へなちょこかいご

アルツハイマー型認知症・80代の母との暮らしで思う事。
母は2021年秋に亡くなりました。父の事も少し。

父、家で過ごす最後の日

2023年05月08日 | 父のこと
ある夜。

午後10時過ぎから父にひっきりなしに呼ばれました。

「もらしたようだ」と言われて確かめるとそれ程汚れてもいませんでしたが、

気になるのだろうと下着、ズボンを取り替えて、リハパンをはいてもらいました。

しばらくして呼ばれ、

「さっきもらしたって言ったの、夢見たんだ。もらして誰かに怒られる夢」

ああそうだったの、と笑いながら、誰かって私なんじゃないの?

下のことでは怒った事ないけどねと理不尽に思いました。

まあ他のことでカッカした事はあるので何とも言えず。

またしばらくして、「寒いーー寒いーー」と大きな声がしたので、

寝具を足す。

またしばらくして、「寒いーー寒いーー」と言うので上に毛布を足す。

またしばらくして呼ばれると、「あったかいけど重い」

毛布をはずして様子を見る。

父は電気毛布も湯たんぽも嫌がったので、どうしようか考えましたが、

その後は寒いとは言わず。しかし夜通し呼び出しは続きました。

何、と聞いても「なんでもない」などと言ったり、

「俺がなんでこうなったか言うから」

と言うので、なんで? 今? と思っていると、

「頭おかしくないんだ」「頭おかしいと思ってるようだけど」

それは語られることはありませんでしたが。

12時過ぎての呼び出しに、時計を指して、夜遅いよと、明日は病院だよと伝えようとすると、

「3分進んでるんだ」と伝わらず。

布団直し、体勢直し、何か話そうとするのを待つ、何でもない、の繰り返し。

私が自室で布団に入りうとうとすると呼ばれるので、びくっとしました。

だんだん、「明日は顔洗って」などと大声のひとり言になったので、またうとうとすると、

突然呼ばれるので、動悸が止まりませんでした。

翌朝、母が不思議そうに、

「なんだかわかんないけどお父さんに呼ばれて、どうして俺がこうなったか話すから

集まれって」と。

しかしそれ以後呼ばれることもなく、父は朝食後ベッドで寝ていました。

父は何か自分語りをしたかったのでしょう。多分つじつまの合わない事だったと思います。

でも、もしかしたらそれで、そして語られることがなくて良かったかもしれません。

以前、在宅介護になった時、父は母に、

「俺がこうなったのはお前のせいだ!」と言っていたので、

その言いがかり的な怒りが父の中で消えかかっていて、母がまたそれを聞く事がなかったのは。

病院へ行く時間になったので父を起こすと、忘れていたようでびっくりしていました。

病院ではおとなしく、あいさつもお礼もしていました。

通院で、入院中にお世話になった看護師さんに会うと、

「今日はおとなしいね」などと言われていました。

確かに通院での父は、ぽけーとしていました。3つの科を回るので疲れもあるのでしょう。

帰宅して、昼食。ベッドに入りました。

その夕方、父は救急搬送。

ひっきりなしの呼び出しが、父が家で過ごした最後の夜に、

翌日が家で過ごした最後の日になりました。









最新の画像もっと見る