つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

結婚するっ?

2007-01-22 23:53:38 | ファンタジー(異世界)
さて、あと二冊でネタが切れる第783回は、

タイトル:砂の覇王7 流血女神伝
著者:須賀しのぶ
出版社:集英社 コバルト文庫(初版:H14)

であります。

須賀しのぶの長編ファンタジー『流血女神伝』シリーズの第二弾『砂の覇王』の七巻目。
ルトヴィア帝国に逆戻りすることになり、周囲の思惑に翻弄されるカリエの姿を描きます。
今回の表紙は海賊姿のカリエとその肩に乗るオロキ鳥のリリアン、そして固い表情で遠くを見つめるギアス海佐。何か……これだけ見ると海洋冒険物みたいですね。(笑)



海賊王トルハーンと天才指揮官ギアス、旧友同士の戦いは後者に軍配が上がった。
戦闘中に、ギアスの旗艦に回収されたカリエは、そのままバルアンと離ればなれになってしまう。
海賊を打ち破り、帝国の威信を取り戻したルトヴィア艦隊はトルハーンを連行し、皇都タイアークへと帰還した。

国を追われ、異国の妃となり、挙げ句海賊の捕虜となった悲劇の皇女カザリナ・ユファトニー。
そんな空っぽの偶像を押し付けられることに辟易し、カリエは飽くまで海賊として皇都に降り立つ。
困惑する者達の中にあって、ドミトリアスとグラーシカだけは以前と変わらず、兄、及び、友として接してくれた。

だが、周囲の状況は平穏な時間を与えてくれるほど甘くはなかった。
ギアスの助命嘆願も虚しくトルハーン処刑の日は近付き、さらに、カリエの立場が宮殿内に波紋を呼ぶ。
カリエはグラーシカの親衛隊に入ることで周囲の雑音を封じようとするが、そんな彼女の前にトルガーナ辺境伯なる人物が現れ――。



とにかく変わり身の激しいカリエですが、今回は遂にグラーシカの親衛隊になってしまいました。
ルトヴィア帝国の設定が、いかにも革命以前のフランスっぽいことから、いつかやるんじゃないかと思ってましたが――。

狙ったな、須賀。

って感じですね。(笑)

ベルばらごっこですよ、ベルばらと書いてベルサイユのばら!
もう後は、バスチーユ監獄の前で美しく散るだけですね。(笑)
でもそーなると、エドがアンドレか……何か間違ってる気がする。

まぁ、それは置いといて。

流血女神伝の特徴は、お馬鹿なノリとシビアな展開が共存していることですが、本巻は特にその傾向が強いです。
必殺の抱き付き攻撃で過去最高の三機撃墜を果たすカリエ、慎みのない格好のカリエを見て絶句するドーン兄さん、夫の堅物ぶりを笑い飛ばすグラーシカ等、各キャラのしょーもないネタ(※最高の賛辞)を放り込みながら、同時に、過去と現在を語り合うトルハーンとギアス、カリエを失っても動じないバルアンに怒りを覚えるラクリゼ、強者には厳しいが弱者には甘々なドミトリアスを批判する×××といった真面目なネタもちゃんと入れているのは凄い。
相変わらずと言ってしまえば相変わらずなんだけど、この絶妙なバランス感覚は正直羨ましいなぁ。

ストーリーは、大体上記の粗筋で全部です。
最大のハイライトは、現実逃避まっしぐらなカリエを、地獄から生還した×××が諭す場面。
いや~、本当にいい男になって帰ってきました×××。本人も言ってるけど、確かにドミトリアスより皇帝向きかも。
(ん? 伏字の意味なし?)

舞台がルトヴィアに移ったため、今回、エティカヤ勢は殆ど出てきません。
せいぜいバルアンが腹をくくった、ってぐらいで、エドとかコルドとかヒカイが何をしてるのかは不明。
本当に残り二巻でシャイハンを倒し、国を分捕れるのか? ってとこですが、それについては最終巻で。

次巻は、カリエが一つの儀式を行います。
ところでこの娘、いつの間に十七歳になったんだ……?(爆)



――【つれづれナビ!】――
 ◆ 『流血女神伝』のまとめページへ
 ◇ 『ライトノベル一覧表(その2)』へ
 ◆ 『つれづれ総合案内所』へ