わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

ズートピア:うさぎのジュディーが可愛すぎ!

2016-03-13 | 映画・ドラマ・本
 ディズニーがまた、どえらいヒロインを生み出しましたよ!とてもメッセージ性の強い映画でした。予告を観て、次はこれ見る!と、決めた「ズートピア」、かなり期待値を上げて観に行きましたが、その期待を全く裏切らない良作でした。ワタシ的に
超おススメ!!
ただ、「パンダ」みたいに花びらが降ってきたり、飛び出したりはしないので、わざわざ3Dで見る必要はなかったかもしれない。3Dならではの映像は、「マダガスカル3」の評判を思い出しても、ドリーム・ワークスのほうがサービスいいかも?私は「アナと雪の女王」も3Dで観なかったので、見た人の比較した3D画像に関する感想を聞きたいです。

 とにかく、主人公、うさぎのジュディー・ホップスが本当に魅力的。かわいくて、そこはかとなく漂う健康的なお色気は、世界中のケモナーをKOしそう。手塚治虫氏が草葉の陰で「時代が私に追いついた」と盛り上がってるかも?気分や服装次第で、耳が上がったり下がったりするのも、反則的な可愛さです。健気で頑張り屋、初のウサギ警官になるために、サイズや力といった多くの生まれ持ったハンデをものともせず、むしろそれを活かして目標に向かって努力し、夢を現実にする。でも頑固でもクソ真面目でもなく、肩肘張らずしなやかに生きている姿は、現代女性の理想の姿の一つかもしれません。ちなみにジュディーには兄弟姉妹が275羽いるらしい。

 主人公のキャラクターはもちろん、ストーリーや登場人物(動物?)には、多くのメタファーが盛り込まれています。また、警官による暴力、人種差別、性差別、偏見、いじめ、異人種間恋愛、肥満等、現在のアメリカの抱える問題に対するメッセージが、強く押し出されています。ジュディーとニックがそれぞれに抱える子供の頃の嫌な思い出も、ひ弱いウサギであるがゆえにいじめられ、警官になると夢を馬鹿にされてもひるまなかったという「正統派」なジュディーに対し、捕食者であるがゆえにいじめられ、ステレオタイプに押し込まれたニックのそれは、皮肉に満ちています。これには、アカデミー賞が白人寄り過ぎるという、つい先日の騒ぎを思い出さずにはいられませんでした。黒人でアカデミー賞受賞者のジェイミー・フォックスが「本当に黒人俳優が自分たちの演技はノミネートとされた誰よリも優れていると信じているならうぬぼれだ」とい発言しましたが、心のなかでは多くがそう思っていたはず…

 話がずれました。すごく面白かったし、色々な教訓が含まれているとは思いましたが、でも、小さな子供には怖すぎるシーンもあり、対象年齢がどの当たりを狙っているのか判らない。アナ雪の氷のモンスターよりすっと怖いし、ネタバレになるので詳しくは書きませんが、シチュエーションも子供にはトラウマになりかねないシーンがいくつかあります。
      
かわいいだけじゃなく、頭も切れる!にんじんペンが大活躍。玩具で売ってるの、私買いそう


 捕食者と被食者の関係が克服された時代、かつての捕まえて食べる側、食べられる側の動物たちが共存しています。努力でウサギとして初めて警察学校を、しかも主席で卒業したジュディは、大都会ズートピアに配属されますが、水牛の警察長官に駐車違反取締を命じられてがっかり。それでも、1日で100枚の駐車違反切符を切ってこいと命じられ、「正午までに200枚切る!」と自分で目標を決め、実行します。なんしかウサギですので、メーターの切れる小さな音も聞き逃さない!数秒の遅れでも違反切符くらっちゃいます。本当にこんな婦警さんがいたら困っちゃいます。駐車違反切符のノルマなんて、勿論あってはならないのですが、実際にNY市警がノルマを課していてすっぱ抜かれたことがあるので、この辺りも実は黒い。

 その頃、ズートピアでは、動物が謎の失踪を遂げる事件が続発していました。花屋さんをしている温厚で家族思いの夫が行方不明だと訴えるカワウソの訴えは、調査に忙しい長官から門前払い。そこへ、ジュディーが助け舟を出しますが、48時間以内に事件を解決できなければ辞任しろと言われてしまいます。事件の鍵を握るのは詐欺師のキツネ、ニック。かくして、ジュディートニックは48時間以内に失踪したカワウソを見つける任務に繰り出すのですが、お硬い刑事とストリートスマートなチンピラのコンビが、48時間だけの猶予を与えられて事件解決に挑むという状況がまさに、エディー・マーフィーの出世作「48時間」そのものです。

   
警官は大きくて強い動物ばかり。水牛のボゴ長官はウサギの警官にお冠

  

 有名な映画のパロディーがふんだんに散りばめられており、そこも見所だと思います。ニックが「ありのままに~」って歌うシーンも有りました。そして、LA舞台の映画でお馴染みの巨大ドーナツもお約束通り転がります。かつて私は、このドーナツ屋の近所に住んでおり、白内障の手術をしてド近眼が治るまでは、映画で転がるドーナツを見るたびに、もしLAに大地震が来たら、目がよく見えない自分は、あのドーナツの下敷きになって死ぬモブ要員かも知れないと恐れていたものでした。

   
おなじみ巨大ドーナツも転がる


ニックの知合いの詐欺師が売ってる海賊版。これ、全部観たい


 カワウソを見つけるという、警察にとっては取るに足らない事件を追っていたニックとジュディーは、街全体を巻き込んだ陰謀を暴くことになります。でも、そこで事件解決でめでたし、めでたし、ではなく、さらなる陰謀へ、そしてもっと深い問題へと進展していくのです。脇役も皆、印象深いキャラクターで、小さなエピソードが全て伏線となる脚本は、お見事だと思います。でも、劇中では、ニックがウサギ農場で作っているブルーベリーを食べてたり、太った気のいいチーターがドーナツ大好きというシーンはありますが、肉を食べるシーンはありません。また、ズートピアには犬や猫は住んでおらず、鳥もいません。その辺りは謎。そして、一大総合都市であるズートピアには、熱帯雨林の街、小動物たちの街、砂漠の街等、実は動物の生態に合わせた色んな環境の街があるのですが、街の中心で彼らが共存しています。通勤電車に3サイズのドアがあったり、芸が細かい。

 仕事が遅いことで定評のある自動車局の職員は皆ナマケモノなのは、「MiB」の、郵便局員は実は全員エイリアンに次ぐ爆笑ネタですが、銀行職員は皆ハムスター、そして、せっかく警察学校を主席で出たのに、任された仕事が駐車違反取締り(Meter Maid)で、主人公が落ち込んだりバカにされたり、これに職業差別だって文句言い出す人がいないか心配。

 私自身があまり前知識なしに見て、とっても楽しんだので、ネタバレは控えますが、書きたいことが一杯ある~!日本で公開されたら、語りまくりたい一作です。ところで、日本のポスターのはミッキーが隠れてるそうですが、映画の中にも、乳母車にミッキーのぬいぐるみが入ってたり、チーターの模様がさりげにミッキー型だったり。このポスターの隠れミッキーは、実は「どうせ、ここだろ」と思ったらドンピシャで直ぐ分かっちゃったんですが、バレは白抜きで。ジュディーのニンジン柄バッグの真ん中は実はミッキー型なんだよね。このバッグすっごく可愛い。欲しい!

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