つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

思い出すっ!

2007-01-08 23:59:12 | ファンタジー(異世界)
さて、今週のカリエさんは? な第769回は、

タイトル:砂の覇王5 流血女神伝
著者:須賀しのぶ
出版社:集英社 コバルト文庫(初版:H13)

であります。

須賀しのぶの長編ファンタジー『流血女神伝』シリーズの第二弾『砂の覇王』の五巻目。
急転直下、自分を支配する運命の歯車の一つを見ることになったカリエの姿を描きます。
今回の表紙はカリエと謎の少女(笑)、そして、画面奥でこちらに鋭い視線を向けているラクリゼ。何かこれだけ見ると魔女みたいですが、実際、今回のラクリゼの役回りは……。



カリエは悪夢を見ていた。
聴覚以外を奪われ、どこかへ連れ去られていく夢だ。
闇の中に、二つの輝く瞳を見た時、彼女は死を覚悟した……。

目覚めた時、そこには現実があった。
バルアンの正妃マヤラータとしてかつての兄と友に再会し、気絶したという現実が。
だが、現実は夢のように簡単に終わることなく、さらに容赦のない要求を突きつけてくる。

カリエの新たな名――エティカヤに滅ぼされたギウタ皇国最後の皇女カザリナ・ユファトニー。
それは、ルトヴィア皇帝夫妻のみならず、バルアンの兄シャイハンをも惑わせ、場に混沌をもたらす。
そして遂に、ザカールの力によってカリエの記憶の封印が解かれる時が来た――!



ついに、この日がやって参りました。

流血女神伝オールスター感謝祭!

すいません嘘です……本当はドーン兄さんの戴冠式&その後の晩餐会。(爆)

しかし、オールスターというのは嘘ではありません。何せ参加者の顔触れが凄い。
運命の娘カリエ、ルトヴィア皇帝ドミトリアス、皇后グラーシカ、破戒坊主サルベーン、エティカヤ第二王子バルアン、第一皇子シャイハン、そしてユリ・スカナの嫡男イーダル君、と、東西の顔役が勢揃いします。
話の内容も、その場の台風の目であるカリエの過去に関するもので、まさに、『砂の覇王』全九巻のど真ん中に打ち込まれた楔のイベントと言えるでしょう。

ま、その割には、サルベーンがザカール流忍術(嘘)でカリエの記憶を暴いて、会はあっさり終わるのですが。(笑)

ともあれ、この最初で最後の会合を境に、本シリーズはキャラ同士の仁義なき生き残りゲームに突入します。
甘い奴は疲弊し、せこい奴は自滅し、負けた奴は喰われます……これは現時点の最強キャラであるラクリゼすらも例外ではありません。
もう、何というか――
弱者死すべし、って感じですね。

それでも、カリエとエドだけは変わりません。
良い意味で頑丈、悪い意味で成長ゼロの二人は、甘さを引きずったままどうにかこうにか生き延びます。
このシリーズで、唯一信じていいのはそこだけかも。他は何が起こってもおかしくないので、かなりの気構えが必要です。

で、本巻のその他の展開ですが、表紙に出てきている通り、ラクリゼが怪しい動きを始めました。
後、ある人物がドロップアウトしたり、バルアンがいよいよ王権奪取に動き出したり、トルハーン対ギアスの対決が間近に迫ったりします。
メインは一応カリエ、かな? メンツがメンツなだけに押されてる感じがしないでもないですが。(笑)

あ~、エド君は……単なる運び屋で終わってます。

いつものことだけどオススメ。
次巻はちょっとした番外編で、カリエが一風変わったコスプレをします。(これもいつものことだが……)



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