わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

下町ロケット 第二部

2015-12-28 | 映画・ドラマ・本
 クリスマスの翌日以来、毎日ずーっと雨。うちの地下には、水を汲み出して地下に水が溢れないよう、小さなポンプが備え付けられています。大家さん自慢のこのポンプ、普段は静かに地下室の片隅で佇んでいるのですが、ここの所は24時間大活躍で、常時、ザーッ、ガーッ、ゴロゴロやってます。頑張ってるんだねぇ、有難う。しかしうるさい…

 で、雨だというので、ここ数日間、たっぷり寝て、こたつに座ってネットでドラマや映画を観て、おやつを食べる自堕落生活な私。暫く間が開いてしまいましたが、「下町ロケット」最終回も観ましたよん。なんだか怒涛の展開で、いきなり『そして3年後』で、ロケットが飛んでいきましたが、最後に全部持って行ったのは、椎名社長でしたね。業務上過失致死で塀の中に行ったはずなのに、三年で出てきて、しかも新バルブを開発してたとか、どんだけ?

 ちょうど先日、花輪和一の漫画を原作とした映画「刑務所の中」を見たのですが、主演の山崎努さんの飄々とした演技に味があって面白かった。漫画をそのまんま映像化し、色々なエピソードが、ひたすら淡々と映し出されているだけなのですが、そんなエピソードの一つは、主人公ハナワが密か隠していたメモが見つかって独房で過ごすことになり、薬局の紙封筒を作り続けるというお話。思わず、椎名くんが狭い独房で正座して、小さな文机に向かってバルブを開発している姿を思い浮かべてしまいました。


刑務所の中といえば、この画像。網走刑務所のお正月メニュー

 すごいドヤ顔でズタ袋からバルブを出す椎名さん、どっから出て来たの、あんた?ロケット打ち上げまで、岩陰にでも隠れて、飛ぶな~、飛ぶな~って念じてたのかしら?それにしても、元首相の息子に、「常にトップを目指せと言ってた親父は、大企業に潰された負け犬だ」ってセリフを言わせるのは、ちょっと狙いすぎだよなぁw


電気スタンドかと思いました

 椎名くんは父親が死んで会社が倒産し、財産が没収されて一文無しになって、他に道がないから米国に渡ってNASAブランドを手に入れたそうですが、お父さんとの回想シーンで、成績はオールAか? フランス語だけBだった、って会話があるので、この時、既に留学してたんでしょうね。本人は貧乏のどん底から這い上がって云々のつもりでしょうが、いやアンタ、元々は金持ちじゃん、親に留学させてもらってんじゃん、コネも英語力も、アメリカ式学習力もあったんじゃんって、英語もろくに喋れずにアメリカに渡り、博士課程まで行った貧乏人の娘は「けっ」と思ったね。炊出しまで長時間歩くヒマがあったら働きやがれ。空き缶集めて小銭に変えろ。私なんぞ、いつもお金が落ちてないかなと地面を見てたんで、今でもいろいろ拾うの得意よww

 二部は基本的に1部の焼直しだけど、随分と浪花節入ってんなー、と、思いました。娘の激励に社員感激とか、社長のお母さんのおにぎり差入って、今時は感動すべきところなんでしょうか?昨今の若い人は、他人の握ったおにぎりは気持ち悪いって風潮だと思った聞いたけど。後、娘の就職のエピソードとか別にいらなかった気もする。最終回は、何か、もー、みんなよく怒鳴るなぁって感じ。アメリカであんな風に部下に怒鳴ったら、下手すりゃ訴訟だなぁ… で、今回も裏切って佃製作所を出て行った技術者、フツーに犯罪でしょ、それ。

 ま、細かいとこはお話なんだから目をつぶり、今回も財前部長が北町奉行所ならぬ重役会議に乗り込み、社長が「ロケットをなめるな!」と一喝して、これにて一件落着~、で、全てこの世は太平なり。

 しかし、告発スッパ抜きが週刊ポストって…orz アメリカのスーパーのレジ横に売ってるトランプ、宇宙人に誘拐された、とか、アンジー悲壮!ブラピが浮気、とかって、見出し付いてるのんと同じレベルだと思ってたけど、今は違うのん?


理想の上司、理想の企業人やねぇ


 ただ、半沢直樹の時もそうだったけど、いくら悪人とはいえ、左遷されちゃう一流企業役員や銀行員にも家族はいるわけで、家族が路頭に迷ったら可哀想そう。お坊ちゃんから一転、ホームレスの椎名社長みたいにならなきゃいいけど…って、心配しちゃう…

Mr. Holmes

2015-12-27 | 映画・ドラマ・本
 93歳になり、かつての鋭い頭脳も錆び始めたか記憶を失いつつあり、田舎で引退生活を送るシャーロック・ホームズを、名優イアン・マッケランが演じる、ミッチ・コリンの「A slight Trick of the Mind」(2005年)を基にしたBBD製作の映画です。「マリゴールドホテル」の面々はじめ、このマッケラン老、ヘレン・ミレンおばさまと、イギリスのじっさま、ばっさま俳優さんたちは本当にチャーミング。

 引退した老シャーロック・ホームズが、薄れつつある記憶を掘り返しながら、最後の事件の解決に挑むというあらすじ以外は、殆ど前知識無しで見たので、いきなり終戦二年後の広島や真田広之氏が出てきたのは、嬉しい驚きでした。ホームズ氏は記憶力を良くするという噂の山椒を求めて、はるばる日本を訪れ、広島の焦土で見付けた山椒を掘り返して持ち帰ります。おいおい、放射能は大丈夫なんか?真田氏演じる梅崎は、何年も前に外交官として英国に渡った父親が、ホームズの影響でそのまま英国に永住を決め、日本に帰ってこなかった真相を知ろうと、何年もホームズと手紙のやり取りを続けて、やっと彼を日本に迎えたのでした。でも、ホームズ氏は、そんなん知らねと言って、梅崎とその母を失望させます。お馴染みのハンチング帽とパイプはどうしたの?と尋ねる梅崎夫人に、あれは本のイラストレーターが勝手に描いたもの、自分は煙草派と言ってガッカリさせちゃったり。ご丁寧に愛用の虫眼鏡も、トレードマークの丸いのんじゃなくって長方形。

 そしてドーバーの崖の側の田舎家に帰ってきたところ…とは、思うのですが、93歳が日本まで行ったの?そして、後の会話で
また日本に行けばいいのに。
もう行けない。
どうして?一度は行ったのに。
あの頃は若かった。
 と、いう会話があって少し混乱。あの頃は…、というのは、彼お得意の皮肉かもしれないけど、に、しても、あの時代に93歳、日本はなぁ… ホームズ氏が日本に行ったのは1947年と劇中で紹介されていますし、>Wiki先生によると1872年に大学に入学だそうなので、計算としてはぴったり合うのですが、しかし、93歳が日本までねぇ…

 ともあれ、Mr.ホームズが30年前の未解決事件「グラス・ハーモニカ」事件を振り返りながら、日本での出来事のフラッシュバック、そして養蜂を営む93歳の今、家政婦の息子、ロジャーとの交流が織り込まれています。このロジャーくんが、いかにも賢そうで癇の強そうな、でもイギリスの労働階級っっぽい顔付きが役柄にピッタリ。こういう顔立ちの子って、アメリカじゃ見かけないな。健気で、ホームズ氏を喜ばせる頭の良さと行動力を有する男の子。女嫌いで妻帯はしなかったけど、こんな孫(みたい)と出会えた晩年は、大変に恵まれたものと思えます。
 じっさまと少年
のコンビは、子供と動物に次ぐ最強コンビ。この映画でも最強ですよ、
 じっさまと少年!

 ちょっと興奮してしまいました。お母さん役は、いかにも家政婦さんって感じなんだけど、実はちょっとロザムンド・パイクに似てなくもない。服装とお化粧が違ったら、全然別人になりそう。真田さんは、品の良い日本の紳士の役がとてもお似合い。英語も正しく日本語アクセントで、聞き取りやすく、文法が正確で品が良い。英国の田舎の風景やお庭がとても美しく、それだけでも楽しめるほどです。戦後直後の日本、焦土の広島、山椒たっぷりのお汁(?)をホームズ氏が梅崎さんと飲んでみる(そしてむせる)料理屋… 日本の描写は、なーんか微妙に間違ってる気はしないでもないけど、懐かしい気もする。


63歳のホームズさん、72歳のご本人、93歳のホームズさん


 お話は綺麗にまとまり、ワトソンやマイクロフトの死、ホームズ氏の後悔が描かれるので、寂しくはありますが、その静かなエンディングには癒やしを感じます。ホームズ氏が最後に書いた手紙、それは彼の創作なのか、若しくは、思い出した真実なのか?それは、どうでもいいことなのでしょう。しかしね、やっぱ微妙に何か違う気がする最後の儀式…
  
キャストの皆さん。真田さんがトニー・スタークしてる…

クリード チャンプを継ぐ男

2015-12-26 | 映画・ドラマ・本
 スタさん(言わずと知れた、シルベスター・スタローン御大)が凄いです。映画の冒頭で思いっきし爆発、銃撃戦だの肉弾戦だのやる脳筋のおっちゃんが、いきなり枯れた好々爺です。ご近所の気のいいじっちゃんです。しかも、映画の半場には非ホジキンリンパ腫が発症し、キモセラピーでヨタヨタ。こんなスタさん、見たこと無い!なに、もー、筋肉派のアクションスターで、ずーっと通してきて、70歳目前の今もバシバシ、アクションこなすくせに、いきなり棺桶に片足突っ込んだ老齢の病人役やっちゃうとは、なんというフェイント。横綱の猫騙しどころのレベルじゃないよ、これは!で、スタさんも流石にもうトシだねぇ、と、思わせておいて、どうせまたアクション映画で元気なトコ見せるつもりでしょ?このっ!このっ!

 と、テンション上がるほどに、スタさんが凄いです。決して演技派として知られる役者さんじゃない、というより、ゴールデンラズベリー賞を何度も受賞した、むしろ演技に関しては大根という評判なスタさんが、体はボロボロなのに、目が燃えてる、「虎の目」を再び披露してくれます。今回はトレーナーとしてのロッキー・バルボアを、背中で演技してますよ!「ロッキー」シリーズは流石に、最低男優賞を受賞した「ロッキー4/炎の友情」が最後、5/最後のドラマと6/ザ・ファイナルは見ていないのですが、ここに来て有終の花を飾ったか、ロッキー・バルボア!って感じ。いや、有終の花であって、クリード2,3,4…では、もう出張り過ぎないで欲しいのも本音ですが…

 タイトルは「クリード」ですが、主人公はしっかり、若きアドニス・クリードと、かつてのチャンプ、ロッキー・バルボアの二人。これは、紛れも無くロッキーの物語であり、そして、アドニス・ジョンソンが、ロッキー・バルボアのライバルにして盟友、伝説のチャンピオン、アポロ・クリードの名を継ぐ物語でありつつも、スピンオフという位置付けには収まらない新たなドラマに仕上がっています。しかし、邦題は、またやっちまったって感じ。「チャンプを継ぐ男」は、本当に蛇足。「ロッキー」という名と同様、「クリード」という名前の重さが、この映画の全てでもあるのだから。

 子供の頃は施設で喧嘩三昧だったものの、自分が生まれる前に亡くなった父の本妻に迎えられてからは立派に教育を受け、ビジネスマンとして、会社からも信頼を置かれながらも、ボクシングを諦められない青年、アドニス・クリードを演じるのは、これまた名前が重いマイケル B.ジョーダン。かなーりありふれた名前なのですが、かのスーパースターと被るのは重いかも。「クロニクル」(←いい映画だけど切ない)でも、とびきりイイ奴を演じていましたが、育ちの良さげな青年を好演。ボクサーだけど、イレズミとか全く無いよ!

 夫の隠し子を、こんなに立派に育て上げた、メアリ・アンはやっぱり、いい女!彼女からのプレゼントが、試合直前に届く場面では、ホロリとしました。ロッキーに出てくる女性は、エイドリアンも勿論、強くてイイ女揃いなのですね。アドニスと恋仲になるビアンカも、イイ奴なの。面倒くさくない女なの。夢を追う男、支える女の構図がここにも。でも、彼女たちは自立してて、男がパンチドランカーになっても十分に支えていける強い女性たち。

 なぜ彼が急に30歳になってプロボクサーを目指したのかの背景が弱いようにも思えましたが、それはもう、クリードの血がそうさせた!で、いいんでしょうか。で、ロッキーも、亡きアポロへの友情がそうさせた!でいいということにしておこう。ロッキー映画を最後に見たのは随分と前のはずなのに、「あ、これって、オリジナルのオマージュだよね」と、直ぐに思い出せたのは自分でも驚き。心に残る映画だったんだな。そして、11ラウンド目で、ロッキーのテーマが流れた時は、本当に鳥肌が立ちました。


ラストもまた、良いシーンでした。スタさんが共演してきた若手はスターに育ち、往年のスターは返り咲く。Bのつくマイケル・ジョーダンくんも、監督のライアン・クーグラー(29歳、アドニスよか若い!)も、今後、どんどん才能を花開かせていくと期待しています。

ピーナッツ・ザ・ムービー

2015-12-24 | 映画・ドラマ・本
 Feel good movie(見ると気分が良くなる映画作品)というカテゴリーが有りますが。これはまさにそんな一作。見終わった後、「Feel good」になること間違いなしです。だって、スヌーピーとピーナッツのギャングたちの映画だもの、当然ですよね!

 ドラえもんが3Dになるご時世、ピーナッツだって3Dになってもいいじゃない。変に人間に似せた登場人物がキモかった「ポーラー・エクスプレス」から、CGアニメは色んな方向に進化してきました。キャラクターはアニメ風にデフォルメされていても、リアリティーと精密さをベースに見せるピクサー作品とは全く毛色の違う、シンプルな絵柄そのまんまをCGにしちゃったのが、この映画です。原色を多用した明るい色使いは、ドリームワークスのCGアニメに似てるかも?元々がのぺっとした平面的な絵なのに、立体的になっても何ら違和感はありません。縫いぐるみ等でも、三次元の彼らを見慣れてるせいもあるでしょうが、そう思えば、あのスケッチ風の絵がちゃんと3次元造形できてるのが凄いのかも。


 チャーリー・ブラウンが転校生の赤毛の女の子に恋して頑張るお話に、スヌーピーの第一次世界大戦のフライング・エースが、愛しのプードル、フィーフィーを救う冒険譚が混ざり、ピーナッツのお馴染みネタをふんだんに盛り込んだ内容。スヌーピーの仇敵、レッド・バロンも大活躍です。こういう風に持ってくるか!と、感心しました。転校してきた赤毛の女の子に、シュレーダーも「She is pretty...」と呟いたのは、あの、カタブツのシュレーダーでも、実は女の子に興味あるんだ~と、彼の以外な一面を見た気がします。もちろんルーシーはおカンムリですがw

 オールスターなので、違う学校に通ってるはずのペパミント・パティーもマーシーも同じクラスだし、姉弟のルーシーとライナスも同じ教室にいます。ライナスは頭いいから飛び級してるのかな?流石に、チャーリー・ブラウンの妹、サリーは違うクラスらしい。

 赤毛の女の子に告白できないチャーリー・ブラウンを助けて、原作ではクールなスヌーピーが大活躍。もふもふ感といい、動きといい、実に可愛い!そして、いつもはLovable Loser(愛すべき負け犬)な彼が、やれば出来る子!やればできる子なんですよ!チャーリー・ブラウンが進化してるんです。21世紀のチャーリー・ブラウンなんです。電話は受話器が線でつながってるし、テレビゲームもコンピューターもない世界ですが、テストはマークシート式。ここ、ちょっと、あれ?と、思ったけど、実はお話上で大事なところ。

 子供たちは、夏は野球を、冬はアイスホッケーを楽しみ、大人たちはBlah,blah,blah。男の子は学校のダンスパーティーのためにダンスを習い、夏休みにはサマーキャンプに行く、古き好きアメリカ。スヌーピーは何世代にも渡って愛されているキャラクターなので、子供たちも喜ぶだろうけど、このシンプルなお話は、大人の心にこそ響くのではないでしょうか?もちろん、お馴染みのVince Guaraldiのナンバーも存分に聴くことが出来ます。Rotten Tomatoesでも、IMDBでも高得点なのは、名作「チャーリー・ブラウンのクリスマス」を見て育った大人達の心の琴線に響くからだと思うな。

 わざわざ劇場で見る価値が有るかどうかと言われれば、うーん… 微妙(私は2Dで見たし)。映画に目新しい何か、創造性や最新テクノロジーを求めるなら、これは正反対の映画。いくらCGになっても、3Dになっても、ノスタルジーに満ちた世界に浸り、見終わってニッコリ笑いたい気分になる映画を見たい時の映画です。

日本の公式サイト(音が出ます)では、オリジナルのピーナッツキャラクターが作れて楽しい。自分も作ってみたけど、やっぱ私はマーシーのほうが似てるわw
   


 ところで一つ、気になる点。作中で「レオ・トルストイ」をP.パティーが「レオのおもちゃ屋さん(Leo's Toystore)」と聞き間違えるシーンが有るのですが、ここは字幕ではどう訳されるのかな?こういった音のダジャレって、そのまま訳したら全く意味がわからなくなっちゃうんで、翻訳者さんの腕の見せ所です。どうなってるか、それも楽しみです。

リッチモンドの本屋さん

2015-12-23 | 田舎暮らし
 息子風邪気味(?)のため、午後になってからインディアナ州のアンティークモールを見て、リッチモンドで一休みして帰ってきました。昨年夏に息子と一緒に行った、センタービルのアンティークモールを再訪です。前回より更に空のブースが目立ち、寂しい気がしました。このモールでは、本当の「アンティーク」より、ちょっと古い物、懐かしのレトログッズが多く売られており、お値段も手頃な品が主流で気軽に楽しめるように思います。ブース形式なので、自由に見て回れるのもいい。今日は「お宝」に出会うことは出来ませんでしたが、見て歩くだけで、とっても楽しいのです。

    
アンティークと一緒に写真を取るのもまた楽しい

 メインストリートにアンティークのお店が並ぶ小さなセンタービルの街から、車で10分ほどのリッチモンド市は、オハイオ州のすぐ西、インディアナ州東端の歴史ある古い街です。ここは19世紀から20世紀初頭には製造業で栄えたので、名残の壮麗な建物や、瀟洒なビクトリアンのお屋敷が立ち並びますが、お屋敷は手入れされず放置されていたり、ペンキが剥げたまま。工場や倉庫であった大きな石造りのビルが、窓にベニア板が打たれたまま打ち棄てられています。表通りの歴史的な豪邸が売リに出され、しかも「値下げしました」のサインが出ている。裕福な産業化の庇護を受け、アメリカの印象派の一派、リッチモンド派が集った街の盛衰が偲ばれ、物悲しさを感じさせます。

 ここはまた、クー・クラックス・クラン(KKK)が復活した1920年代、その牙城となった街でした。1923年に行なわれたパレードには、3万人がつめかけたとか。でも今は、かつては壮麗であった建物に名残を残すだけの、中西部のひなびた地方都市。実は、日本語プログラムに定評のある私立のリベラルアートカレッジ、アーラム大学があるのですが、あまり大学街らしいヒップさや活気が感じられないのも、また哀し。でも、古い建物を利用したお店は、情緒があって魅力的です。Two Sister's Bookstoreは、そんな雰囲気のいい古本屋さん。本の品揃えはフツーに古本屋で、情緒豊かでも、本の魔法を感じるわけでもないのですが(トホホ)、お店そのものがいい感じ。数軒隔てて、地元アーティストの作品を飾った、クラフトビールを売り物にしたお店があるのですが、ここはサンドイッチも美味しい。いっそ、この二店が一緒になって、古本屋+カフェになっちゃえばいいのに、と、勝手に思うのです。んでもって、詩の朗読会とか、絵の展覧会とか、管弦楽のコンサートとかやると、たいそう素適だと思うの。私、通っちゃう~

  
ハリー・ポターになったり、ホームズと記念撮影したり

3万6千個のクリスマスライト

2015-12-22 | 田舎暮らし
 デイトン郊外のクリフトンという小さな村は、クリスマス時期には一気に人が増えます。それは、この近辺では有名な、水車小屋のクリスマスのライトアップのせい。息子が来ると言ったら、オハイオに生まれ育った同僚たちが一斉に「絶対おすすめ!」してくれたのが、クリストン・ミルのクリスマス・ライトでした。360,000個以上のライトが灯るのだそう。日本のルミナリエのような、様々な色の光による造形ではなく、数で勝負というアメリカンな(?)イルミネーションです。

 光が灯るのは、毎晩6時ちょうど。少し早めに行って、ミニチュアの街を見たり、水車小屋(小屋とはいっても堂々たる建物ですが)の周りを、そぞろ歩き。見るのオーナー一家が長年に渡って集め続けたサンタさんのコレクションは、息子と二人で「何か恐ろしい物を見たっ!」とウケました。古い人形って、なんだかおどろおどろしいよ~
得ます
 平日なのに結構な人出で、週末の夜は一体どれだけ?って感じ。この冬は今のところ、本当に暖冬で、雪もまだチラチラと二回降っただけ。過ごし易いので、冬の夜でも気軽のお出かけできるのが嬉しい。ミルが実働しているところが見学できないのは少し残念でしたが、息子と一緒に名物のクリスマスライティングを堪能しましたv

     

     

   

 もう何年も日本のお正月時期には帰っていない。いつか、神戸のルミナリエも見たいな。でも、お正月時期の飛行機代は高いので、何時に成ることやら?トホホ…orz

170歳、今だ現役 シンシナティ天文台

2015-12-21 | Museumsとイベント
 昨日の夕方、上息子がLAから到着しました(若息子は今週の水曜まで学校)。私も今週はお休みを取って遊びたくろうという魂胆。今日は、シンシナティにある、全米で最も古い現役天文台に見学に行きました。上息子は、大学で天文同好会に入っているのです。一般公開されているかどうかすら分からないけど、外からだけでも見たいと思って行ってみれば、ワシントンDC郊外にあるジェファーソンの邸宅、1809年完成のモンティチェロを思い出させるグリーク・リバイバルの建物のドアに「OPEN」の看板が。どきどきワクワクしながら観音開きの扉を開けて中に入り、暫く図書館のような館内を見ていると、「望遠鏡、見る?」と、いきなり声をかけられてびっくり!
 
左がバージニア州にあるモンティチェロ、左がシンシナティ天文台です

    
クリスマスリースの掛かったドアに「OPEN」のサイン。中には1904年のAlvan Clark & Sons製16インチの反射望遠鏡


 思わぬことに、望遠鏡を見せてもらい、個人ツアーしてもらえることになりました。上の写真の望遠鏡をくるりと反転させて、レンズ側から中を見せてもらい、望遠鏡の中ってこうなってるんだー、と、母が感心する間、望遠鏡作りのクラスを取ったことがある上息子は、色々な質問に答えてもらって大喜び。こちらが二代目でオリジナルは、隣の建物、ミッチェルビルディングの中にあるよ、とのことで、そちらも見学可能ですか?と聞いてみたら、あ、見たかったら見せたげるよ、と、軽~く鍵を開けて、こちらも見せてくださいました。
   
1845年 Merz und Mahler製 11インチ反射反射望遠鏡。多分、世界で最も古い現役望遠鏡です

 息子はお土産にと特製カレンダーも頂いて大喜び。しかし、母も子も同じくうっかり野郎で、親切に案内してくれた方のお名前すら聞きそびれてしまいました。天文台は、シンシナティ大学の附属機関だし、自由に天文台を出入りし、私の素朴な疑問にも、オタク息子の専門的な質問にも、解りやすく教えてくださったし、大学の先生かなぁ?

 一年を通して、色々なプログラムが有り、この望遠鏡を通しての天体観測も出来るのだそう。夏の間は特に様々なプログラムが開催されるそうなので、是非とも、参加したいと思います。イベント情報は、この天文台の歴史等を紹介するCincinnati Observatory公式サイトから。

孤独のグルメ・シーズン5

2015-12-12 | 映画・ドラマ・本
 西海岸では話題になっている巨大エルニーニョのせいかどうかは知りませんが、この冬はずっと暖かく、未だに本格的な雪も降っていません。 とってもありがたいので、ずーっと暖冬のまま、春になって欲しい。今週末は記録を破るかもと予想されるほどの暖かさですが、雨の予報で流星群も見られそうにありません。週末の度にお天気悪いけど、この地域に、日頃の行いが超悪い奴がいるんではないかと!?

 今日、明日は、雨が降りそうな降らなそうな微妙なお天気なので、日本のドラマや映画を見まくる週末。映画は、池脇千鶴さんがチャーミングな「ジョゼと虎と魚たち」と、タイトルから軽いお笑い系かと思ったら、実はずっしり見応えあった「駆込み女と駆け出し男」を観ました。「ジョゼ」は、ジョゼの健気さと対象的な、主人公の恒夫の情けなさ。せめて最期の号泣シーンは、一人で出て行って、一人で泣いて欲しかった。元カノとヨリを戻してるのはいただけない。

 ドラマは「孤独のグルメ」シーズン5。このドラマ…というか東京の美味しいお店案内、既にシーズン5という人気番組で、超ローカルな内容にも関わらず、ほぼ全国放映。見たら、そのお店に行ってみたくなるし、東京以外の人には目の毒なんじゃ?紹介されたそのお店の同じメニューは無理でも、少なくとも、同じ種類の物が食べたるのに、深夜放送。零時過ぎに見ちゃったら、お夜食、しかもボリュームたっぷり食べちゃいそうで危険じゃないの?

 と、思うけど、海外に住んでる私ですら見ちゃいますものね。でも、焼肉、モロッコ料理に台湾の中華、新鮮なお魚、羊肉等々、日本国内なら、いや、せめてLAなら食べられるかもだけど、中西部の、しかもド田舎に住んでちゃ、「うがー!おいしそー!」と叫びながら、ポテチなっと貪り食うしかな無いわ(T▽T)

 漫画も面白いけど、ドラマの方は主人公、井之頭五郎を演じる松重豊さんの心の声をナレーションに、ひたすら彼が何か食べてる姿を映してるだけなのに、何故か中毒性があります。斜め上に進化した「食いしん坊バンザイ」みたいで、実在のお店を紹介してるので、漫画みたいに「ハズレ」はないのですが、だから安心して観られるかも。 

 でも、ここオハイオにも一応はご当地銘産があるですよ。オハイオの州の木であるBuckeye(トチノキの一種)の実に似せた一口大のチョコレートピーナッツバターのお菓子、バックアイです。お店のレジの側でも売ってる、オハイオ限定で人気のお菓子。正直言って、あんまり美味しくないよ(T▽T)

丸いドングリみたいなBuckeyeの実とお菓子

パディントン!

2015-12-04 | 映画・ドラマ・本
 かわいいイラストが大好きな、絵本のくまのパディントンの映画化です。動物が人間の社会の中で、騒動を引き起こすって設定は、絵本ではお馴染みのコンセプト。「いたずらこざる」a.k.a.おさるのジョージにはイラついてしまう私が、パディントンは許せるのは、一重に挿絵のクマが可愛らしいからに他ならないと思う。予告で一部だけ見て、カワイイ~!この映画は絶対見なくっちゃ!と、意気込んでたのに、すっかり忘れてましたが、図書館行ったら、たまたま目につくところにあった。これはきっと、見なければならぬという運命なのだと勝手に解釈w


 とにかくパディントンが可愛いの一言に尽きる映画です。画像だけでも可愛いのに、動くと更にカワイイ度がアップ。絵本は、プーさんに似た感じのビーズみたいな目だけど、映画のパディントンは、実物のクマ風でありながら、お目々くりくりな日本風カワイイなデザインです。パディントンは本物の熊という設定ですが、見た目が縫いぐるみなので、テッドを思い出してしまいました。こちらは、礼儀正しい英国紳士なクマ(元々は暗黒のペルー出身だけど)なので、一緒にしたら怒られてしまいそうですが。
   
パディントン駅にある銅像と絵本のパディントン


 ピクサーも含め、大人も密かに楽しめる子供映画が多い…と言うか、子供向けだけど大人向けでもある作品が多い中、この映画は、あくまでも子供の為の作品です。ピクサーやドリームワークス作品等に比べる、対象年齢が低い所為もあるのでしょうが、小学校低学年以下にウケる事を再優先にしている感じでした。パディントンを誘拐して剥製にし、博物館に飾って夢位になろうと企む悪役、ミリセントのニコール・キッドマンが、元旦那、トム・クルーズのワイヤーアクションしてたり、ちょっとしたお遊びはあるけど、このシーンはとても有名で、中の人の事情を知らなくても笑えるし。しかし、ニコール・キッドマン、悪役似合いすぎ。

 美人(なんしかニコール・キッドマンだし)のミリセントにホの字のお隣さんが持ってきた花束が枯れてたり、ミリセントのお父さんの暗黒のペルー探検フィルムが戦前風なのに、当時子供だったミリセントが現代に生きてて時代考証的に謎とか、派手に家の中で洪水起こしても簡単に修理出来ちゃったり、大人の事情は無視。アンティークショップのお茶とお菓子を運んでくる玩具の汽車、暗黒のペルーの森の中にあったパディントンのお家、みな子供たちが喜びそう。

 日常生活の中に人語を喋るクマがいても、普通に誰も気にしない世界は、実はシュールで、パディントンがロンドンの街中を歩いてても、忙しく行き交う人々の目にも入っていない様子には、正直、違和感を感じましたが、ここはドラえもん世界と同じなんだ!と、むりやり納得。アニメじゃなく、実写なんで、現実的な背景の中に二本足歩行の熊がいる光景は、頭の硬い私には馴染みにくかったけど、本当にこんな世界があったらいいなと思う。

 子供向けとはいえ、パディントンくまの可愛らしさに加え、ブラウン家の素敵なインテリア(螺旋階段の壁の木が素適すぎ!)、ニコール・キッドマンはおかっぱが似合ってなくてもゴージャスの寄り切り、お話もしっかりしてるし、俳優さんたちもインテリアも街も、何かかにかとブリティッシュ!なのもチャーミング。しかし、ルーシーおばさんがいる「引退したクマのためのホーム」では看護師さんが人間なのは、やっぱりシュールだと思うの…