わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

アメリカン・スナイパー

2015-06-05 | 映画・ドラマ・本
 いつものようにNPR(National Public Radio アメリカの公共ラジオ局)を流しながら、カリフォルニアの街を運転していた時に、クリス・カイルの死を伝えるニュースを聴いたのを、何故か鮮明に覚えています。クリス・カイルの名前を聞いたのは、その時が初めてでした。サウスベイのビーチシティーは元は砂丘だったので起伏が激しく、急な坂を下りきった交差点の信号待ちで、伝説的射撃手であったクリス・カイルが、射撃場でPTSDの帰還兵に撃たれたという第一報を聞いて「なんで、そんなアブナイのんと射撃場に?」と、思いました。もちろん、背景なんか全く知らないし、娯楽射撃が戦場でのフラッシュバックと銃声(その他の大きな音)への過敏反応への治療になるなんて思いもよらなかったので、普通に兵隊上がりのテキサスのレッドネックが銃をぶっ放してウサ晴らしにでもなるんかな、と、失礼なことを考えました。

 クリント・イーストウッド監督作品、今をときめくブラッドリー・クーパー主演、そして伝説のスナイパーの実話を元にした映画ですから、前評判も上々の話題作でしたが、図書館にDVDDがあったんで、ま、話のネタに観てみるか、程度の軽い気持ちで見始めたのですが、いきなり最初のシーンから引き込まれました。この冒頭のシーンは、プレビューでも使われてたんだけど、こう繋げるか!さすが手練のイーストウッド監督、上手いです。すっかり、監督の思うツボで、後は怒涛のように映画の中で感情のジェットコースターなのですが、常に結末が判っているだけに、どんな場面にも悲哀がつきまといます。私のクリス・カイルへの誤解を解いてくれてありがとう、イーストウッド監督。

 ターゲットに狙いをつけながら携帯電話で家族と話してたリ、存外と軽いノリで、近代戦争とはこういうものかと感心しました。こういう描写って、今までの映画にはなかったと思う。戦場っていうのは常に緊張感で張り詰めていて、真剣な場面ばかりで。戦場は思いの外、近くにあるんだとドキッとしました。

やっぱりクリント爺さんはいい映画を作るねぇ…