浦沢直樹の新作『BILLY BAT』の感想をネタバレ有りで。
…やっぱ劇中漫画でしたね。正直ホっとしました。連載開始直後から「あの浦沢が、犬が主人公のベタな漫画を連載するはずが無い!何か仕掛けがあるはずだ!」とネット上の浦沢マニア達に指摘されていたが、やっぱり単なるアメコミ風探偵物語ではなかった。『BILLY BAT』第2話は、『MONSTER』や『20世紀少年』、『PLUTO』に次ぐ、新たな長編ミステリーの始まりを予感させるような展開だった。
第2話も初回と同様、古びた雑誌風のレトロ仕様の紙にカラーで掲載された『BILLY BAT』。今回は、この漫画の作者「KEVIN YAMAGATA」のプロフィールが紹介されていた。彼は日系アメリカ人2世の漫画家。また、GHQの通訳係として終戦直後の日本に渡る、という経歴もある。プロフィール紹介の後、ビリーバットの事務所に美女が忍び込んで来て……と、前回の続きのストーリーが始まる。しかし、途中でレトロ仕様の紙質だったのが、突然普通の漫画と同じ紙に変わり、『BILLY BAT』の作者ケヴィン・ヤマガタの物語に切り替わる。「こんなベタな展開で良いのかな…ダメだよな…」みたいな感じで悩みながら『BILLY BAT』の原稿を描くケヴィン・ヤマガタ。
冒頭でいきなり劇中漫画をドーン!と出してから本編に入る…これは売れっ子作家である浦沢だからこそ許された展開の仕方だろう。もし『BILLY BAT』第1話を描いたのが名も無い漫画家だったら、「モーニング」読者は即、見切りを付けるだろう。というかこんな始まり方、編集者が許さないだろう。第1話は、沢山の読者の心を作品世界に引き込めるように、作品の魅力や今後に繋がる伏線などをドバーっと詰め込むのが普通だ。しかし『BILLY BAT』の第1話はそんな展開じゃなかった。それでも浦沢直樹だから、「何かあるんじゃないか」と期待を煽られてしまうわけだ。浦沢漫画読者なら、あの第1話を読んで「浦沢もなんだか冴えない漫画始めたなぁ」なんて感想を持つ人は少ないはずだ。ゆえに浦沢に関する予備知識の無い人は、第2話にはかなり驚かされたかもしれない。そして我々浦沢マニアは、憶測に走るあまりサプライズし損ねたわけだ!…いいもん、『20世紀少年』12巻で心臓が止まりそうになるほどサプライズしたもん(12巻が頂点だったな、あの漫画の。映画では絶対に出来ないであろう演出)。
『BILLY BAT』の作者ケヴィン・ヤマガタは、担当編集者に「とりあえず敵はソ連にしろ。売れるから」と指示されるが、気が進まない。どうやら物語の舞台は1940年代後半。第二次世界大戦でナチス・ドイツや大日本帝国を倒した当時のアメリカは、次なる敵として共産主義国家のソ連を挙げ、冷戦に突入。国内では少しでも反政府的な事を言う人間を「共産主義者だ!」と排斥するアカ狩りが始まる。実際は反政府=アカなんて単純なモンじゃないのだが…。このような社会情勢を受け、アメコミ界でも「ヒーローがソ連と戦う漫画」が流行るようになる。元々アメコミ界は世相をそのまま漫画に反映させるのが常らしく、第二次大戦中はスーパーマンやスパイダーマンがナチスや旧日本軍と戦う漫画が描かれていたらしい。また、911同時多発テロの後は「何故あの日、ヒーローは無力だったか」をテーマにした作品が描かれた。「助けに行こうとしたが、他の現場に居たので間に合わなかった」「間に合わなかったので瓦礫の片付けを手伝った」など、「結局ヒーローもテロには勝てない」みたいな寂しいコミックが沢山発表されたそうな。
ビリーバットの事務所を訪れた美女は、ソ連のスパイだった!みたいな漫画を描かされて浮かないケヴィン。しかし彼は、ひょんな事から『BILLY BAT』と全く同じ絵柄で漫画を描いているらしい日本人の存在を知る。そういえば冒頭の『BILLY BAT』と、ケヴィン・ヤマガタの仕事机に散乱してる描きかけの『BILLY BAT』の原稿、よく見比べてみると別物だということに気付く。絵柄は全く同じだが、コマの進み方が左右逆なのだ。ケヴィンの仕事机にある漫画は、左→右、つまり日本の漫画と逆向きにコマを読み進めていくスタイル。じゃあ、第1話、そして2話で我々が読んだ漫画を描いたのは?…ってケヴィンだよな、表紙に名前書いてあるし。じゃあこれ、ケヴィンが何らかの理由でアメコミ界でなく、日本向けに描いた漫画?それともケヴィンと同じ絵を描く謎の日本人作家が描いた漫画?だとしたらそいつは何故「ケヴィン・ヤマガタ」を名乗る?………こ、このノリ!いつもの浦沢だ(笑)!嬉しい?もうウンザリ?とりあえず連載追っかけます。
…やっぱ劇中漫画でしたね。正直ホっとしました。連載開始直後から「あの浦沢が、犬が主人公のベタな漫画を連載するはずが無い!何か仕掛けがあるはずだ!」とネット上の浦沢マニア達に指摘されていたが、やっぱり単なるアメコミ風探偵物語ではなかった。『BILLY BAT』第2話は、『MONSTER』や『20世紀少年』、『PLUTO』に次ぐ、新たな長編ミステリーの始まりを予感させるような展開だった。
第2話も初回と同様、古びた雑誌風のレトロ仕様の紙にカラーで掲載された『BILLY BAT』。今回は、この漫画の作者「KEVIN YAMAGATA」のプロフィールが紹介されていた。彼は日系アメリカ人2世の漫画家。また、GHQの通訳係として終戦直後の日本に渡る、という経歴もある。プロフィール紹介の後、ビリーバットの事務所に美女が忍び込んで来て……と、前回の続きのストーリーが始まる。しかし、途中でレトロ仕様の紙質だったのが、突然普通の漫画と同じ紙に変わり、『BILLY BAT』の作者ケヴィン・ヤマガタの物語に切り替わる。「こんなベタな展開で良いのかな…ダメだよな…」みたいな感じで悩みながら『BILLY BAT』の原稿を描くケヴィン・ヤマガタ。
冒頭でいきなり劇中漫画をドーン!と出してから本編に入る…これは売れっ子作家である浦沢だからこそ許された展開の仕方だろう。もし『BILLY BAT』第1話を描いたのが名も無い漫画家だったら、「モーニング」読者は即、見切りを付けるだろう。というかこんな始まり方、編集者が許さないだろう。第1話は、沢山の読者の心を作品世界に引き込めるように、作品の魅力や今後に繋がる伏線などをドバーっと詰め込むのが普通だ。しかし『BILLY BAT』の第1話はそんな展開じゃなかった。それでも浦沢直樹だから、「何かあるんじゃないか」と期待を煽られてしまうわけだ。浦沢漫画読者なら、あの第1話を読んで「浦沢もなんだか冴えない漫画始めたなぁ」なんて感想を持つ人は少ないはずだ。ゆえに浦沢に関する予備知識の無い人は、第2話にはかなり驚かされたかもしれない。そして我々浦沢マニアは、憶測に走るあまりサプライズし損ねたわけだ!…いいもん、『20世紀少年』12巻で心臓が止まりそうになるほどサプライズしたもん(12巻が頂点だったな、あの漫画の。映画では絶対に出来ないであろう演出)。
『BILLY BAT』の作者ケヴィン・ヤマガタは、担当編集者に「とりあえず敵はソ連にしろ。売れるから」と指示されるが、気が進まない。どうやら物語の舞台は1940年代後半。第二次世界大戦でナチス・ドイツや大日本帝国を倒した当時のアメリカは、次なる敵として共産主義国家のソ連を挙げ、冷戦に突入。国内では少しでも反政府的な事を言う人間を「共産主義者だ!」と排斥するアカ狩りが始まる。実際は反政府=アカなんて単純なモンじゃないのだが…。このような社会情勢を受け、アメコミ界でも「ヒーローがソ連と戦う漫画」が流行るようになる。元々アメコミ界は世相をそのまま漫画に反映させるのが常らしく、第二次大戦中はスーパーマンやスパイダーマンがナチスや旧日本軍と戦う漫画が描かれていたらしい。また、911同時多発テロの後は「何故あの日、ヒーローは無力だったか」をテーマにした作品が描かれた。「助けに行こうとしたが、他の現場に居たので間に合わなかった」「間に合わなかったので瓦礫の片付けを手伝った」など、「結局ヒーローもテロには勝てない」みたいな寂しいコミックが沢山発表されたそうな。
ビリーバットの事務所を訪れた美女は、ソ連のスパイだった!みたいな漫画を描かされて浮かないケヴィン。しかし彼は、ひょんな事から『BILLY BAT』と全く同じ絵柄で漫画を描いているらしい日本人の存在を知る。そういえば冒頭の『BILLY BAT』と、ケヴィン・ヤマガタの仕事机に散乱してる描きかけの『BILLY BAT』の原稿、よく見比べてみると別物だということに気付く。絵柄は全く同じだが、コマの進み方が左右逆なのだ。ケヴィンの仕事机にある漫画は、左→右、つまり日本の漫画と逆向きにコマを読み進めていくスタイル。じゃあ、第1話、そして2話で我々が読んだ漫画を描いたのは?…ってケヴィンだよな、表紙に名前書いてあるし。じゃあこれ、ケヴィンが何らかの理由でアメコミ界でなく、日本向けに描いた漫画?それともケヴィンと同じ絵を描く謎の日本人作家が描いた漫画?だとしたらそいつは何故「ケヴィン・ヤマガタ」を名乗る?………こ、このノリ!いつもの浦沢だ(笑)!嬉しい?もうウンザリ?とりあえず連載追っかけます。
浦沢マニアじゃないけど、このネタバレ記事を先に読んでしまったので、サプライズし損ねました(笑)
まぁ、この先、マニアにも予測不可能なサプライズ的展開がきっとあることでしょう。
ちょーびっくりしました。
でも、『マスターキートン』と
『パイナップルアーミー』が好きで
20世紀もモンスも、まるで食指が
動かんのよね~。
出来ればコウモリのままやって
欲しかったってのが本音なところ。
いつまで着いてい来るかが心配。
今の所『MONSTER』路線まっしぐらっぽいですが、コウモリもまた出てくるような気がしますねー。