goo blog サービス終了のお知らせ 

さんたろう日記

95歳、会津坂下町に住む「山太郎」さんたろうです。コンデジで楽しみながら残りの日々静かに生きようと思っています。

暖かい心を「しにせ」で買いました。

2011-10-01 | 日記


 私の家では姿は見せないんですけど近頃キツネさんが住みこんで困っているんですよ。老眼鏡とか小金を入れた財布とか・・いろんなものが隠されそしてあるはずもないところから出てくるのです。なにせ84歳爺と81歳婆ですからキツネさんも住み込み安いんでしょうね。

 この間も爺持ちの玄関のキーが見えなくなりました。これは出てくるまでに時間がかかりそうなので合い鍵を作ることにしました。ところがコメリーなどの量販店ではやってくれないんですね。

 自転車で合い鍵を作ってくれるお店を探しました。やっと合い鍵作りますと看板のあるお店を見つけ嬉しくてお店に入ると驚きました。店内はまるで美しい金物類の博物館のように輝いているのです。小さなビスのようなものから大きなスコップのようなものまで金物の器具や機械が整然と展示されているのです。

 物珍しく呆然として眺めていると、気品のある初老のご主人がおいでになってどうぞと椅子を勧めながら、「どんなご用件でしょうか」とおっしゃるんです。
「合い鍵をつくって頂きたいんです」と鍵を差し出すと受け取ってゆっくりと確かめ「玄関の鍵ですね、出来ます、しばらくお待ちください。」と仕事場にお入りになりました。

 お店の奥には畳敷のご主人の座があって、あがりかまちの前には小さなテーブルと椅子があってお茶道具とお茶菓子でお客を接待できるようになっていました。老舗の店構えなんでしょうね。私は椅子に座って飽きもせず店内の珍しい品物を眺めていました。

 しばらくしてご主人が出来た合い鍵を私に見せ、注文したキーホルダーに丁寧につけて渡してくれました。
 「おいくらですか」とお聞きすると値段表を見せながら計算機に入力して「鍵とホルダーで650円です」とおっしゃいました。千円札をお出しするとこれも計算機に入力して「350円」のおつりですとコインを机の上に並べてから渡してくださいました。
 
そして店を出る私を送って「ありがとうございました。」頭を下げられるのです。

 こんな小さな買い物にも客を大事になさるご主人の応接に老舗の奥深いしきたりの心を感じました。私は合い鍵とフォルダーだけでなく老舗のご主人の暖かい心を買ったのだと思いました。

 今日はいい日でした。