昭和48年6月、二上先生と第28期A級順位戦です。
大山先生の四間飛車、二上先生は玉頭位取りかと思いましたが、45歩を見て
引き角です。あまりうまくいくイメージはないです。
二上先生はすぐに24歩といくのを選びました。
部分定跡ではあるのですが、この歩を打つのではやや不本意。
そのまま収まれば振り飛車が4筋の位を取っているだけ有利になりやすいのですが、角をぶつけるのが二上先生の狙いでした。
2筋に歩を謝らせてこれなら互角です。
角を打ちあって35歩は軽い手。でも68銀として角筋をキープしておくのもあったでしょう。大山先生は角を追います。
飛車を3筋に回って銀をぶつけるのが構想ですか。なるほどです。
銀交換のあと、自分だけ銀を打つのでは不満なのですが、端を攻められるのでいい勝負。
端を謝るのはプロはやらないのです。銀を打ち込んで、55角が成立しないので成桂ができます。ただ、打つ前に47金から36歩を狙うのはあるのかなあという気がします。
大山先生は成桂の代償を求めます。
この金取りの受け方は悩みます。
金打で受けたので大山先生は端を攻めます。ここからは大山先生がリード。
端の折衝でどこまで得ができるか。
これで と金ができます。
と金を引き寄せるのは大山先生らしい指し方。二上先生の86香も好手です。歩切れなので取るしかないです。香損でも歩の数が違います。
味の良い香打ち。
さらに手厚い攻め方です。
角交換の後歩の後ろ側に銀を潜り込みます。歩を手に入れて77歩が狙い。68玉に89角78金同玉と呼び戻して
歩を手に入れました。77歩が痛いので香を取る余裕はなく、55角から攻め合いです。
どこまで寄り付けるか。大山先生も必死で受けます。
二上先生らしい鋭い寄せです。ですがここで83香成から迫ってもぎりぎり詰みません。
ですから二上先生は飛車を切るのですが、角を取られてこれも詰まず。
銀をとって香車を払われました。
大山先生が飛車を取らずに玉頭を処理したのが好判断で、勝ち筋になりました。
後手玉に詰みはなく、先手玉は詰めろ。
早逃げも角を取って放り込めば詰みです。角金と打って銀をはがして96桂の筋です。
二上先生は詰将棋(創るほうも解く方も)の名手。対振り飛車の作戦は独特で、中飛車に引き角にするのを(タイトルを思い出せないのですが)本で読んだことがあります。この引き角はあまりうまくいかないのですが、66角とぶつけることができて互角の中盤です。互いに疑問手は見当たらず、大山先生の84角に47金打としたあたりで何か別の受け方(66銀とか75歩とか66歩とか)をすべきだったか、もっと前に43銀と打ちこんだのが早かったか。終盤まで僅差ですが大山先生が有利で、どうにか寄せ合い1手勝ちになりました。とても良い将棋です。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:二上達也8段
後手:大山9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 9六歩(97)
12 9四歩(93)
13 5八金(49)
14 7二玉(62)
15 5六歩(57)
16 4三銀(32)
17 6八銀(79)
18 8二玉(72)
19 7七銀(68)
20 4五歩(44)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 7九角(88)
24 5二金(41)
25 3六歩(37)
26 6四歩(63)
27 2四歩(25)
28 同 歩(23)
29 同 角(79)
30 2二飛(42)
31 2五歩打
32 7二銀(71)
33 3七桂(29)
34 4四角(33)
35 5七角(24)
36 2六歩打
37 2九飛(28)
38 3三桂(21)
39 6六角(57)
40 2五桂(33)
41 4四角(66)
42 同 銀(43)
43 2六飛(29)
44 2四歩打
45 6六角打
46 3七桂成(25)
47 同 銀(48)
48 3三角打
49 3五歩(36)
50 5四桂打
51 7五角(66)
52 3五銀(44)
53 2九飛(26)
54 6三銀(72)
55 3九飛(29)
56 7四歩(73)
57 8六角(75)
58 8四歩(83)
59 3六銀(37)
60 8五歩(84)
61 9七角(86)
62 3六銀(35)
63 同 飛(39)
64 3五銀打
65 3九飛(36)
66 9五歩(94)
67 5五桂打
68 9六歩(95)
69 7九角(97)
70 4六歩(45)
71 同 歩(47)
72 7二銀(63)
73 4三銀打
74 同 金(52)
75 同 桂成(55)
76 5一角(33)
77 9三歩打
78 同 香(91)
79 5三成桂(43)
80 4六桂(54)
81 5九金(58)
82 5八歩打
83 4九金(59)
84 4八歩打
85 同 金(49)
86 8四角(51)
87 4七金打
88 9七歩成(96)
89 同 香(99)
90 9六歩打
91 同 香(97)
92 同 香(93)
93 9七歩打
94 9八歩打
95 8八銀(77)
96 7五歩(74)
97 5七角(79)
98 9九歩成(98)
99 同 銀(88)
100 9七香成(96)
101 同 桂(89)
102 9六歩打
103 8五桂(97)
104 9七歩成(96)
105 9八歩打
106 9六と(97)
107 8八銀(99)
108 9五と(96)
109 8六香打
110 同 と(95)
111 同 歩(87)
112 5一香打
113 4三成桂(53)
114 6五銀打
115 7五角(57)
116 同 角(84)
117 同 歩(76)
118 7六銀(65)
119 6八玉(78)
120 8九角打
121 7八金(69)
122 同 角成(89)
123 同 玉(68)
124 6五香打
125 5七金(48)
126 5六香(51)
127 5五角打
128 5七香成(56)
129 同 金(47)
130 2三飛(22)
131 6四角(55)
132 7三金打
133 8四香打
134 8三歩打
135 7三桂成(85)
136 同 銀(72)
137 9四角打
138 7二金(61)
139 7四金打
140 9三金打
141 3五飛(39)
142 6四銀(73)
143 7六角(94)
144 8四金(93)
145 3四飛(35)
146 7四金(84)
147 3二飛成(34)
148 7五金(74)
149 6一銀打
150 7一歩打
151 7七歩打
152 5九歩成(58)
153 8九玉(78)
154 7六金(75)
155 同 歩(77)
156 7八角打
157 投了
まで156手で後手の勝ち
大山先生の四間飛車、二上先生は玉頭位取りかと思いましたが、45歩を見て
引き角です。あまりうまくいくイメージはないです。
二上先生はすぐに24歩といくのを選びました。
部分定跡ではあるのですが、この歩を打つのではやや不本意。
そのまま収まれば振り飛車が4筋の位を取っているだけ有利になりやすいのですが、角をぶつけるのが二上先生の狙いでした。
2筋に歩を謝らせてこれなら互角です。
角を打ちあって35歩は軽い手。でも68銀として角筋をキープしておくのもあったでしょう。大山先生は角を追います。
飛車を3筋に回って銀をぶつけるのが構想ですか。なるほどです。
銀交換のあと、自分だけ銀を打つのでは不満なのですが、端を攻められるのでいい勝負。
端を謝るのはプロはやらないのです。銀を打ち込んで、55角が成立しないので成桂ができます。ただ、打つ前に47金から36歩を狙うのはあるのかなあという気がします。
大山先生は成桂の代償を求めます。
この金取りの受け方は悩みます。
金打で受けたので大山先生は端を攻めます。ここからは大山先生がリード。
端の折衝でどこまで得ができるか。
これで と金ができます。
と金を引き寄せるのは大山先生らしい指し方。二上先生の86香も好手です。歩切れなので取るしかないです。香損でも歩の数が違います。
味の良い香打ち。
さらに手厚い攻め方です。
角交換の後歩の後ろ側に銀を潜り込みます。歩を手に入れて77歩が狙い。68玉に89角78金同玉と呼び戻して
歩を手に入れました。77歩が痛いので香を取る余裕はなく、55角から攻め合いです。
どこまで寄り付けるか。大山先生も必死で受けます。
二上先生らしい鋭い寄せです。ですがここで83香成から迫ってもぎりぎり詰みません。
ですから二上先生は飛車を切るのですが、角を取られてこれも詰まず。
銀をとって香車を払われました。
大山先生が飛車を取らずに玉頭を処理したのが好判断で、勝ち筋になりました。
後手玉に詰みはなく、先手玉は詰めろ。
早逃げも角を取って放り込めば詰みです。角金と打って銀をはがして96桂の筋です。
二上先生は詰将棋(創るほうも解く方も)の名手。対振り飛車の作戦は独特で、中飛車に引き角にするのを(タイトルを思い出せないのですが)本で読んだことがあります。この引き角はあまりうまくいかないのですが、66角とぶつけることができて互角の中盤です。互いに疑問手は見当たらず、大山先生の84角に47金打としたあたりで何か別の受け方(66銀とか75歩とか66歩とか)をすべきだったか、もっと前に43銀と打ちこんだのが早かったか。終盤まで僅差ですが大山先生が有利で、どうにか寄せ合い1手勝ちになりました。とても良い将棋です。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:二上達也8段
後手:大山9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 9六歩(97)
12 9四歩(93)
13 5八金(49)
14 7二玉(62)
15 5六歩(57)
16 4三銀(32)
17 6八銀(79)
18 8二玉(72)
19 7七銀(68)
20 4五歩(44)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 7九角(88)
24 5二金(41)
25 3六歩(37)
26 6四歩(63)
27 2四歩(25)
28 同 歩(23)
29 同 角(79)
30 2二飛(42)
31 2五歩打
32 7二銀(71)
33 3七桂(29)
34 4四角(33)
35 5七角(24)
36 2六歩打
37 2九飛(28)
38 3三桂(21)
39 6六角(57)
40 2五桂(33)
41 4四角(66)
42 同 銀(43)
43 2六飛(29)
44 2四歩打
45 6六角打
46 3七桂成(25)
47 同 銀(48)
48 3三角打
49 3五歩(36)
50 5四桂打
51 7五角(66)
52 3五銀(44)
53 2九飛(26)
54 6三銀(72)
55 3九飛(29)
56 7四歩(73)
57 8六角(75)
58 8四歩(83)
59 3六銀(37)
60 8五歩(84)
61 9七角(86)
62 3六銀(35)
63 同 飛(39)
64 3五銀打
65 3九飛(36)
66 9五歩(94)
67 5五桂打
68 9六歩(95)
69 7九角(97)
70 4六歩(45)
71 同 歩(47)
72 7二銀(63)
73 4三銀打
74 同 金(52)
75 同 桂成(55)
76 5一角(33)
77 9三歩打
78 同 香(91)
79 5三成桂(43)
80 4六桂(54)
81 5九金(58)
82 5八歩打
83 4九金(59)
84 4八歩打
85 同 金(49)
86 8四角(51)
87 4七金打
88 9七歩成(96)
89 同 香(99)
90 9六歩打
91 同 香(97)
92 同 香(93)
93 9七歩打
94 9八歩打
95 8八銀(77)
96 7五歩(74)
97 5七角(79)
98 9九歩成(98)
99 同 銀(88)
100 9七香成(96)
101 同 桂(89)
102 9六歩打
103 8五桂(97)
104 9七歩成(96)
105 9八歩打
106 9六と(97)
107 8八銀(99)
108 9五と(96)
109 8六香打
110 同 と(95)
111 同 歩(87)
112 5一香打
113 4三成桂(53)
114 6五銀打
115 7五角(57)
116 同 角(84)
117 同 歩(76)
118 7六銀(65)
119 6八玉(78)
120 8九角打
121 7八金(69)
122 同 角成(89)
123 同 玉(68)
124 6五香打
125 5七金(48)
126 5六香(51)
127 5五角打
128 5七香成(56)
129 同 金(47)
130 2三飛(22)
131 6四角(55)
132 7三金打
133 8四香打
134 8三歩打
135 7三桂成(85)
136 同 銀(72)
137 9四角打
138 7二金(61)
139 7四金打
140 9三金打
141 3五飛(39)
142 6四銀(73)
143 7六角(94)
144 8四金(93)
145 3四飛(35)
146 7四金(84)
147 3二飛成(34)
148 7五金(74)
149 6一銀打
150 7一歩打
151 7七歩打
152 5九歩成(58)
153 8九玉(78)
154 7六金(75)
155 同 歩(77)
156 7八角打
157 投了
まで156手で後手の勝ち
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