迷宮映画館

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ダ・ヴィンチ・コード

2006年05月27日 | た行 外国映画
見て一番最初に思ったことは、「これは大人用の『ハリー・ポッター』だ!」本は売れに売れてる。ほとんどの人がその題名くらいは知っている。映画にすりゃ人が入ることは、作る前からわかっていた。あえて出来レースに臨んだ監督。誰もが知ってる話を映画にすることは逆に難しいことかもしれないが、ヒットが約束されている本を選んだ事になにかいやらしさを感じるのは私だけ?

この本が売れた理由は、題名と表紙の勝利だと思うが、中身はTVでよくやる「アポロは本当は月には行ってなかった」的な内容だ。でもあくまでも小説なのだから、それでなんら構わない。問題は、世の中にはそのまんま鵜呑みにしてしまう人が山のようにいるのだ。

おかしいと思ったことを自分で調べようとしない。人の話をそのまんま受け取る。何ら自分からは行動を起こさず、流れる方についていく人。思索という唯一無比の人間に与えられた特権を無駄にしている人のなんと多い事か。

と、まるで関係のない方向に行ってしまっているが、お話はキリスト教の根源にかかわるミステリー・サスペンスだ。多くの人が解説番組やら本を読んでいると思うので、あえて言うが、イエスの人間性を問うものだ。

以前『パッション』上映のときに、キリスト教について簡単な解説を作ったので、興味のある方はそちらを参照していただきたいが、イエスは実在の人物で紛れもなく人間だ。ただ、まれに見る心の大きい慈愛に満ちた人物であった事は疑う余地もない。その優しさに癒され、彼の説いた心の平安を信じた人々は、イエスこそが苦難に満ちたユダヤ人を救う救世主【キリスト】なのだとした。

いくら弾圧してもイエスをキリストと信じる人々は減らない。増える一方だ。当初は奴隷や女や身分の低い人々のものだった新興宗教は、熱烈な使徒のおかげで、爆発的に広がっていく。いまやローマ帝国の高位層にも信者はいる。ならば弾圧するよりも、帝国の都合のいいように教義を定めて、公認の宗教にしてしまえばいい、とした。イエスの人間性を説いたアリウス派は異端になり、イエスを神の子としたアタナシウス派が正統になる。ここまでは世界史の教科書に書いてあるごくごく当たり前の、誰もが知っているはずのことだ。

ローマ帝国と教会がやってきたことは周知のこと。そのことを全て受け入れ、それでもあえてイエスをキリストと信じる人々の宗教がキリスト教なのだと私は思ってきた。イエスは人間だけど人間じゃない。その大いなる矛盾を信じれるのがキリスト教だ。なので今さらダン・ブラウンががたがた言おうが、イエスには子供がいたんだなんてことを言おうが、教会はゆるぎないはずだ。はなっから教会は都合のいいように作られたものだからだ。

と前置きが長くなったが、1年半ほど前にこの本を読んだときにそう感じた。アナグラムやウンチクなどなかなか興味深く、途中まではうきうきして読んでいたのだが、後半失速した覚えがあった。適当に忘れており、映画鑑賞にはちょうどよかったかもしれない。

長い原作、でも一日のことなのだが、字面を忠実に映像にしようとしている。なのでストーリーをただ役者に語らせているだけで役者の個性が生きていない。本当に忙しい映画なのだ。とんとんと進んでいく展開は、本を読んだ前提で作られているように見える。この辺が「ハリー・ポッターやん」と思ったところなのだが。

まああたしははなっからベタニー目当てで見に行ったので、何ら支障はありませんでしたが、ロン・ハワードさん、もっと野心的な映画を作ってくれ。

なんにしろ、多くの人が映画に興味を持ち、さまざまな事に目をむけ、キリスト教やら、なにやらを考える大いなるきっかけになったことは功罪だ。


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16 コメント

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どうもです (カオリ)
2006-05-28 17:23:44
本を読んだときも、途中で失速した感は私もありました。映画では謎解きを楽しめない(と言うか時間がない?)んで、映画だけ見た人はどうだったんでしょうかね・・・。



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そうそう (sakurai)
2006-05-28 21:59:14
途中までは、本当に面白かったのに、だんだん妙なこじつけめいたものが、鼻についてきました。

映画見ちゃうと謎はわかってしまうし、ミステリー本読む醍醐味がなくなるし、忙しい映画見たというだけで、終わってしまうのでしょうかね~。

先日「天使と悪魔」読了したのですが、こっちの方が、あたしは面白かったです。

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後輩です (カオリ)
2006-05-28 23:44:39
コメントありがとうございました、ご指摘のとおり地元のY大です。

ですので、私は後輩になりますね~。

ただ、美学美術史って、哲学専攻の中の入ってるんですよ。なので、訳分からずデカルトやらニーチェも読まされましたが・・・(笑)。

今後ともよろしくお願いします。
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わーーい (sakurai)
2006-05-29 09:06:30
なんか嬉しい。って単純な私。

私は当然の如く史学科です。日本史専攻なのですが、世界史は仕事についてからはまった口ですね。・・・深いです。

そっか、あの正門くぐると裏門見えちゃうあの校舎に通った訳ですね。決してキャンパスとはいえない学校でしたが、卒業してからさっぱりご無沙汰です。

あたしの時だと、哲学専攻の人って、一風変わった人が多かったのですが、相変わらず?

うちの娘も一応第一志望はそこなのですが、どうかなああ。もし入ったら爺から三代ふすま同窓会になってしまいます・・・。



ベロニカのときもいらっしゃってたのですね。なんかあたしは書けないままでいます。司会の人をちょっとお助けして質問したのですが、あの気持ちは痛いほどわかる。



またなんかの折にどうぞよろしく。
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モナリザって・・・ (しばっちゃん)
2006-05-29 17:34:19
なんで眉毛ナイんだべね?
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なんと (カオリ)
2006-05-29 20:33:07
「ヴェロニカ」にもいらっしゃってたんですか?全然分かりませんでした~。

私は両親もY大なので「ふすま同窓会会報」来てます。しかしなぜか母だけに来ます。数年前、「お前は理事なのか」と母親に言われてびっくり。「勝手に」私の名前が「○○年度卒理事」になっており・・・いや~怖いですねぇ。今は違う方になっているようです。



モンテが忙しくて、いつ「GOAL!」を見に行こうかと・・・(笑)
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眉毛・・・ (sakurai)
2006-05-30 08:14:52
あれ、おしば様に教えたのって世界史だっけ、日本史だっけ?

日本史だと眉毛の話は絶対するんだけど、世界史だっけか・・。

昔から眉毛はない方がメジャーみたいっすね。今もない奴いっぱいいるけど。

なんか〇手部、寂しいよ。



>カオリ様

そうなんす。あれにもいたんす。「イ・ワン、キャスティングの経緯を?」と聞いたのが私です。ばらすと、かなり疲れてて、具合は悪いし・・。前半、ほとんどZZZZZ。なので、あんまり印象残ってないんすよ。でも、後半だけで充分だったような気もしないでもないんですが。



「GOAL!」!!良質のエンタメ作品と言う事で。ああいう映画もたまに見て、感動して、あたしっていい人だと確認しないといけません。かなりやってるでしょうから、ゆっくりどうぞ。そうこうしているうちにワールド・カップ始まってしまう。
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風邪、どうです? (セイ)
2006-05-30 10:35:36
風邪、治りました?いやいやひどい風邪でしたね、お互い。

それでも映画を観たsakuraiさんは、えらいっ!



観ました、この映画。本は未読ですが、TVで特集を昨年からやってましたものね。

確かに忙しい映画でしたねー。謎を解いたかと思うとまた謎から謎。思わせぶりで引っ張ること引っ張ること。

わたしが一番良かったのはシラス役の人。次に良かったのはラストの棺。TVでは、そこまでやらなかったので、やっぱり本未読で良かったのかもです。
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わぉ (sakurai)
2006-05-30 11:22:11
セイさん、ご覧になったのですね。

本未読の人が見ると、どう思うのか知りたかったのですが、セイさんのように理解力のある方は、とんとんとついていけるでしょうに、なんか不親切な映画みたいな気がしませんでしたか。



ふふふ、そのシラス役、ポール・ベタニーちゃん。あたくしめ一押しの役者です。もう脱ぐは、脱ぐは。惜しげもなく脱いでくれます。(何見てるんだ、こら!)

エキセントリックな役やらせたら、最近では右に出る人いませんので、ぜひご高覧を。



悲惨に病人してました。咳は肺の方から出てくるは。今もまだどっかでヒューヒューいってます。妙な季節が悪いのではと思ってますが、だいぶよくなりました。ありがとうございます。

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未読の人は (セイ)
2006-05-31 14:32:42
実は映画を観た直後、色素欠乏のお子さんを持つ、知り合いの敬虔なクリスチャンが思い出されてなりませんでした。あんまり気になってあちこち見たら、シラスがアルピノだってことを後で知ってショックだったんです。映画のフラッシュバックの回想シーンでは読み取れませんでした。

教授と孫娘・シラスとその師匠の、ふたつの物語があったことにもびっくりでしたが、もっとどちらかに力点を置いてもらったほうがよかったかもですね。

テレビではダ・ヴィンチの最後の晩餐とマリアのことを中心にやっていたので、映画もそうかなと思っていたら、テレビではやらなかった最後の棺の場所の謎解きは楽しかったです。

この女性が末裔なんだろうな、とはじめに思ってしまったので、棺くらいにはびっくりさせてもらわなくちゃねー。



シラス役の人に目をつけたsakuraiさん、好きよん。最後に、気管支炎では大変です、お医者に行ってね。

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