つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

変身するっ!

2007-01-01 23:59:47 | ファンタジー(異世界)
さて、あけましておめでとうございます、な第762回は、

タイトル:砂の覇王4 流血女神伝
著者:須賀しのぶ
出版社:集英社 コバルト文庫(初版:H13)

であります。

須賀しのぶの長編ファンタジー『流血女神伝』シリーズの第二弾『砂の覇王』の四巻目。
一連の騒動が終わったのも束の間、さらにバルアン王子に振り回されるカリエの姿を描きます。
今回の表紙はドミトリアスとグラーシカの結婚式。このまま二人ともお幸せに……といけばいいのですが、そうは問屋が卸さないのが本シリーズの特徴だったり。(爆)



カリエは、バルアンの身辺世話役として多忙な日々を過ごしていた。
ドミトリアスの戴冠式に出席するため、ムザーソを立つ日が近付いていたからだ。
そう……一年ぶりに帰るのだ、かつて皇子として過ごしたルトヴィア帝国に。

皇都タイアークを目指す旅は、驚きの連続だった。
正妃ではなく、飽くまで愛妾に過ぎない第一貴妃ビアンの同行、疲弊したクアヒナ東公国に対するバルアンの露骨な人気取り、そして……大切な友人との再会。
おまけに、連日のようにビアンの侍女の美容攻撃に晒されてくたくただった。なぜかバルアンもコルドも、カリエの肌が焼けていることを気にしたからだ。

クアヒナの人々が、かつての兄・ドミトリアスに期待する姿を見るのは誇らしかった。
だが、バルアンはそんなデミトリアスを冷静に分析し、カリエの苛立ちを誘う。
それでも、カリエの心は浮き立っていた。バルアンが皇太子夫妻に引き合わせることを約束してくれたからだ。

バルアンは確かに約束を守った。
ただしそれは、カリエの望む形でではなかった。
彼女は皇太子夫妻と再会する……アルゼウス皇子の身代わりでも、バルアンの奴隷でもない立場で――!



東西の顔役が一同に会し、いよいよ大河ドラマが動き始めた感のある第四巻です。
ドーン兄さんとグラーシカが結婚したり、好色坊主サルベーンがまたも顔の広さを発揮して怪しい動きを見せたり、謎の海賊トルハーンやその親友が登場したりと、カリエのみならず読者の私も驚きの連続なのですが、何が一番驚いたかって――。

カリエってまだ十五歳だったのね。

そう、結構時間が過ぎたようで、実は『帝国の娘』から一年しか経ってないのです。
裏を返せば、ドミトリアスは二十五歳! グラーシカに至ってはまだ十八歳!
うーん……何と言うか、表紙とのギャップが凄まじい。(笑)

で、ストーリーなのですが、カリエに関しては大体上の粗筋通り。
後は、結婚前&後のドミトリアスとグラーシカの話、バルアンの兄・シャイハンをそそのかすサルベーンの話、海賊トルハーン討伐のために招聘された男・ギアスの話などがあります。
ちなみにエドは、巻頭と巻末にちょろっと登場し、凄い場面に出くわしたり、凄い方と対面したりします。ま、所詮脇役ですが。(酷っ!)

いつものごとく、オススメです。
今回は珍しく、カリエがサバイバルしていませんが、当然ながら安息の日が訪れたわけではありません。
むしろどんどん立ち位置が怪しくなるばかりで――と、そのへんについてはまた次回



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