児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

白井光子さんのシューマン

2009年11月07日 | いわき
昨日と明日、いわきアリオスで白井光子のリサイタル。昨日はリーダークライスと女の愛と生涯を含むシューマンプログラム。シューマンの夕べ、シューベルトの夕べ、とか名付けてコンサートをしたのはフィッシャー・ディスカウの時代。もう30年くらい前である。その頃のあるコンサートの雰囲気と昨日のコンサートの雰囲気が似ていて、なにか久しぶりさを感じるのは、こっちがクラシック最先端にいないせいなのか,それとも時代が変わってしまったのか。そういえば白井さんはディスカウとも近い学校にいたんだった。
まあ、演奏のことは言う必要のない世界。昨年病気をしているのでどうか心配したのだけれど、全然心配は不要だった。でも音響の良い狭いホールで聴くのはかなり贅沢。白井さんの自然体の雰囲気と、でもこっちがどうしても背筋を伸ばしてしまうオーラも健在。三鷹でやったときに(もう13年くらい前かな)、白井さんがついたとたんに、制作から裏方からみんなが彼女のために何でもしなくては・・という気分になったのがとても印象に残っているのだけれど、今回も前ほどではなくてもちょっとそんな感じがあった。でも舞台ではにこにこしつつ、さっと曲の世界に入ってくのは本当に素敵。演奏がすばらしいとか言うことは当然のように自然であって、だからこそ、一人芝居で世界を作っていくのと同じ感じがしたのだろう。何を感じさせてくれるのか,という内容はすでに音楽自体を超えているように思う。おそれいりました。
一緒にお寿司と食べたのだけれど、どんなことにもちゃんと反応していく感度の良さは日本人にない気がした。人にも物にたいしても見ているだけで反応しないのでは何を感じているのか分からないしおかしいでしょ?、とはなかなか言えないよなあ。テレビ一つ見るのでも,ちゃんと反応してことばで表していて、ちょっとびっくりするのだけれど、表現を扱う人間としてはちょっと耳が痛い。勉強になるなあ。
リートの演奏会が一人芝居であることを強く感じさせてくれた演奏会でした。

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