わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

ジャスティス・リーグ

2017-11-25 | アメリカのニュース
 観たー!面白かったー!!


 スーパーヒーローが程よく収まってて、高級お幕の内弁当みたいな映画でした。真ん中にドーン!と車海老(スーパーマン)、神戸肉(バットマン)に新鮮な旬の野菜の煮付け(ワンダーウーマン)、堅実なコシヒカリ(サイボーグ)、わかめのおひたし(アクアマン)に謎の派手な色の羊羹(フラッシュ)が、見た目も美しく箱詰めされてる感じ。

 途中降板したけど、神々とステッペンウルフさんの戦いは、「300」を思わせ、スナイダー監督っぽさ炸裂でした。アマゾンたちの戦いは何度見ても (・∀・)イイ!! 寝起きで機嫌の悪いスーパーマンさんが暴れだして、成り行きでJLの面々と戦いだすのですが(さすが脳筋の集まり)、フラッシュを目で追うスーパーマンと、フラッシュ主君の驚き顔は背筋ゾクゾクでしたよ。ここですかさずガールフレンドを投入するバットマンさん、さすがは単なる脳筋お金持ちじゃないね

 一つ、しみじみと思ったのは、こういう群像物って、お金持ちキャラが必須だよねって。それも小金持ちじゃなくて、「うる星やつら」の面堂くんとか、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の中川みたいな、桁外れレベルのトンデモなお金持ち。あんたの特別なパワーって何?と、きかれて「凄くお金持ち」、銀行に差し押さえられて家を買い戻すのに「銀行丸ごと買収した」のバットマンさんはスーパーマンが勝てない銀行にバットマンは勝てる!


 シャレにならないお金持ち、そして洒落にならないパワーで、団地の建物ごと移動しちゃうスーパーマンさんみたいな、そこまでやるか?が、スーパーヒーロー者には必要だわ。でも、私、どっちかっていうとマーベルのほうが好きかなって。明るいし、笑いのツボが自分に合ってると思う。マーベルはコメディーで、たまにシリアス風味、ジャスティス・リーグはシリアスで、たまにギャグが入るってイメージかな。フラッシュくん、いい仕事してました。

 しかし、ステッペンウルフさん、地球になんか来なきゃ良かった!って後悔してそうです。何しに来たんだ、オマエ?ってスーパーマンさんに軽くあしらわれちゃったしね~。ミジメ…

コロンバス動物園で光の祭典

2017-11-24 | Museumsとイベント
 評判の良い、コロンバス動物園・水族館のクリスマス・ライティングを観に行きました。11月の末だと言うのに暖かくて、夜のお出かけも心地よい。やっぱ温暖化、来てる?










とっても綺麗でした。楽しかった~


 夜の動物園は、暗くて、あんまり写真は撮れなかったたけど、昼間は寝てばっかの動物たちが活発に動き回っている姿が見られて面白かったです。メキシコオオカミが群れで走り回ってたり、マウンテンライオンが二匹でじゃれあってたり(猫だ!猫だ!)、ウォンバットがもぐもぐ食事中だったり…


昼間は岩場で寝てばかりのお父さん虎も、外に出てゴロゴロ
実はいつもの岩場には「Man Cave」と書いてあることが判明


ゾウさん、屋内で水遊び(?)


 園内ではいつもの屋台に加えて、カクテルの屋台もそこここに。ビールは、園内で買った毎・グラス(プラスティックだけど)を持参すると割引価格です。グレープフルーツのビール飲んでみた。さっぱりして美味しかった。ウイスキー入りのココアも飲んでみた。凄く美味しかった。園内一周したトコで寒くなってきたので、ついホットラム飲んだ。とても美味しかった。ただし、車運転して家に帰らなきゃなんないので、その後も歩き回らねばならなかった。

 ところで、今日は感謝祭の次の日、前日から早朝の開店を待つ買い物客が列をなし、開店同時に押寄せて怪我人まで出る全米お買い物日のブラック・フライデーですが、一時期、12時過ぎて金曜日になった途端に開店、いや、いっそ木曜日の午後から大セールが始まるほどに加熱化したのも、ネットでの通販が発達して落ち着いたように思えます。実際、ニュースの第一報では、ネット通販が過去最大額を記録したそう。でも、実店舗の売上もまずまずだったらしいので、景気も順調に回復しているのでしょう。トランプと共和党の金持ち以外を苦しめる税金+医療費負担のせいで、また不況にならなきゃ良いんだけど…

IT/イット“それ”が見えたら、終わり。

2017-11-23 | 映画・ドラマ・本
 観ました。昔、TV版観てトラウマなったのに、劇場で予告観てトラウマ蘇って怖かったのに、あんまり評判いいんで、つい観てしまった。冒頭で殺されちゃうジョージーくんが可愛すぎて辛い。こんなに可愛いお兄ちゃん大好きっ子が犠牲になるなんて…

 昔のTV版では、現在と過去が交差しながらお話が進むのですが、映画では1988年の子供時代だけで、批評や映画感想でよく言われている「ホラー版スタンド・バイ・ミー」が、正にその通りだと思いました。しかし、この映画では、殺人ピエロより、完全にイッちゃってるいじめっ子とか、ベバリーのお父さんのほうが怖かった。いじめっ子とか傷害罪で捕まるレベルでしょ、って思ったら、こいつの父が警察官で、この子にしてこの父有りなイッてる警官でした。ホントに逝ってしまわれましたが。

 下水!怖い絵!廃屋!地底!という定番の恐怖要素に、虐待、いじめ、家族の死と、不幸要素がてんこ盛りなルーザーズ(負け犬たち)の血生臭い、ひと夏の成長物語には、「グーニーズ」と「スーパー8」を彷彿させるほろ苦さも。女の子が他の男の子たちより少し大人で、一番、肝が座ってるのも、実は現実的だと思う。


スーパー8みたいね


 結局、ペニーワイズは殺る気満々の武装した子供たちに、これでもか!これでもか!と、やられて退散し、皆で集まって、今度ヤツ(It)が現れたら、ここに集まろうと団結して終わるのですが、ここで終わっても綺麗にまとまってるのにな、むしろ、その後の彼らは想像に任せてほしいような… でも、第二章、見に行くけど。

 ところで、このItって、「それ」じゃなくて、「You are It!」のオニごっこのオニな意味のほうが雰囲気近いようなきがするんだけど… 昔のTV版と区別するためなのかもしれないけど、「それが見えたら終わり」って邦題は、もうちょっと何とかならなかったの…orzって、思っちゃうよね…

ゴッホ 最期の手紙

2017-11-18 | 映画・ドラマ・本
 ダウンタウンの劇場まで「Loving Vincent(邦題:ゴッホ 最期の手紙)」を観に行きました。ゴッホが自殺して1年後、郵便配達人ジョゼフ・ルーランの息子アルマンは、ゴッホが自殺の直前に、弟のテオに宛てた手紙をパリに届けろと命じられるパリに行ったアルマンは、画商のタンギー爺さんから、テオもまた、兄が自死した半年後に持病が悪化して亡くなっていた事を知る。手紙を誰に渡せば良いのか?アルマンは、ゴッホが死ぬ前の二ヶ月を過ごしたオーヴェル(AUVERS-SUR-OISE)へ向かう。

 ゴッホの最後の手紙には、とても調子がよく精神状態も安定して創作も進んでいるとあった。それなのに何故、自殺なんかしたのか?アルマンは、生前のゴッホを知る人達に話を聞いt回るうちに、その死の真相を突き止めていく…と、いうお話。実写映像を元に、世界中から125名のアーティストを集め、6万5千枚の油絵で描いた圧倒的なアニメーション映画です。日本の公式サイトはこちら


こんな絵が動くよ


 全編、ゴッホの絵を再現した油絵というわけではなく、半分は白黒の水彩画風場面です。アルマンを探偵役に、ゴッホの死の真実を解き明かしていく、ミステリー仕立てになっていますが、正直な所、ストーリーはオマケで、あくまでも「ゴッホの絵が動くぞ!」のが大事。モーション・キャプチャに絵を載せたアニメですが、静止画でも、どっか動いてなきゃ気がすまないとばかり、ゴッホの大胆な筆使いがうにうに動きます。油絵部分では、そこまで拘った画作りをしているのに、白黒場面で、元の実写部分と柄がうまく合成されていない部分が気になりました。

白黒部分はこんなん


 この作品は、ひたすらゴッホを愛する人々によって作られたので、ゴッホは変人だけど愛されキャラで自殺なんてしない、という結論に落ち着きます。ゴッホへの愛が満ち溢れた映画で、正直な感想は、その推理はちょっと苦しいかなぁ…なのですが、手紙が届けられた後、ルーラン親子にテオの未亡人から届いた手紙、「Loving Vincent」の文字には、じわーっと…た。


 私は、むか~し、ワシントンD.C.の国立美術館で、大規模なゴッホの作品展をみるという幸運な機会に恵まれたのですが、彼の作品に触れた本音は「確かにこれは狂気の沙汰だ」だった。その圧倒的な色彩と筆致は、正気の人間では表現し得ない、通常の人間の脳では感知し得ない、別の世界に生きる者にしか見えない世界に思えたから。上手く言えないけど、その狂おしさが胸を打つというか、すごい勢いで迫ってくるというか… 見てて息苦しくなるほどの迫力を感じました。生前は、一作しか売れなかったのも、斬新さのせいばかりではなく、作品に生霊の如くまとわり付く画家の気迫に見る者が恐れをなしたからかも、そして現代、これほどに愛されているのも、画家の情熱が突き刺すように迫ってくるからかも、なんて思いました。ええモン、見せてもらった、という気のする映画でした。


一周回って古典ネーム

2017-11-17 | 時の話題
 キラキラネーム流行りが一段落ついて、今度は懐古ネーム・ブームが来つつあるとか…?それを裏付けるんだか、どうだかは分からないけど、無料検索サービス「赤ちゃん名づけ」を運営するリクスタによる、「2017年赤ちゃん名づけ男女年間トレンド」によると、男の子は楓、女の子は紬という名前が1位。なんだか、歴史小説の文庫本の表紙に出てくるような、切れ長の目元が涼しい瓜実顔を想像してしまいます。そして、トレンドは引き続き漢字一文字らしい。

 これは、「16年11月から17年10月にかけての検索数が多かった名前を抽出し、社内委員会の検査を経て集計したランキング結果」なんだって。検索結果だから、実際の名づけとはずれがあるとは思うけど、ここで話題になっているのが、「男の子の10位に選ばれた「主税(ちから)」だ」って。かっこいいやん!ここ数年、人気の女の子の名前で、私が可愛いなって思ってるのは「凛」ちゃんなんだけど、時代劇にも「おりんちゃん」ってよくいるよね。「はなれ瞽女おりん」とか「逃亡者おりん」とか。私と妹が「絶対、読めない名前」の持ち主なので、かえって誰でも読めて分かりやすい名前のが好き。


純金製のおりんちゃん


 実はうちの息子たちのミドルネームは日本語の名前。前の年の最も登録が多かった新生児の名前をそのまんま頂いて、上息子はけんた、若息子はしょうたです。今時だったら、はやて君とか、かえで君になってたのかな(うわー、全然イメージ違う~www)

ピンク狩りが止まらない!

2017-11-16 | アメリカのニュース
 アメリカでは、相変わらず続々と昔のセクハラ糾弾が続いています。今日のセクハラ親父は、映画「ペット」で主人公のわんこ、マックスの声を当てたコメディアンのルイスC・K。5人の女性からのセクハラ被害の訴えを暴露されて降板したそう。全然知らなかった人だけど、「ペット2」から降板だそうで、なんかなー、もう、あの声で刷り込まれちゃってんで、ちょっと違和感だなー、みたいな。ジャッキー・チェンの声が石丸博也さん過ぎて、いまだに本人の声に馴染めないというか、頭の中で勝手に石丸さん声に変換してる程度には声が気になる私は思う。「ペット」って一応は子供向けなのに、大人の都合で声が変わっちゃうなんて…

 今回、バラされた過去のセクハラには、当時なら「こら!このスケベ親父!」程度で許されたんじゃないかってレベルの件もあり、決してセクハラOKって容認しているんじゃないけど、腑に落ちないとこともあります。それに、ワインスタインの会社、ミラマックスの作品がいきなり駄作になるわけではなく、ケビン・スペイシーやダスティン・ホフマンの演技が大根になるんでもない。過去作のみならず、彼らが今後、ハリウッドから“抹殺”されるなら、観客側にも損失だという気がします。現に、ケビン・スペーシー主演の人気TVシリーズ「ハウス・オブ・カード」は来期以降キャンセルの予定だって。観客もがっかりだけど、この作品に関わっていた他の多くの人々にも、えらいこっちゃ!ですよね。

 そういうことウダウダ考えてると、L.A.在住映画ジャーナリストの猿渡由紀さんによる記事に出会いました。思ってたことをズバリと明確に、しかも客観的にまとめ、関連業界の声も紹介した記事で、色々と納得。この方の記事はいつも面白くて楽しみにしてます。出だしから、「作品と、それを作った人は、分けて考えるべきなのか。昔からあるその論議が、また再燃している。そして、時代の流れは、次第に「分けては考えられない」ほうに傾きつつあるように見える。」と、うん、うん、なるほど。

 この記事内で取り上げられていえる過去の例を見ても、ウディ―・アレンは当時のパートナー、ミア・ファローの21歳の養子とデキちゃった後も、普通に映画を作り続けてる。その頃、私はNYCに住んでたんだけど、大した騒ぎで、非難轟々だったけど、だからって彼の作品への評価には特に触れられてなかったと思う。ロリコンのロマン・ポランスキーは未成年への暴行の罪でロリコンで未だにアメリカに入国出来ないけど、作った映画はアメリカでも絶賛されてる。

 芸能界以外に目を向けても、クリントン夫はインターンの姉ちゃんと大統領執務室でよろしくやってたのがバレて、危うく職を失いかけたのに人気あり続けてる。当時、D.C.に住んでた私は、朝来たワシントンポストの数面にびっしりと全文掲載された詳細にど、こりゃ凄い…と、妙に関心しましたよ。朝っぱらから読む気がしなくて、帰ったら読もうと思ったそのまま、20年以上経った今も読んでませんがw

紹介されている業界の人々の声で、女性は作品と作った人は分けられないと言い、男性は作品の評価と作った人は別と言うのは、予想通りというか… 
「The Red Bulletin」で映画記事の編集を担当するルディガー・ストゥルムさんも、「作品は作品として評価するべきだ」と考える。(中略)「アートは、アーティストの手を離れたら、人々のもの。それは、俳優の演技についても同じ。一個人としては、ほかの人間と同じモラルで判断されて当たり前としてもね」とも述べた。(上記記事から引用)
そうですが、私の個人的な意見もこれだなぁ。

 これからも、セクハラ糾弾は暫く続きそうで、好きな監督や俳優たちが、どんどん「えんがちょ」になっていきそうで心配です。知りたくないよ、そんな芸能界の裏側なんて。自分らで内輪でやっててよ、って思う。それに、訴えられるのが男性ばかりで逆に不公平じゃないかって思ってたら、今度はマライヤ・ケリーがセクハラ訴えられた…orz

カワウソ侮り難し

2017-11-15 | 時の話題
 皆様こんにちは、私がキュウリ嫌いなのは、前世がカワウソで、河童をからかってお皿を乾かしまった恨みのせいという説のあるわにです。この説が最初に語られたのは、ほぼ30年前。もうすっかり、カワウソ時代の記憶がありそうな気がするほどに、刷り込まれてしまった気がします。この説を最初に言い出したN子さん、責任取って。

 水辺でダラダラしているのが好きだけど、食べ物には超素早く飛びつくあたり、ワニだったこともあるような気がするのですが、フロリダのアリゲーターわには、カワウソのランチにされてしまうそう。それも前世の因縁の一環でしょうか?


あんた、洒落ならん怖い


 しかし、上には上がいるもので、古代にはさらに獰猛な巨大カワウソがいたというニュースが!

ええーっ!?!


 曰く、「およそ600万年前、現在の中国南西部にある沼地を、体重が50キロもある巨大なカワウソがうろついていた。カワウソの仲間のラッコは石を使ってウニを叩き割るが、この古代生物は、貝殻を直接噛み砕けるほどの強力な顎の持ち主だったかもしれない」んだって。このサイモゲール・メリルトラ(Siamogale melilutra)は、先史時代に生きていたカワウソの祖先で、食物連鎖のトップに君臨する猛獣だったらしい。


 段々、あざといほどにカワイイ海のいとこ、ラッコも信用できなくなってきたぞ…

パリ・世紀末 印象派を超えて

2017-11-12 | Museumsとイベント
 コロンバス美術館、行ってきました。目当ては、スペインのビルバオ・グッゲンハイム美術館による
Paris, fin de Siècl (パリ、世紀末)展です。前に来た時は、まだやってなくて、がっくりだったのだ。

ガラス戸を入ってすぐに対面するのが、モネの「睡蓮」。いつものフワフワとした優しい印象の池の絵ではなく、力強い水連が強烈な色合いでどん!と迫ってくる迫力のある一枚でした。

どや!


 まずは新印象派で点描でおなじみのスーラやシニャック、リュース、クロス、レイセルベにピサロの新印象派時代の絵が並びます。新印象派歯の画家達は、題材に労働者階級を選ぶことが多かったことからも示されるように、政治的には左寄りだったそうです。そういや、昔のフランスとかの絵って、貴族階級を対象・題材にしてるのが普通で、印象派が農民とかを描きだしたんだっけ?でも、新印象派の、パステルカラーの繊細な点描画で表現された光溢れる風景画の真髄は実は、「和の追求」だったんだそうです。だから、見てると和むのかしら?


この絵には有名な北斎の神奈川沖浪裏の影響がー、って解説があったけど、
なんとなく構図が似てるだけっぽい気もする…


こういった絵は、細部を見るのが楽しい


 次の部屋は、象徴主義の作品を、目ん玉気球や、キュクロープスの絵で人気のルドンと、ナビ派のドニ作品を中心に展示。説明に曰く、彼の作品は、後のシュールレアリズムの先駆けになっただって。白黒の石板画だけではなく、後期のカラフルなパステル画も多く展示されていましたが、長男を亡くした後に授かった次男誕生後から色彩豊かな絵を描くようになったそう。相変わらず、夢なんだか現実なんだかモヤモヤ感は変わらないし、彼のカラフル路線には、例の「キュクロープス」も含まれてるんだけど、テーマは相変わらず不気味系だけどどこかホノボノした感じの絵。子供もできて幸せになったのね…と、なんか感銘。

  
不気味時代の「スパイダー」と、カラフル時代の「ペガサス」

 この部屋には、同じナビ派のボナールの版画も展示されていました。私は、独特の暖かな色使いや、伝わってくる静けさ、人間に対する優しい視線が好き。彼もまた、ジャポニズムに傾倒していたのだそうで、作品には浮世絵の影響が色濃くみられるのだそうです。その辺も、日本人の琴線に触れるのかしら…?

  
特に気に入った「子供とランプ」と「小さな洗濯屋」

 後者はどっかで見た絵なんだなぁ… 自分の写真コレクション見ても、何度も撮ってるし… どこの美術館だっけ… デイトンかなと思って調べたけど、サイト見ても載ってなかった。他所で観たことある作品に再会すると、なんか古い馴染みにばったり出会ったようでうれしい。


ストッキングを上げる女。うひょひょ


 ロートレックを中心にしたポスター美術の展示では、有名なキャバレー「黒猫(シャ・ノワール)」のオリジナル(?)ポスターもありました。元が既に印刷なので、何がオリジナルなんだかわからないけど、その辺に出回ってるコピーでは見えない詳細が見られて興次味深く、しみじみ眺めて来ました。黒猫飼い主な私は、しっかり、このポスターの複製を家の壁に飾ってるんだな。「アンバサドールのアリスティード・ブリュアン」もあったけど、確かにこれは写楽の三代目大谷鬼次だねって思ったんで、

ネットで拾った写楽の絵を反転して並べてみた


 そして、最後の展示室はコスプレ・エリアだよ!当時のパリジャン、パリジェンヌになりきれる帽子や小道具で大人も子供も記念撮影。私も色んな格好で自撮りしてきた。楽しー!!日曜日なので美術館への入場料は無料ですが、特別展への入場料が6ドルかかります。相変わらずの、おせっかいすぎる解説には辟易したけど、とっても楽しい展覧会でした。家に帰ってから、好きな絵の解説なんかをウェブで読んだから、もっかい見に行きたいな、日曜日に。


こんなん見たら、普通に真似したくなるよね?

オリエント急行殺人事件 とっても私的な感想

2017-11-11 | 映画・ドラマ・本
言わずと知れたアガサ・クリスティーの名作映画化、ドラマ化も含めると。一体何回目?


 名探偵、エルキュール・ポワロの灰色の頭脳が導き出したアメリカ人マフィア殺人事件の真実は、わざわざ映画を見に来る観客の大多数が既に知っているでしょうから、謎解き以外の魅力が必須の映画ですが、古き良き時代の優雅な鉄道の旅の様子や、美しい光景に加え、1974年版同様に、 とても豪華なメンバーが演技を競い合うところが見所。イスタンブールからヨーロッパに向かう豪華列車に乗り合わせた人々の配役は完璧だったと思います…肝心のポアロと被害者のラチェットを除いては。

 主役、監督、製作が一人三役の時にありがちな「素晴らしい役者な俺様」主張に、ベテランのケネス・ブラナーも陥ってしまったようで、主人公目立ちすぎ。無理やりなフランス語訛りの英語は、なんか不自然で、フランス語ネイティブの人はどう思うのか聞いてみたいな。関西人の私が、無理矢理大阪弁を聞かされた時のような気持ちになるんじゃなかな…って、勝手に思ってるんだけど、実は完璧だったりするのかしら?

 そうだとしても、ブラナーは如何にも正統派英国人って感じがひしひしなので、ベルギー人の振りが苦しい。ポワロの魅力である(と、私は思ってる)気取り屋なところも、あまり感じられなかった。今までの典型的なポワロ像とは違う方向を目指したのかもしれないけど、私はテレビの「名探偵ポワロ」のイメージを強く刷り込まれちゃって、抜け出すのが難しそうです。

 ラチェット役のジョニー・デップは全く凄みが足りないので、ギャングの大親分には見えないので、この事件の壮大さが骨抜きになっちゃったと私は思います。大富豪のロシア亡命貴族、ハンガリーの伯爵を含む錚々たる面々の相手としては、小者感ありすぎ。ジョニデさんは、「パブリック・エナミーズ」の時のジョン・デリンジャー役のような端正で冷酷なギャングだってできるのに、なんでラチェットをせこいチンピラにしちゃったのかなぁ…

以上、私個人の思い入れたっぷりな私的感想でした。

 そこを除けば、演技に定評のある俳優さん揃い踏みだけに、腹に一物ある面々が探り合いを繰り広げる緊張した場面が見応え充分!特に女優陣が皆さん素晴らしく、デイム・デンチは言うまでもなく、ミシェル・ファイファーは私的にもう、来年のアカデミー賞はアンタでいいよ、って思った。それから、ポワロの髭は、いやいくらなんでも…と、正直思ったんだけど、ステキな髭用ナイトカバー(?)を見せてくれたんで、この髭の存在価値を認めます。本には堂々たるって何度も書いてあるんだから、このブラナー版の髭が本来のイメージに近いのでしょうか?

 日本の公式サイトはこちら。ラストでは、ポワロが「エジプトで事件です!」と、また中東に呼び戻されるので、シリーズ化満々な気がしますよw

ピング狩りが罰しようとしているのは誰?

2017-11-10 | アメリカのニュース
 過去のセクハラ暴露が留まるところを知らないアメリカ、ハリウッドのみならず、政界やシリコンバレー等のさまざまなエリアに絶賛飛び火中です。政敵を蹴落とすのに、これほど簡単な方法はないと、候補者の数十年前の悪事が暴かれたかと思いきや、その候補は、俺は潔白で政敵が陥れようと策略していると対抗する。何十年も前のことまで持ち出されるので証拠も曖昧で、無実のおじさんを「この人、痴漢です!」とやるのと同じような件がなければいいけど…

 このところ毎週起きてるような気がする大量殺人事件より騒がれてるみたいで、いや、銃規制やら、アメリカとアジアの関係やら、商務長官疑惑やら、もっと話し合わねばならん事あるやろ、って思う一方、これだけ、多くが辞職に追い込まれたり、公式謝罪声明を出しているのに、セクハラ発言や、自分のセクハラを豪語する現大統領は蚊帳の外っぽいのが矛盾してると思う。

 この件で本人たちが制裁を受けているのは(もしその行いが事実であれば)当然の報いでしょうが、彼らの出演作の規制や出演場面の削除って、いったい誰を罰しようとしているのかが謎。今回槍玉に挙がっているケビン・スペーシーやダスティン・ホフマンは言わずと知れた名優です。日本の不倫騒動でもそうですが、セクハラ親父や不倫男(女)の顔なんて見たくないって観客は自分で避ければいいんじゃないでしょうか。

 実際、完成済みの映画「All the Money in the World」で、石油王ジャン・ポール・ゲティ役をケビン・スペイシ―が出ている場面を削除し、クリストファー・プラマー氏が同役を演じて撮り直すって報道があったばかり。クリストファー・プラマーも好きだけど、スペイシー版も観たいよね。結局、最終的には2バージョンあって、ファン的にはお得になっちゃうかもだけど。でも、このまま彼らの出演作が過去作も含めて黒歴史扱いされたら、大きな損害だと思う。ケビン・スペーシー出演部分がカットされた「ユージュアル・サスペクト」とか、ダスティン・ホフマン部分のない「レインマン」???

 そもそものきっかけは、NYタイムズ紙によるハリウッドの大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタインのセクハラすっぱ抜き。その後、セクハラだけじゃないトンデモな暴君ぶりが続々と暴かれています。曰く、注文した料理が出てくるのが遅いとお盆をひっくり返す、予約を入れずにレストランに入って自分のテーブルが準備できてなかったら怒鳴る、電話で少々お待ちくださいなんて言おうものなら、てめぇ俺を誰だと思ってるんだと喚きたらかす、女性スタッフを誘惑する、ホテルの部屋の使い方が汚い等々。但し、これは彼特有ではなく、ハリウッドの大物って皆そうらしい(出典)。なんなんだろう、それって?

 ワインスタインが常軌を逸した下種野郎なのは判ったけど、彼の映画会社Miramaxは多くの名作を提供してきたし、それらの作品が抹消とまではいかなくとも、諸処の事情でアクセスが難しくなったら嫌だなぁと、一映画ファンとしては思うのです。代わりに、この一件の映画化やTVドラマ化は沢山観られそうだけどね~