“適当”はものすごく難しい。
子供の頃から「なんでもきちんとしなくちゃいけない」と思い込んで育った私には
わがまま≠あるがまま
適当≠微妙な調整や遊び心
のような、言葉の裏にあるその世界の奥深さなんて全く知りませんでした。
旦那さんと結婚し、出会う方々が専門職や技術職の方に変わり、
自分も「かしこ」を始め、パン職人さんの本をいろいろ読むようになって、
“適当なくらいがちょうどいいんです”
の一言の重さに、もっと頑張らなくちゃそんなこと言えないなぁ~としみじみ。
酵母は生き物。
確かに人間の緻密な計算を簡単に裏切る問題児です。
だからこそ、計算以上に今の状態を見極める“目”が必要になります。
でもそれはどんな世界でも同じこと。
身体の仕事でも子育てでも、自分の価値観の中でこうあってほしいと望むと
多くのことが見えなくなる。
この不調にはどう動かすか。
こんな味や発酵状態はどうこねるか。
自分の想いではなく、その先にあるものが見れるように日々勉強です。
私も本を読ませていただきましたが、おおらかな心と楽しむ目線でパンを作り、
食作りを多くの人に伝えてくださった林弘子さんが7月25日に亡くなられたことを昨夜知りました。
本当に日々忙しくされていたことがブログからもうけとれ、
その中でも作り続ける林弘子さんの生活スタイルは尊敬してやみません。
それと同時にその不調の奥にあった病に気づけなかったことが残念でありません。
心よりご冥福をお祈りいたします。
林弘子さんをはじめ、イスキアの森の佐藤初音さんなど、食を通じて多くの心を伝えている女性たちは
いつかそんな心を持てるように…と私のひそかな目標であります。
これからもたくさんの方たちとの出会いや経験を通して、ゆっくりむくむく成長していけたらと思います。
(かしこ)