わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

American Gothic (@Tafts Museum of Art + Cincinnati Art Museum)

2014-09-28 | Museumsとイベント
 正に秋晴れ、美しい日。思わず、私の住む小さな町から1時間ちょっと南へ行った、シンシナティへと車を走らせました。目当ては、市内にあるタフツ美術館(Taft's Museum of Art)と、シンシナティ美術館(Cincinnati Art Museum)。タフツはかつての豪邸をギャラリーにした、私好みのこじんまりした個人所有美術館。日曜日は入館料が無料です。ここのカフェでブランチを頂いてから、美術館を楽しみました。美術館のカフェやギフトショップは外れがないと思う。とても気持ちのいいお天気だったので屋外で美味しいワインとキッシュを満喫!今日は、午後遅くになってから、フリーのジャズ・コンサートが予定されていたのですが、シンシナティ美術館へも行きたかったので、そちらへ移動。

 シンシナティ美術館の目玉は、今、貸与展覧中のグラント・ウッドによる超有名な作品、「American Gothic」 です。普段はシカゴ美術館にあるのですが、今回、シンシナティ美術館の持つ、もう一つのウッドの代表作、「Daughters of Revolution」 と並べて展示されているのです。これは、今も活動している、DAR(Daughters of Revolution:独立戦争で戦った祖先を持つ女性たちによる、私ラ由緒正しきアメリカ人!な気取った奥様方の集団。わにおの母上も当然、メンバーである。うげ)女性たちを描いたものですが、後ろにかかっている「ハドソン川を渡るワシントン将軍」はドイツ製の銅版画だし。そのワシントンが大統領時代に使っていた食器は、ここで白髪女性が気取って持っているティーカップのパターンなんだけど、これが中華風という、なんとも皮肉な絵なのですね。

 で、「アメリガン・ゴシック」なのですが、よく目にする絵だし、一度観たら忘れられない強烈なインパクトの有る絵だけど、一体どこがそんなにいいのか、私的に全く謎なこの作品。当に中西部のトウモロコシ畑のど真ん中で、実物にお目にかかれば、その良さが伝わるか?と、確かめに行ったのです。一室だけの展示に、特別料金5ドルを支払い、実物を目前にした感想は、「案外、小さい…」

 この絵もまた、発表直後には、真面目で素朴なアメリカの農民をバカにしておる!と、散々叩かれたそう。だいたい、上のDAR絵が皮肉っぽいし、前科ありますものね。でも、ウッドは、「中西部の気高い清教徒の倫理的価値観と美徳を典型的に示した」(って、説明書きが言ってた)らしい。モデルの女性はウッドの行かず後家未婚の妹さん、男性はご近所の歯医者さんで、先ず、背後に描かれた家を見たウッドがインスピレーションを得て、妹と歯医者さんにポーズを付けてもらったんだって。衣装はシアーズで注文した、とまで、説明されてた。たまたま、いい素材を見つけたんで書いてみた、という絵ではなく、完全にセットアップされた作品だったのです。

 この絵が有名な要因の一つは、とにかく、パロディーのネタにされていること。ネタの二大巨頭の一つは、都会に暮らす人々の孤独を描いたエドワード・ホッパーの「NightHawks」 で、もう一つがこの、対照的にアメリカ中西部の田舎に暮らす農民を描いた「アメリカン・ゴシック」と言っていいのでは?本物の方は馴染み無くても、アメリカン・ゴシックのコンビが他の人になってたり、ナイトホークスでカフェに座ってるのが、ジミー・ディーン、マリリン・モンロー、ハンフリー・ボガートになってたり、っていうのは、見たことありませんか?(なんだか、超見難いことになっていますが、小さい絵をクリックすると、もう少しだけ大きい画像に飛びます。サムネイル見て、あ、この絵ね、と、分っていただけたら、と、思ったんです…)
 
 と、結局、なんだか良く解らないまま、せっかく来たので、シンシナティ美術館を探索。余り規模の大きな美術館ではないんで、私基準でじっくり見ても3時間弱でほどで周れちゃう。私的に美術館といえば、犬猫探しですが、今日も沢山のかわいい子たちに出会えたよ!そうそ、金曜日に、週末は美術館に行くって言ったら
知人 「良いご趣味ですね。どんな絵がお好きですか?」
わに 「主に犬猫ですね」
知人 「は?」
わに 「ですから、犬や猫の絵を観るのが好きです」
知人 「はぁ??なんていうか、わにさんって、底の知れない人ですねぇ」
わに 「奥行きが深いというより、底は浅いけどヘドロで見えない、みたいな?」
知人 「ええ、まぁ、その… ははは」
わに 「ははは… orz」

と、いう会話がありました。だから、絵の中に犬や猫を探して写真に収めるのが趣味なんだけど。


タフツ内部、かつての正面玄関。お家拝見も一緒に楽しめるのが好き。金持ち、パネぇ!

  
日本のわんこ絵と、シンシナティ美術館本館前の大きなピノキオ像。いい天気だ~

  
可愛い犬猫がいっぱいいた!でも、お目当てのポインター絵は展示されてなかった…(TT)

本日のお気に入り

これは芸術作品なので触らないで下さい、と、書いてあります。
これって単に注意書き?それとも実は、この注意書き込みで作品???
正直、後者であって欲しい気がする

再び田舎の怖い話

2014-09-16 | 田舎暮らし
 田舎の不便さは、何かかにかと選択肢が少ないことに起因するのではないかと思います。お店も少ない、選べるサービスも少ない、就職先も少ない。美味しいレストランがない、素適なお店がない、週末に遊びに行く場所もない。でも、このくらいは耐えられる。しかし、マトモな医者がいないってのはどうよ!?!

 この街には医療診療所が二箇所しかありません。一箇所はたいそう評判が悪く、もう一箇所は、もう一つよかマシ程度であることは聞いていました。しかし、長年飲み続けている処方薬を出してもらうのと、年に一度の血液検査以外には何も期待してないし、どこでも代わり映えはしまいと思っていた私は甘かった。アメリカのスーパーで売ってる毒々しい色のカップケーキよりも甘かった。それに更にハチミツ垂らした程に甘かったーっ!!ヽ(`Д´メ)ノ

 今回の私の怒りの原因は、この写真。エグいんでサムネにしておきます。
 これは、一週間前に普通の血液検査用日を抜かれた私の左腕。抜かれている間、やけに痛かったのですが、どうやら血管をぶちぬいてしまったらしく、一週間たっても、このようにとんでもない内出血になっているのです。下手にもほどがありますが、私が怒っているのは、これだけではありません。そもそも血液検査を受けた理由が、私が長年飲んでいるお薬の処方箋を出してもらうため。私は遺伝性の高コレステロール症で、若いころからコレステロールを抑制する薬に加え、偏頭痛持ちなので、症状が出る前に釣行を感じたら飲めるよう、市販薬よりも強めの痛み止めを飲んでいます。これらの薬のために、お医者さんがコレステロール値と、痛み止めは肝臓に影響が出るので肝臓関連の数値を見るため血液検査を要求するのは分かる。でも、その後、一週間以上たっても、処方箋が出てないってどうよ?!

 血液検査の結果だって、今まで東はNY州ニューヨーク市から西はCA州ロサンゼルスまで住んだけど 、自分が血液検査の結果をわざわざ請求しなきゃ送ってもらえない場所なんて初めてだわ!LAのカイザーなんて、検査したその数時間後にはウェブサイトで検査結果が見られたのに、そこまでとはいわんが、普通は自動的に送ってくるもんでしょうが?!

 で、処方箋が出てない理由ってのが、火曜日に検査を受けて、火曜日てっきり忘れ、水曜の朝に薬局が電話してみたら、担当医師が今週中いないから、次の週まで処方箋出せないって言われたそう。個々の診療所には、他に処方箋にサインできる医者や上級看護婦が1人もおらんのか??

 金曜日には、車で2時間離れたお得意様まで、1人で往復せねばならなかったんですが、腕が痛い、とまでは行かなくとも、なんだかズシーンと重くて、普段は気にならない2時間程度の運転が、今回は辛かった。でも、痛み止めないし!と、激しくイライラしている私でございます。保険会社にはクレームをファイルして調査開始を申し入れたし、この診療所の親グループである病院にも文句言ったし、フェイスブックにも写真入りで文句垂れてやったが、わし的には、実際になんか結果が出るまでは收まらんぜよ。

 でも、今回、この診療所の程度が露呈したのが私だったのは、まだマシだったのかも。だって、日本からの駐在の方のご家族も(他に選択しないんで)、よく使っている医者なのです。これが、来たばかりの日本人のお子さんとかだったら大変!こういうことが再発しないためにも、わたしゃガンガン突っ込むよ!

LAST VEGAS

2014-09-11 | 映画・ドラマ・本
 家に帰ったら、寝る以外に何もする気も起こらない日々を過ごして、ふと一息ついてみたら、もうすっかり虫の声とカナディアンギースの渡る声が聞こえてくるようになっていたオハイオです。夏の間中、秋になったら余裕ができると思い続けてたけど、気がついたら秋になってた。でも、やっぱり謎に忙しくて疲れてしまい、週末は家に持ち帰った仕事したり、バイトの翻訳したり、地元の州立公園に犬の散歩行ったら丸ごと一日終わってた(@_@)って感じ。図書館から映画を見ようとDVDを借りてくるんだけど、観る気力もないままに返却期日が来ちゃって返してしまいます。疲れ取れへんわ~、トシやわ~、と、寂しく思う日々。でも、これは返す前にちゃんと見たいよ、と、思った映画。くたびれた時にこそ観たい映画。

 おいおい、またじじぃ映画ですか、と、自分に突っ込みいれつつ、だってさ、マイケル・ダグラス、ロバート・デ・ニート、モーガン・フリーマンにケビン・クラインだよ?で、華を添える(のか?)女優さんも、メアリー・スティーンバージェンと、立派なオバサンですよ。この面子は、全員がアカデミ-受賞俳優ですよ。でも、名優揃い踏みな皆さんが迫真の演技対決ではなく、肩の力抜き抜きで夢の共演。お話はありがちだし、これといって洒落たセリフもない。Las(t) Vegasなんて、おっさんギャグなタイトルからも、もー若者層なんかアウト・オブ・眼中ですから、レトロ狙いですから。おっさんファンタジーですから!って製作者側の思いが伝わってきそうです。確かにアラフィフな私には、お馴染みの名優が揃って出てるのを見てるだけで、豪華な気持ちですよ。歌舞伎の顔見世みたいなもの?

 モーガン・フリーマン演じるアーチーがカジノで大儲けして、ぱーっと使っちゃえ!と、奥さんをなくしてからアパートに引きこもっていたデ・ニーロ、LV行き前に奥さんにバイアグラとコンドーム渡されちゃう枯れたクライン、そして過保護息子と同居して孫の世話してるフリーマン演じる面々が、いきなりじっさまルックから、高級な服に身を包みベガスで豪遊、なんだけど、何しろ中の人達が正真正銘の大セレブですんで、バッチリ決まっております。一般人がいきなり赤いシルクのジャケットとか来ても絶対似合いません。だいたい、お腹も全く出ていない『その辺によくいる好々爺』ってのが作り話でしょ?若い娘っ子と踊っても、立派に絵になっております。伊達にハリウッドの大スターを長年やってるんではないという、醸し出るお金持ち臭、大物臭がプンプンなのも華やかでよろしい。だって、観たいのはファンタジーなんだもの。

 ちなみにアーチーがブラックジャックで勝ち続けて得た金額は、10万2千ドル。マイケル・ダグラス演じるビリーは、マリブの海岸沿いに洒落たお家を持っているほどなので相当なお金持ちだろうし、その辺に住んでる人にとって10万ドルなんて、はした金とは言わないけど凄い高額でもないって気もするんだけど。ま、この程度あれば、週末をベガスで豪遊できるんだね、って参考になった(何のだ?)

 こういう映画のレビューを見ると、「RED」シリーズや「エクスペンダブルス」等、往年のスターが年甲斐もなく健在ぶりをアピールな映画はお腹一杯という意見も見ますが、自分もおばさんな私には、じじ・ばばシターたちは『往年の』ではなく、未だ現役スターなのです。顔なじみ、という方はおかしいかもしれないけど、知ってる顔が出ていると安心感もあるし、老いてお盛ん映画、とっても楽しんでいます。若い世代には、なんでこんな古い人ばかり出てくる映画を連発するかな?名もあり、金もある連中の自己満足じゃねーの?かもしれないけど、ちゃんと需要はあるから、それなりの興行成績も得ているのですし、それを支えるのは、主に私世代以上ではないかと思います。だってさー、観るもん。「RED」も「Expendables」もシリーズ出る度、観るもん。楽しみにしてるもん。で、まだまだ捨てたもんじゃないぞー!って意気込むの。やっぱファンタジー?


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