本を買う

母とショッピングモールで買い物中、

フードコートでコーヒータイム。

その時、ささいな事で気持ちの行き違いがあり、

私はこういうつもりだった、私はこういうつもりでやった、と、

言い合いになりました。

私は立腹。

母は不穏。


その後、また店内を歩きながら、なんだかちょっと泣けました。

疲れたなぁ…と心身、情けなくなりました。

母は後ろを少し離れて着いて来ます。

テナントの本屋で何か気晴らしの雑誌でも買おうかな、と、

母を通路に配置されているイスに座らせ、待っててもらいました。

久し振りにファッション誌でも?　

気楽で楽しいのがいいな、と物色していると、

ふと目に留まったのが…






ああ…そうですか…。

でも今は自分の気晴らしになるような雑誌を買おう。

そう思いました。

でも、

新刊らしく、目立つように置いてあり、目につくので手に取りパラパラとめくりました。


ためになるかも。

読んでみたいかも。


閉じて、抱え持ちました。

勝手に感じた見えない圧力に負けまいとして、

自分用の雑誌も、なかば意地で一緒に買いました。


本屋を出て、母に合図すると、母の機嫌は直っていました。

果たして私に革命は起こせるのでしょうか。

母、グッジョブ

スーパーで母と買い物中、化粧品コーナーで

クリームをひとつ買って、会計待ちの間、

ある化粧品メーカーのパンフを見ていた母が、

「マッサージクリームだって。もう手遅れ」

と笑いました。

すると店員さんが、

「そんな事ありませんよ!」

と、試供品を4つくれました。

けっこうお高いクリームのようです。

買ったのはそのシリーズではなく、もっと手頃の物なんですが…。


母、いい仕事をしたじゃないか。


私も試してみたいと思いますが、

まず母に塗って、マッサージしましたよ。

化粧のノリも良く、デイに行きました。

こっちは寒い?!

親戚から宅配が届いたので、

お礼の電話を母にしてもらいました。

かけるのは私。

呼び出し音が鳴って、母に受話器を渡します。

親戚が出ると、テンション高くお礼やあいさつをして。

すると、

「え～、暑いの?!　こっちは寒いよーー」


えっっ。

母はちょうどエアコンの下にいたのです。

エアコン!　エアコン!!

横からささやきました。

母は、あ～、という顔をしましたが、


「汗かいてんの?　こっちは山の上だから寒くて」


えっっ。

確かにうちはちょっと小高い所だけど。

だからエアコンだってば!　エアコン!!　エアコン…



そして終わる会話。

「遊びに来てって」



ああそう。行こうねぇ。

まあまあ会話ができていた事を、よしとするか。

プラごみ集め

かわいい物が好きな母ですが、

このところ…

ゴミあさりに余念がありません。

プラスチックの容器、模様のついた紙ゴミ…

などなど。

私の目を盗んでいるようですが、部屋を見れば一目瞭然。

ガラスの１輪挿しが、豆腐のパックに入っていたり、

時計やブローチが卵のパックの上に並べてあったり、

発泡スチロールの容器が窓辺に並んでいたり、

飲料についている短いストローが何本もならべてあったり…


母がデイに行ってる間に片付けるのですが、

この前、

いったいどれだけためるのか…

1週間放って置いてみました。

上記の例の他、

本立ての間、タンスの上、鏡の前、テーブルの上…

たまるたまる。

置き場がなくなると重ねる。


要介護度の認定調査で、よく、何か集めたりしませんか、と聞かれるので、

認知症の行動に見られる事なのでしょう。


ファーストフードのコーヒーについて来る、簡易なマドラーや

アイスのスプーンを、

「ままごと」

と言って持ち帰るので、

ままごと気分なのかもしれません。

子供がプリンの容器を重宝するように。

母のお宝なのでしょう。



片付けますけどね。

老い先短い

母と買い物中、

母に良さそうなかわいいブローチがあったので、買おう、と言うと、

「…千円するの?　いい」

高いからいらないと。

千円はするでしょう。いいよこれくらい。

老い先短いんだから。

と言うと、

「老い先短いからいらない」

老い先短いから今を楽しまないと。

「あははは」



ブローチは買いました。

老い先短い、という、悪口めいたフレーズが行き来したにもかかわらず、

新しいブローチが嬉しいのか、母は上機嫌。

買った事もすぐに忘れましたが、その後も機嫌良く過ごしていました。



他に、母のメガネケースも購入。

ずっと使っているケースは汚れが目立って来たし、

貝みたいに閉じ合わせるタイプで、閉じる時に大きな音がします。

私はあれが耳に障るのです。

新しいのは、母の好みのやわらかい色合いで、

フタをかぶせて閉じるタイプでマグネット式で無音。

私もよし、と思いましたが、母もとても気に入った様子。



やっぱり新しい、きれいな雑貨は気分が良くなります。