児玉真の徒然

峠にたつとき
すぎ来しみちはなつかしく
ひらけくるみちはたのしい
(真壁仁 峠)

End Games

2009年11月03日 | 徒然
カザルスホールを立ち上げた頃、民音のコンクールでハレーSQと優勝を争ったチームにブロドスキーSQがいる。あのときはハレーが優勝しそれがカザルスホールのレジデントクァルテットになるきっかけとなった。イギリスから参戦し優勝を狙ったが2位に終わったブロドスキーの方はその後日本にはあんまり来る機会が数回程度と思うのだけれど、すでに完成されたスタイルを持ったグループとして,イギリスではエルビス・コステロとかとのレコーディングもあり活躍していたグループである。今はどうしているのかよく分からないけれど,そもそもイギリスのグループは情報があんまり入ってこないのが日本らしいとも言えるので、きっとそのまま活躍しているのだろう。彼らが90年代初期に出したCDのタイトルが印象に残っている。{END GAMES]その頃はSQについてもそれほど知識がなかったのだけれど、ベートーベンとショスタコーヴィチという,弦楽四重奏を日記のように人生の一部として書いていた作曲家の最後の作品を並べたCDはなかなか魅力があった。
今日、ショスタコーヴィチをあしかけ3年かけて全曲順番に演奏した古典四重奏団のチクルスの最後のコンサートを聴きに行ってきた(第一生命ホール)。今年度の企画までは一応決めた人間として責任があると言うこともあるけれど、10月にプレアデスSQのベートーヴェンのチクルスが終わったところだったので、半月の間にこの2曲をチクルスの最後として聴いたことになる。まあ感傷的になることはないと思うのだけれど、行き着いた先が明らかに違う2曲はなかなかに印象的だった。プレアデスも最後の回になって本当にこなれてきたと思えるある境地があったように思うし、全曲は初めてという古典もあの重い最後の3曲を全く緊張を切らさずに聴かせてもらえたので良い時間が過ごせた。同時に、これだけ重いことをきちんと作品にして書く人と人生をかけて演奏する人がいて、それをきちんと受け止める人がいるというある意味当たり前の芸術のワンシーンが,これからどうやれば当たり前のままいることができるのだろうか・・ということをちょっと考えてしまった。

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1 コメント

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ブロドスキーは… (yakupen)
2009-11-05 01:00:41
ブロドスキーQは、ハレーと競ったりショスタコをやってた頃とは既にファーストが2度変わり、芸風もクロスオーバー系を意識したものとなっており、随分と変わってます。ある意味、英国ならではの一種の巨匠芸です。今年の初めに小生はインタビューする機会があり、その際にロンドンのカドガンホールという新しい(というか、新しくホールにした、というか)会場のレジデンシィをやっているから聴きに来い、とさかんに言われましたっけ。とはいえ、それじゃあとカドガンホールの様子を実際に眺めた限り、それほど集中的にやってる様子はなく、まあ定期的にやってる、って感じでしたけど。
なんであれ、「弦楽四重奏で喰っていこう」と言う意欲は満々な団体ではありました。
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