さて、小説全般のカテゴリってさの第788回は、
タイトル:海の短編集
著者:原田宗典
出版社:角川書店 角川文庫
であります。
なんか、何のひねりもなにもないタイトル……だけど、まぁ、いっそこれくらいあっさりしてくれたほうが逆に印象深いかもしれない……かな?
……さておき、このタイトルから想像して、どんな短編集を思い浮かべるか。
って、ひねりも何もないんだから、そのまんま、海を舞台にした短編。
と言うより、ショートショートと言ったほうがいいくらいの掌編12作が収録されたもの。
どの作品も概ね20ページ以内、と言う短さで、基本的に「南国の海」と言うのが舞台で、冬の波打ち寄せる日本海、とかそういうものではない。
どこ、とは言明していないので、旅行した、もしくはテレビや本で見た、などでもいいので、自分の好きな場所を想像して楽しむことが出来る。
では短編集なので例の如く……と言いたいところだけど、数が多いので、パス。
各作品のタイトルは、
「取り憑く島」
「何を入れる箱」
「願いをひとつ」
「黒魔術」
「成長する石」
「デジャヴの村」
「岬にいた少女」
「夕陽に間に合えば」
「人の魚」
「中には何が」
「贋のビーチ」
「美しすぎる風景」
の12編。
この中でおもしろかったのを上げるとすると……。
ひとつは、取り憑いた人間に様々な奇行を起こさせる”エニ”と言う森の奥に住む魔物を扱った「取り憑く島」
ホラーっぽい感じのラストがぞくぞくっとさせてくれておもしろい。
ふたつめは、引き潮のときに波が穏やかになり、シュノーケリングに最適な岬で出会った現地の少女との語らいを綴る「岬にいた少女」
これもちょっとしたホラーの掌編で、少女が何事でもないように語る中にある凄惨さがいい。
あと、恋人とともに訪れた南国のビーチで売られていた贋物が赤く見えると言うサングラスを買った男の話である「贋のビーチ」
予想通りのラストだが、けっこう笑える。
こんなところかなぁ、これは。
どの作品にも言えるが、幻想的な要素や、不可思議を盛り込んだもので、ホラーっぽい話などはあるが、作品の雰囲気は軽め。
短いことも、そうした軽さにつながっている一因だとは思うが、軽薄な軽さではなく、軽妙と表現してもいいだろう。
でも、こういう掌編は一気に読むもんじゃないねぇ。
1編がとても短いので、少々じっくり読んだとしても5分程度で読み終わる作品ばかり。
なので、ぽっかりと空いた待ち時間とか、短い移動時間とか、そうした長いのを読むには時間がなさすぎるようなときに、1編づつ読むのが最適かと。
総評としては、いいのもあればいまいちなのもありだし、作品によって好みもあろうかと思うので、及第ってところが妥当かな。
タイトル:海の短編集
著者:原田宗典
出版社:角川書店 角川文庫
であります。
なんか、何のひねりもなにもないタイトル……だけど、まぁ、いっそこれくらいあっさりしてくれたほうが逆に印象深いかもしれない……かな?
……さておき、このタイトルから想像して、どんな短編集を思い浮かべるか。
って、ひねりも何もないんだから、そのまんま、海を舞台にした短編。
と言うより、ショートショートと言ったほうがいいくらいの掌編12作が収録されたもの。
どの作品も概ね20ページ以内、と言う短さで、基本的に「南国の海」と言うのが舞台で、冬の波打ち寄せる日本海、とかそういうものではない。
どこ、とは言明していないので、旅行した、もしくはテレビや本で見た、などでもいいので、自分の好きな場所を想像して楽しむことが出来る。
では短編集なので例の如く……と言いたいところだけど、数が多いので、パス。
各作品のタイトルは、
「取り憑く島」
「何を入れる箱」
「願いをひとつ」
「黒魔術」
「成長する石」
「デジャヴの村」
「岬にいた少女」
「夕陽に間に合えば」
「人の魚」
「中には何が」
「贋のビーチ」
「美しすぎる風景」
の12編。
この中でおもしろかったのを上げるとすると……。
ひとつは、取り憑いた人間に様々な奇行を起こさせる”エニ”と言う森の奥に住む魔物を扱った「取り憑く島」
ホラーっぽい感じのラストがぞくぞくっとさせてくれておもしろい。
ふたつめは、引き潮のときに波が穏やかになり、シュノーケリングに最適な岬で出会った現地の少女との語らいを綴る「岬にいた少女」
これもちょっとしたホラーの掌編で、少女が何事でもないように語る中にある凄惨さがいい。
あと、恋人とともに訪れた南国のビーチで売られていた贋物が赤く見えると言うサングラスを買った男の話である「贋のビーチ」
予想通りのラストだが、けっこう笑える。
こんなところかなぁ、これは。
どの作品にも言えるが、幻想的な要素や、不可思議を盛り込んだもので、ホラーっぽい話などはあるが、作品の雰囲気は軽め。
短いことも、そうした軽さにつながっている一因だとは思うが、軽薄な軽さではなく、軽妙と表現してもいいだろう。
でも、こういう掌編は一気に読むもんじゃないねぇ。
1編がとても短いので、少々じっくり読んだとしても5分程度で読み終わる作品ばかり。
なので、ぽっかりと空いた待ち時間とか、短い移動時間とか、そうした長いのを読むには時間がなさすぎるようなときに、1編づつ読むのが最適かと。
総評としては、いいのもあればいまいちなのもありだし、作品によって好みもあろうかと思うので、及第ってところが妥当かな。