この地図は、国土地理院の2万5千分の1地形図を複製・加工したものである。
小伊津(こいづ)は日本海に面する漁村で、急傾斜地に階段状の集落が発達している。(歩
行約1.5㎞)
雲州平田駅前から平田生活バス小伊津漁港行き約30分、終点の漁港前で下車する。
バス内では海方向ばかり眺めていたが、バスから降りるとびっくりする光景が広がる。
標高差40mぐらいの谷間に、200戸以上の家が階段状に密集するという漁村集落を
形成している。
狭い土地を有効利用するため3~4階建てである。
路地歩きをするため斜面状の密集集落に入る。
狭い路地に急斜面という条件のもと、どのようにして建物を建てたのか知りたかったが、
情報を得ることができず。
左右に細い路地が続く。
この先、階段と迷路になっているため歩くことを残念する。
今では階下を倉庫として利用されているが、海辺の家々は船を格納する所だったという。
小伊津漁港は東に坂浦、西に三浦の分港があり、古くから延縄、一本釣り漁業が盛んで、
「小伊津のアカアマダイ」としてブランド化されている。
また、資源保護を目的に、漁協屋内に円形水槽を設置し、中間育成して放流も行われて
いる。
漁港の整備は1945(昭和20)年代後半から継続的な整備が行われ、小伊津漁港は地元
漁業主を中心の漁港でもなく、全国的な漁港でもない第2種漁港に指定されている。
集落内には生活物資を扱う店、葬儀ができる寺もある。
県道小伊津港線を上がって行くと視界が開け、漁港の全景が見えてくる。防波堤も新設
されたようで、海からの災害を防いでいる。
亀甲模様に旧平田市の市章がデザインされたマンホール蓋。
県道山手側にも階段で結ばれた住宅が建てられているが、クルマ社会の中にあって付近
に駐車場所も見当たらず、どのようにされているのだろうか。
集落を見下ろす位置にある三社神社の屋根は、外削りの男千木(ちぎ)である。祭神は上筒
之男命、中筒之男命、底筒之男命の三神で、海上安全、大漁満足、家内繁盛などに神徳が
あるとされる。
三社神社近くに稲荷神社。
一度災害が発生すると防止するすべがなく、幾たびか生々しい災害の試練を経験してき
た地である。左手の小伊津アパートは、1963(昭和38)年小伊津大火災の跡地に建てら
れた被災者のためのとのこと。
小さな集落での営みは昔と変わらない漁業が中心で、人とのつながりが残る地も高齢化
の波が押し寄せて空家も増えているようだ。