

秋空のしたで、珍しくゲートボールの試合をなさっている二チームの人たちを見て、ちょっと懐かしくなって離れた土手の上から観戦させて頂きました。ゲートボールの試合などめったに見られなくなって久しいですから。
なごやかに楽しんでゲームするお仲間かと思ったんですけど、厳しいんですねゲートボールという競技は・・・こんな、たった2チームの10人ほどの試合なのにお互いの厳しい声がちょっと離れた私のところまで聞こえて来るんですよ。びっくりしました。
リーダーの方と思われるそれなりのお年と見える女の方が、それなりのお年と見える女の方のボールがゲートを通らないのをみて厳しく叱責していらしゃるんです。
私はゲートボールってすごく厳しい怖いスポーツだと思ってしまいました。
一世代若い熟年グループのスポーツグランドゴルフがお互いに称賛しあい励まし合ってなごやかに競技を競うのとはちょっと違うなと思ったのです。
でもよく考えるとこの人たちはすごく強く立派な人たちなんですね。
この人たちは何らかの形で遠い昔の悲惨な戦争を体験し、敗戦の廃墟の中から空腹と寒さに耐えて新しく豊かな日本を再建した人たちなんですね。強い意志とたくましい行動力を持った人たちなんです。
かつてゲートボールが熟年世代の中で輝いていた時代はこの町営の4面のゲートボール場は毎日たくさんの人の熱気であふれていました。でも今はゲートボールは新しい熟年のスポーツのグランドゴルフに変わってしまい、ゲートボールの練習や試合は本当に珍しくなってしまいました。
そのような状況のなかで、この2チーム10人ほどの方が車やバイクで集まってゲートボールの試合に熱中なさる。私はその皆さんのきずなの強さと、ゲートボールを愛する熱意がすごいと思うんです。
この人たちはお見受けするところ85歳の私と同年代かまたは少し上の方々だと思いました。もうお仲間はだいぶ少なくなって、私のように息を切らしてやっと歩っていたり、ディーサービスや老人介護の施設に入っていらっしゃる方も多いと思うんです。
それなのにこの人たちは輝いていらっしゃる。あんなはげしい叱責が飛び交う厳しい競技を闘っていらっしゃる。その熱気がすごいな思うのです。あの方たちに言わせればグランドゴルフなど惰弱でやってられないとおっしゃるかもしれません。
あの人たちは、あの人たちの世代の中の本当のエリートですよね。私も見習はなくちゃ、そう思いました。