活の糧はないしで、これは大きなヤマを当てるしかない!と、決意。4人の未亡人のうち、一人は危険を冒したくないと降りますが、一度、決意した女は強い!

 浮気、DV、ギャンブル狂いの犯罪者たちという、最低夫でも、頼って生きていた妻たちが、落とし前をつけるために一致団結。リッチなリーダーの奥様、ヴェロニカ(ヴァイオラ・デイビス 品と迫力があってぴったり)、ミシェル・ロドリゲス姐さん(重い札束を担いで走るの「無理~」とか言ってて笑った。普段のアンタなら、一人で、100キロの札束担いで100m11秒レベルで駆け抜けて逃走するくらい朝飯前だろw)。

 エリザベス・デビッキは、美人で若く魅力的なのに、暴力亭主から離れられず、夫が死んだあと、母親に勧められて(!)エスコートサービスを始めますが、クライアントを利用して情報を入手するなど「誰にも私のやっていることを馬鹿にはさせない!」と言い切れるほど強くなり、自分の体を自分の意志でどうこうするのはいいのよ!って、#MeToo以後の変化が見られます。尊厳の新しい社会規範といいますか… 逆に言えば、自分の意志に反して男性が何かするのは、絶対許さないよ!なのでしょう。

 #MeTooの普及しなかった日本でも、先日、「どろろ」6話で、戦の陣内で働いて孤児たちを養う美少女、みおが、どろろに、その仕事とは「おいらの母ちゃんが絶対にしなかった仕事(=売春)」だったと知られても、「(これによって子供たちを養っていけるから)私は恥じてない」と言ったと同じで、時代が変わりつつあるのを感じます。

 さて、強奪メンバーの4人のうち、3人は未亡人ですが、仲間になるシングルマザーのベル(シンシア・エリヴォ)は、初めから強い。昼間、美容師として働く他にも、ベビーシッターとして働いています。娘の面倒を見ていた母に「この子はずっと、あなたの帰りを待っていたのに」と言われても、「でも、1時間12ドルになるのよ!」と、バスに間に合うために走る。小柄だけど筋肉ムキムキで、美貌を武器とする、むっちゃ背が高くスリムなエリザベス・デビッキと対照的。ベルさんは、隠れ家にあるパンチバッグをバシバシ殴ってました。「未亡人たち」との対照としての、頼る男のいないシングルマザーが培った強さを見せたのかな?

 映画は、途中であっと驚く展開に。いや、こう言うお話にはよくあるパターンなんだけど、私は映画やドラマは、あんまり物事考えずに見てるせいか、全く予想してなくて、画面に向かって、「えーっ!?」でした。わんこの存在意義が、ここにあったのか、と、感心しました。襲撃前に、わんこを預ける場面では、もしも帰ってこれなかった時のために準備してるのかも、と、自分も犬を飼ってる私は胸につまされました。

このわんこはオリビアちゃん。
いろんな映画ラドラマに出ているスターらしい


 監督は『それでも夜は明ける』でアカデミー作品賞を受賞した『それでも夜は明ける』などで知られるスティーヴ・マックイーン、共同脚本は、『ゴーン・ガール』原作者で、映画化作品の脚本を執筆したギリアン・フリンのコンビ。執念で奴隷の身分から逃れた主人公を描く作品と、ひたすら「女は怖い」な作品を生んだ二人なだけに、なんだか凄く納得した。

 人生いろいろ、この後の未亡人たちと、その子供たちに幸大きことを… でも、最後のヴェロニカの行動は、唐突だったなぁ。彼女の職業から鑑みると不思議じゃないけど、何か伏線あったっけ?

万引き家族

2019-02-16 | 映画・ドラマ・本
 第71回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを獲得し、今年のアカデミー賞外国映画賞にノミネートされてている、大変に評価の高い作品です。是枝裕和監督の作品はあまり見ていないのですが、2015年の「海街diary」がとても好きです。有名なので、ストーリーの概要はいろいろなところで紹介されており、読んだ限りでは、自分の好きそうなお話じゃないな、と思ったけど、話題作ということもあって観てみました。うん、ダメだった。


良いご家族だとは思うけど、だからこそ嘘っぽい


 事情はどうあれ、人を騙したり、物を盗ったりを正当化している(ように思えた)のが、古い人間の私には受け付けられなくて、見ている間中、あまり良い気分じゃありませんでした。万引きや金の無心、脱税、クリーニング屋に出された服のポケットに残っている物の抜取り、故人の年金受取等々、やること為すこと悪意がないままにやっているようなのが、更に質が悪いと思う。お店にあるものは未だ買われていないから誰のものでもないとか、家で勉強ができない子供は学校に行くなんて真っ赤な嘘を教えているのもむかつく。

 映画も小説本も深読みせずに、ほけーっと見る(読む)だけの私の頭では、説明不足で食い足りない部分が多すぎ。映画内でも触れられていた、なぜゆりの両親は、娘の失踪後、1か月も経ってから急に捜索願を出したのか?祥太は赤ん坊のころにパチンコ屋の駐車場に停めてある車中に放置されてたから救ったというけど、それが本当だとしたら、車から赤ん坊が消えていたのに親は何もしなかったのか?あきの覗き部屋の顧客、4番さんに、せっかく売れっ子の池松を起用しながら、これも中途半端な感じ。4番さんが聾唖者であることや、自傷をしている事にも、重要な意味があんだろうな、とは思うけど、それを、いきなり池松くんみたいなイケメンが出てきて、都会の孤独な若者です、とか言っても、現実味なし。

 女性刑事に「子供を産まなきゃ母親じゃない」って台詞を言わせるのも、あざとい。アメリカのように養子が一般化していない日本でも、昔から「生みの親より、育ての親」っていうじゃありませんか。このシーンは、信代を惨めな気持ちに追い込んで、その慈母愛を引き立てようとしてるのかもしれないけど(実際、ここの安藤サクラさんの演技はすごかったと思います)。この映画を私的に一言で表すと「無神経」なのですが、この台詞は正にそれを象徴しているよう。リリー・フランキーの裸や、安藤サクラとの濡れ場も、わざわざ見せるな、って思った。

 祥太くんは、「西郷どん」の子供菊次郎役だった子役さんなのですね。利発そうで、この映画の対極のような「誰も知らない」の、柳楽優弥くんみたいに大成したらいいな、とも思うけど、柳楽くんほどのカリスマは無いかも。奇しくも、映画のクライマックスが、家族で海に出かけるシーンというのは、昨年、高い評価を受け、アカデミー賞外国語映画賞最有力候補のライバル「ローマ」と同じです。私個人の感想では、「ローマ」が格段、上だな。


 しかし、超高級リゾートのカンヌで、この家族(?)の一年分の収入の何倍もの値段のドレスや宝石に身を包んだセレブたちが、日本の下町で底辺の暮らしをしている人々の話を観て感動してるって、かなりシュールだ。実は、今日は折角の晴天の土曜たにもかかわらず、昨夜から体調が悪くて、一日中寝てしまいました。やっと、起き上がっても、でかけたり、何かをしようという気分ではないままに観たのが、この映画。自分が弱っているから、益々、気が滅入っちゃたのかも…

国家の非常事態

2019-02-15 | アメリカのニュース
Happy Valentine's Dayの次の日!!いそいそとスーパー行って、半額のハート型の箱に入った、ちょっとお高めチョコレート買ってきました。嬉しい。

 今日が期日だった、再度の連邦政府一部閉鎖を避けるための議会と大統領の合意は、無事に達せられましたが、要求している国境の壁建設費用のための予算が大幅に下回ったトランプは、国境の壁の建設予算確保のために、国家非常事態を宣言すると発表。政府閉鎖を避けるため、予算案に署名はするけれど、大統領権限で別の予算を壁建設費にまわして80億ドル(約8800億円)を捻出するというものです。

 また、フロリダ州の高校での銃乱射事件で、多くの若い命が中断されてから一年経った翌日である今日、イリノイ州オーロラの工場で、またもや銃乱射事件が有り、被害者が出ました。日常茶飯事となった無差別殺人。これは非常事態です。国境で引き離される親子、1ヶ月以上の連邦政府機能停止、鎮痛剤を含む麻薬摂取によって多くの死者が出る、これらは非常事態です。でも私が思うに、この国で最も重篤な非常事態は、大統領が馬鹿すぎること。

 議会を無視して、自分の要求を通そうとするのは、大統領特権の濫用です。個人所有地に、本来は他の目的のために確保されている国家予算を使って、国が無理やり壁を立てるのは、民主主義でもなければ、近代文明社会ですらない。議会は、大統領の国家浮上事態発令を拒否するという態度を示してますが、それをトランプは拒否すると明言しています。で、議会と大統領の根比べが始まる。で、その費用、全部、私達の税金ね。本当に、後2年もこんな状態が続くのかしら… 大統領罷免のためなら、税金使ってくれても全く構わないんだけど…

LAに新幹線は来ない

2019-02-13 | アメリカのニュース
 今日のヤフーによりますと
【AFP=時事】米カリフォルニア州のギャビン・ニューサム(Gavin Newsom)知事(民主党)は12日、ロサンゼルスやサンフランシスコなど州内の主要都市を結ぶ高速鉄道の建設計画を撤回すると表明した。

そうです。2033年完成予定の約840キロの区間を3時間弱で結ぶ高速鉄道は、ジェリー・ブラウン前知事やその前のアーノルド・シュワちゃん元知事が支持していましたが、「当初約400億ドル(約4兆4200億円)とされていた総工費は770億ドル(約8兆5000億円)に膨張。計画は何度も遅れ、法廷闘争にもなっていた」のだそうで、地域経済活性化のために、田舎地方部を結ぶ計画に方針転換するのだそう。
  え~?がっかり~!

 ロサンゼルスからサンフランシスコは、ちょうど東京-大阪間みたいな感じ。飛行機で飛ぶには空港でのチェックや、空港から中心街までの移動が面倒。車だと、延々と景色の変わらない眠い6時間。新幹線みたいに、美味しいものをいただいて、ビールなんかも飲んじゃったりしながら、のんびり外の景色を眺めたり、駅で買った雑誌を読んだり、ちょっとウトウトしながら目的地へって、実現を楽しみにいていたしていたのに。

 途中でサンタ・バーバラや、ワイン・カントリーにも停まって、ワイナリー巡りのツアーでもあれば、観光収入も増えるでしょう。LAで止まらず、サンディエゴまで伸ばしてもいい。途中駅は、カールズバットにラ・ホラ…と、夢を見ていたのですが。

 でも、2033年なんて、今から14年も先の話だから、その頃にはもっと速くて、先進的技術が開発されてそう。イーロン・マスク氏のチューブなんかも、実現しているかもしれないですね。飛行機と同じとしても、所要時間は1時間。これって、お昼寝や駅弁食べるには微妙ね。3時間ってのが、適度にリラックスできる時間でいいのかも?うーん、やっぱ惜しいなぁ…


西~東海岸が45分って、時差が3時間もあるのに、1時間以下で移動できるなんて…
便利だけど速すぎて、ちょっと怖い気もする

干芋ショック、再び

2019-02-09 | Museumsとイベント
 コロンバスの日系食料品店、テンスケに行く機会があったので、前回、犬に食べられちゃった干芋を買おうと意気込んでたのに、販売終了だって。違うメーカーのなら入荷予定がありますって言われたけど、あの干芋が美味しかったのよ~!ショック…

 気を取り直し、テンスケでお友達を待ち合わせして、AAAのバケーション・エキスポに行きました。去年行ったとき楽しかったし、貴重な情報をゲットして、春にはフロリダのサニベル島、夏にはアイスランドに行ったし、今年もきっと行く!と、心に決めていたのだ。今年は、場所もダウンタウンの中心にあるコンベンションセンターから、少し外れたフェア会場になって、ちょっと規模が小さくなってた。前回のように、その場で「ここに行く!」と、心に決めちゃうような魅力的な情報は得られなかったけど、イベントそのものは、今回もとっても楽しかったです。いろんな無料配布品やカタログもばっちり集めたし、見ているうちに今年のバケーション計画も頭に浮かぶかも。

 本当は日本に行きたいのだけど、まとまったお休みは、夏とお正月前の飛行機代が高い(><)時だけなので、宝くじにでもあたらない限り無理かなぁ… そのためには、まずは宝くじを買わなきゃなんないんだけど、実は買い方がわからない…

人種・肌の色

2019-02-08 | アメリカのニュース
 先日は、アニメになった大坂なおみ選手の肌の色が白すぎると日本で問題になりましたが、アメリカでは、ヴァージニア州知事が、1984年の医科大学の卒業アルバムの中で、顔を黒塗りにした男とKKK衣装のツーショットのうちの一人であると指摘されて一旦は謝罪したものの、ごめん、間違えた。顔を靴墨で黒く塗って、マイケル・ジャクソンの扮装でダンス・コンテストに出たんだったわ、と、後から訂正したものの、問題はそこじゃないだろ!と、激しく突っ込まれている最中。35年前のアメリカの状況は分からないけど、マイケル・ジャクソンの「スリラー」は世界的に大流行で、地球上のアチコとで赤と黒のジャケットを着て、ムーンウォークを真似る人は沢山居たはず。

 そこへ今度は、高級ブランドのグッチの新作セーターが、黒人差別であると非難されて、販売中止になったとのニュースが。どんなセーターだろうと思って、ネットで調べてみたら、左の画像のセーターだって。悪趣味なデザインだとは思うけど、鼻が凍傷になりそうな冬を過ごしている身としては、このアイデアは有りかも?なんて思ってしまうのですが、これは「ブラックフェイス」を連想させるからダメなんだそう。

 ブラックフェイスとは、顔を黒く塗り、口の周りを大きく白く抜いた黒人を揶揄した、お笑いの登場人物で、19世紀末から前世紀半ばまでは定番でした。トロくてお馬鹿な発言を突っ込まれるという、黒人蔑視の最たる例の一つとして、現在では忌み嫌われています。でも、このセーターを、ブラックフェイスだとイチャモンつけるのは、過剰な反応じゃないかな、と、思うのは、私が人種問題に疎い日本人だからなのかもしれません。昔、一時、女子校生の一部がやってた、ガン黒とかヤマンバメイクとか、今なら、エラいこっちゃ!になってたろうなぁ…

 アメリカで、このグッチセーターが許容されなかったのは、丁度、上記のヴァージニア州知事の件で揉めてる真っ最中だったのもあるかと思うのですが、トランプになってから、人々が人種に関して一層、ピリピリしているような気がします。10年前の映画、「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」でロバート・ダウニーJr.の演じた、役にのめり込むあまり、黒人化してしまった俳優は、現在では許されないかもしれません。なんだか「アカ狩り」ならぬ「クロ狩り」のようだ、とすら、思ってしまいます。 

 黒人だけではなく、アジア人に関しても、チャイナドレスでプロムに出席しようとした白人の女の子が、ネットで非難されたことがありましたし、白人モデルが、芸者さんをモチーフにした衣装を着たグラビアが掲載中止になったことも。当の日本人は、その写真見て「かわいい」とか「綺麗」って感想が多かったようですが、私も見たけど、ステキって思ったよ。ちなみに私は、むか~し台湾で赤いチャイナドレスを作ってもらい、パーティーなんかに着て行ったのですが、今じゃ許されないのかな?それとも同じアジア人だから許されるのかな?もっとも、今じゃ子供生む前のドレスなんか入らないけど。

 目尻を引っ張って、細目にするのもご法度です。すると、目が一本線のポケモン登場人物、タケシ君なんか、肌の色も濃いし、凄くヤバいんじゃ…?!逆に日本人が、上がり目、下がり目、グルっと回ってにゃんこの目、ってのも、黒人の丸くて大きな目を揶揄してるって問題になるかも?なんとも、難しい時代になったものです…


タケシさん家は全員、線一本目