さて、予定通り日曜はラノベなのさの第789回は、
タイトル:麒麟は一途に恋をする
著者:志村一矢
出版社:メディアワークス 電撃文庫(H16)
であります。
毎週恒例にしつつあるライトノベルの日の今日は、Amazonで見ると7巻まで出ているこれも人気シリーズ。
どうやら前シリーズの「月と貴女に花束を」と世界観を共有する別作品とのこと。
では、ストーリーはと言うと……。
新進気鋭のイラストレーターで、ゲームのキャラクターデザインなども手がけている春原麻由は、順調に仕事をこなしていた。
夜も更けて一段落したときに、マンションから見える先の学校で大きな火柱が上がるのを目撃する。
数年前の大災害を経て現れた妖魔……駆逐されたはずのその存在を思い起こしつつも、避難すべきはずの事態にただ何もしなかった。
後日、仕事が早く上がって気晴らしにスケッチに出かけた麻由は、酔っ払いに絡まれたところを色合いの深い黒髪をした青年に助けられる。
麻由のことを知っているふうな青年に出会ったときから、麻由の人生は大きく変貌していく。
その始まりは、飲み物を切らしたために夜、マンション裏手の自販機に飲み物を買いに出かけたときだった。
目の前に現れた蜥蜴の姿をした妖魔、そこに現れた青年……国見遙は麻由を守るために妖魔と凄惨な戦いを始めた。
中盤から終盤にかけて読んでいて、こりゃ確実に続き物だからこの1巻、オチはつけてくれないな、と思ったらその通り……。
まぁ、どうやら雑誌のほうで連載をしているものなので、仕方がない部分もあるだろうが、本編の3話分は麻由に実はこれこれこういう話なんだよ、と言うところで終わり。
あー、そーですか。
しかも4話目かと思いきや、前シリーズを引きずりまくった特別編というのが入っていて、余計にげんなり。
それなら1話ごとに短編連作のようにオチをつけてくれているかと言うと、それもなし。
大きく編の名前をつけるなら「邂逅編」みたいな感じで引きまくりですべて終わってくれているので、げんなりついでに溜息。
連載、連載だから仕方がないさっ! と思おうとしてもやっぱりオチなし引きまくりで終わってしまうとねぇ……。
ならばダメなのか、と言うと客観的に見れば、そうとは言い切れない。
まずは文章。
最初は下半分がかなり白かったので、眉をひそめる感はあったが、それも最初だけで分量は適度。
描写にやや難があり、会話文などキャラの見分けがしづらいところがあるが、どちらかと言うと重めの文章は、物語にも、けっこう凄惨な戦闘シーンにも合ったものとなっている。
ストーリーは……まぁ、序盤も序盤だからあれこれ言うべきではないだろうが、大きな破綻はいまのところなく、文章面のやや難を除けば流れは悪くない。
狙った部分はあるが、明らかなキャラものと言うわけでもなく、人類の存亡を賭けたドラマをきちんと描こうとするところは好感が持てる。
こうした話をおもしろく感じられれば、引きまくりの1巻なので続きを読みたいと思わせるだけのものはあろう。
……が、伏線として短く語られる部分がそこかしこに散りばめられており、しかもこうした脇の話のほうが濃ゆいので、主人公である麻由と遙の影が薄くなっているのがどうかと思うが。
とは言え、個人的なところは除けば、総評は悪くはない。及第以上だとは確実に言える。
ラノベにしては重厚でしっかりとした現代ファンタジーになりそうな気配があり、こうしたところはラノベ点を加味しなくとも評価できるところだ。
今後の展開に期待。
……なのだが、個人的にはさして続きが気になるほどではないので、そのうち、ネタがなくなったらと言ったところかなぁ。
とりあえず、図書館に続きはあったし。
――【つれづれナビ!】――
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タイトル:麒麟は一途に恋をする
著者:志村一矢
出版社:メディアワークス 電撃文庫(H16)
であります。
毎週恒例にしつつあるライトノベルの日の今日は、Amazonで見ると7巻まで出ているこれも人気シリーズ。
どうやら前シリーズの「月と貴女に花束を」と世界観を共有する別作品とのこと。
では、ストーリーはと言うと……。
新進気鋭のイラストレーターで、ゲームのキャラクターデザインなども手がけている春原麻由は、順調に仕事をこなしていた。
夜も更けて一段落したときに、マンションから見える先の学校で大きな火柱が上がるのを目撃する。
数年前の大災害を経て現れた妖魔……駆逐されたはずのその存在を思い起こしつつも、避難すべきはずの事態にただ何もしなかった。
後日、仕事が早く上がって気晴らしにスケッチに出かけた麻由は、酔っ払いに絡まれたところを色合いの深い黒髪をした青年に助けられる。
麻由のことを知っているふうな青年に出会ったときから、麻由の人生は大きく変貌していく。
その始まりは、飲み物を切らしたために夜、マンション裏手の自販機に飲み物を買いに出かけたときだった。
目の前に現れた蜥蜴の姿をした妖魔、そこに現れた青年……国見遙は麻由を守るために妖魔と凄惨な戦いを始めた。
中盤から終盤にかけて読んでいて、こりゃ確実に続き物だからこの1巻、オチはつけてくれないな、と思ったらその通り……。
まぁ、どうやら雑誌のほうで連載をしているものなので、仕方がない部分もあるだろうが、本編の3話分は麻由に実はこれこれこういう話なんだよ、と言うところで終わり。
あー、そーですか。
しかも4話目かと思いきや、前シリーズを引きずりまくった特別編というのが入っていて、余計にげんなり。
それなら1話ごとに短編連作のようにオチをつけてくれているかと言うと、それもなし。
大きく編の名前をつけるなら「邂逅編」みたいな感じで引きまくりですべて終わってくれているので、げんなりついでに溜息。
連載、連載だから仕方がないさっ! と思おうとしてもやっぱりオチなし引きまくりで終わってしまうとねぇ……。
ならばダメなのか、と言うと客観的に見れば、そうとは言い切れない。
まずは文章。
最初は下半分がかなり白かったので、眉をひそめる感はあったが、それも最初だけで分量は適度。
描写にやや難があり、会話文などキャラの見分けがしづらいところがあるが、どちらかと言うと重めの文章は、物語にも、けっこう凄惨な戦闘シーンにも合ったものとなっている。
ストーリーは……まぁ、序盤も序盤だからあれこれ言うべきではないだろうが、大きな破綻はいまのところなく、文章面のやや難を除けば流れは悪くない。
狙った部分はあるが、明らかなキャラものと言うわけでもなく、人類の存亡を賭けたドラマをきちんと描こうとするところは好感が持てる。
こうした話をおもしろく感じられれば、引きまくりの1巻なので続きを読みたいと思わせるだけのものはあろう。
……が、伏線として短く語られる部分がそこかしこに散りばめられており、しかもこうした脇の話のほうが濃ゆいので、主人公である麻由と遙の影が薄くなっているのがどうかと思うが。
とは言え、個人的なところは除けば、総評は悪くはない。及第以上だとは確実に言える。
ラノベにしては重厚でしっかりとした現代ファンタジーになりそうな気配があり、こうしたところはラノベ点を加味しなくとも評価できるところだ。
今後の展開に期待。
……なのだが、個人的にはさして続きが気になるほどではないので、そのうち、ネタがなくなったらと言ったところかなぁ。
とりあえず、図書館に続きはあったし。
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