つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

ファンタジー買います?

2005-08-22 00:22:42 | ファンタジー(異世界)
さて、ハヤカワFTも久々だなと思う第265回は、

タイトル:魔法の王国売ります!
著者:テリー・ブルックス
文庫名:ハヤカワ文庫

であります。

妻を失って抜け殻と化した弁護士ベン・ホリデイ。
ある日、彼の元へ妻宛の商品カタログが送られてくる。
その中に、特に目を引く広告が一つあった――魔法の王国売ります。

半信半疑ながらもバイヤーと接触し、彼は購入を決意する。
価格は100万ドル、決して安くはない、だが惜しくもなかった。
辛い思い出を振り切り、新たな人生を手にするため、ベンは旅立つ。

しかし、上手い話には落とし穴がある。
そして、この取引もその例外ではなかった。
寂れた王国ランドオーバーの王となったベンの運命やいかに……。

努力・友情・勝利から成る、ユーモア・ファンタジーです。
現実逃避のために幻想世界へ来た筈がそこでも苦労するところとか。
へっぽこな従者達と親交を深めていき、チーム一丸で闘うとことか。
ようやく何かが掴めたと思った時、巨大な敵と対峙するとことか。
もろハリウッドですね。(笑)

でも、主人公のベンは巻き込まれ型の情けない奴ではありません。
状況に振り回されながらも、ちゃんと自分の意思を通します。
職業柄か、素直に引き下がるということを知りません、突撃あるのみ。
時に臆病、時に喧嘩っ早い……でも誠実かつ責任感の強い人物です。
うーん、素敵なオヂサンだ。

脇を固めるサブキャラ達もいい味出してます。
情熱はあるが実力はかなり怪しい宮廷魔術師クエスター。
皮肉屋だが、認めた相手には礼を尽くす宮廷書記アバーナシィ。
ちょっと電波入ってるけど(笑)、無条件にベンを愛するウィロウ。
怖~い魔女とか、ちょっとすれた感じのドラゴンとかも出ます。

ちなみにこれ、ランドオーバーと呼ばれるシリーズの一作目です。
二作目以降は正式に王となったベンの苦労が語られるらしい……。
綺麗にまとまってるので、本巻で終わりでもいいかなと思います。

都合良くいかない、現実っぽいファンタジーが好きな人向け。
ダジャレはあまり出てきませんが、会話に味があります。