★ Serena ★

カナダ暮らしのエスペランチスト、自然愛好家。
エスペラントやカナダの野草、ネーチャークラブの活動など思いつくままに。

アメリカミヤオソウ

2005-05-19 03:50:04 | 野の花 - 春から夏へ
メイアップルは五月にリンゴの花のような花をつける多年草で、過去にこの実はジャムなどにつかわれたそうです。早春に芽生えた頃はすぼめた傘のような葉が目立ちます。
高さは45センチにもなり、茎の途中から葉柄が二本に別れ、この分かれ目に一つの花をつけます。花はちょうど日傘を二本両手で掲げたような格好でうつむき加減に咲いているので、群生する葉だけを見ていた頃は全く気付かずにいたのでした。
葉は一枚のものと二枚のものがありますが、葉が二枚になったものだけが花を咲かせます。花の大きさは直径5センチくらいで、色はちょっとクリーム色を帯びた白です。花びらは普通6枚ですが、たまには9枚になるものもあるとか。肥沃な森の日の射す空間や路傍に良く茂っています。この茂みは良く目立つのですが花は隠れて見えないので、花を見るためには近づいて下から覗かなければなりません。
良く熟れた実以外は有毒です。原住民はこの根を粉にしたものを除虫剤としたり、蒔く前に種をその溶液に浸けて置くことで害虫から守ったりしていたようです。
この毒性は薬用にも使われます。根や茎から抽出されたポドフィリンは数百年前からいぼの薬や虫下し,下剤として利用され、抗がん剤VP-16の基本になっています。VP-16は現在最もよく使用される抗がん剤の一つです。
英語ではMayappleと呼ばれていて、日本名はアメリカミヤオソウ。
学名はPodophyllum peltatum、別名はMandrake(マンダラゲ)ですが、この名は正式にはEuropean Mandrake (Mandragora officinarum) に所属するもので、全く別な植物です。
エスペラントでMandragoro と名付けているのはこのEuropean Mandrakeのことでしょう。このMandrake は「ハリー・ポッター」に出てきます。ミセス・スプラゥトの温室での授業で掘り出されると人間の形をしたその根がギャーギャー泣き喚く草です。
メイアップルのエスペラント名を探すべく、Podofilo など当たってみましたが。。。英エス辞典にも、PIV にも出ていませんでした。
育てるのには楽な多年草で、弱い草を淘汰してしまうそうです。手に負えなくなった我が庭に移植も考えています。路傍に生えているものなら掘っても苦情は言われないでしょうし、秋に移植するのが良いとか、秋に忘れなかったら試してみましょう。


写真はメイアップルの草全体と花です。