迷宮映画館

開店休業状態になっており、誠にすいません。

フィクサー

2008年04月21日 | は行 外国映画
アメリカ最大の法律事務所。ここで働いている弁護士は数百人。さすが、訴訟の国だ!と感心している場合ではない。ありとあらゆる訴訟があるのだ。日本では考えられないようなことまで訴訟になる国だから。

太ったのは某ハンバーガーのせい。・・・そんなん自分のせいに決まってるべと、あたりまえに思うことが、ハンバーガーのせいになってしまうのだ。

絶対に非は認めない。100パー悪くても、腕のいい弁護士のおかげで、覆ることもままにある。世界で一番怖くて、強くて、頼りになって、敵に回したくないところ。それがアメリカの弁護士事務所だ。

その弁護士の一人、マイケル・クレイトン。ただの弁護士ではない。弁護士にも、それぞれ得意分野があって、医療事故とか、大企業相手とか、刑事事件とか、さまざまある。しかし、誰にも出来無さそうな分野を担当する男。それがマイケル。

だれがどの訴訟にぴったりか。どの弁護士が、担当すべきか。それを的確に判断する仕事。あるいは、厄介な事件を、うまくもみ消してくれること。これができる男は、そういない。マイケルに課せられていたのは、そう言った仕事だったのだが、彼には、もう一つ面倒なことが。それはばくち。借金で、首が回らない。

そんなとき、同僚の弁護士が抱えていた巨大製薬会社の訴訟が大詰めを迎えていた。どんなことがあろうと、会社は負けられない。いくら会社側が全面に悪かろうが・・・。

しかし、良心の呵責にかられてしまった同僚弁護士は、原告側についてしまう。すべてを握る彼が、原告側に行ってしまえば、どうなるか?それこそ、風車に立ち向かうドン・キホーテと思われていた彼が、英雄になってしまう。その時、事務所側のとった手段は・・・・。


時間軸をずらして、マイケルがどんな人物かをさりげなく見せて、そして時間を遡り、事件の概要をみせるのだが、その見せ方に強い必要性は感じなかった。もみ消し屋という割には、自分の不始末もうまく消せてなかったし。

アメリカで巨大企業のまずい問題が起きたとき、会社側が悪いことは誰もが知っている。そして、その悪に最強の弁護士がついたなら、結果がどうなるかは容易に想像がついてしまう。それに対して小さな力で、精一杯立ち向かっていったらどうなるか・・・。これが空しいだけの結果に終わってしまったら、それは映画にはならない。現実のことだから。

人間の良心を信じなくなってしまったら、この世は本当に地に堕ちる。いや、もう堕ちてるのかもしれないのだが、そうではないのだという希望を見たかったのかもしれない。

現実は厳しいし、世の中には理不尽なことばかりが起きてる。そんな納得のいかない世の中で、溜飲の下げ方はいろいろとあるが、なんだかストンと落ちなかった。巨大な会社は腐るほどあって、こういう問題は数えきれないほどあって、ほんの氷山の一角を表したにすぎなかったからかもしれない。

いや、ほんの一突きだろうと、大事なことなのだろうが、なぜか空しかった。

原題は、主人公の名前だが、邦題もどっちも、少々微妙。製薬会社側の弁護士の白い女王は、ずいぶんと人間臭かった。悪魔やら、女王やら、男でも女でもない役やら、人間離れした役が多かったのだが、その辺を自ら払拭。弱さがにじみ出ていたのがいい。

うまくいかないしょぼくれた役がいつの間にかぴったりはまっているジョージ・狂兄。眉間のしわがずいぶん似合ってた。

◎◎◎

『フィクサー』

監督・脚本 トニー・ギルロイ
出演 ジョージ・クルーニー トム・ウィルキンソン ティルダ・スウィントン シドニー・ポラック マイケル・オキーフ デニス・オヘア ジュリー・ホワイト


最新の画像もっと見る

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ジョージ・狂兄 (miyu)
2008-04-23 10:32:20
ぴったりな当て字ですね~www
確かにこれはある意味現実的過ぎるかもしれないですね。
映画なりの救いはありましたけど、
それでもザワザワとした感じはしましたものね。
返信する
>miyuさま (sakurai)
2008-04-23 21:40:08
私がつけたのではありませんが、ニコラス・圭司というのもあります。
なんだか、すっきりしませんでしたね。
溜飲をしっかり下げることはできないということでしょうか。
返信する
毛慈~ (cyaz)
2008-04-23 22:31:22
sakuraiさん、こんにちは^^
TB&コメントありがとうございましたm(__)m

狂兄かぁ(笑) なかなかなもんですな^^
>ニコラス・圭司 
毛慈のほうが(爆)

おっと本題からそれてますな(恥)
あのタクシーの中のクルーニーは男の僕もしびれました^^
返信する
>cyazさま (sakurai)
2008-04-25 22:15:39
んーー。それには強い願望が込められているようなネーミングですねえ。
大きなものを背負った、深~い表情は、魅せました。
【ER】のころに比べると、本当にいい役者さんになってきました。
返信する
sakuraiさんへ・・・・。 (mezzotint)
2008-05-07 23:38:13
今晩は
連休はゆっくりされましたか?
私は時々仕事が間に入り、普段と変らずでした。
この作品もようやく鑑賞したような・・・。
クルーニーとソダバーグのコラボは懲りすぎ
な割には今ひとつのような感じがするんですが。
sakuraiさんはどう思われますか?シリアナなんかも
前評判で飛びつき行きましたが。今回と同じような
・・・。おっしゃるとおり、芸達者な方をそろえて
いるのにね。
返信する
>mezzotintさま (sakurai)
2008-05-08 10:01:40
ゆっくりしたのか・・・。
あっという間に終わってしまいました。
うーん、物語は凝ってましたが、やはりこの二人がそろったら、生半可な物語ではすまないと、見る方も期待をするでしょうからね。

『シリアナ』は、ものすごい物語だったとあたしは絶賛の嵐です。
あれよりは話のスケールが小粒でしたがね、こっちは。
返信する
狂兄さんが人気急落中の狂頭にアドバイスしていたっけ (しん)
2008-06-04 01:22:33
私はあのトップガン野郎にして最後のサムライを吐夢狂頭と表記しています。

少々内容とあってなくても客よべそうなタイトルにしましょ・・・という戦略だったのでしょうか
携帯電話の「PRIVATE NUMBER」だか「PRIVATE CALL」だかって表示も「裏仕事専用番号」などと判りやすいにもほどがある意訳がされてました。
そんな堂々と裏仕事する奴いるのかよ・・・と
なんとか「もみ消し屋」の話っぽくしたかったんすかねえ
返信する
>しんさま (sakurai)
2008-06-04 10:59:21
アメリカじゃ、石投げれば弁護士に当たるとか。
嘘ですが、そんだけ弁護士がいるのなら、訴訟もいっぱい起こさないと、食い詰めるでしょうから、訳のわかんない訴訟が多いのもなんとなくうなずけます。
で、たぶん『マイケル・クレイトン』なんていう名前も腐るほどあるんでしょうかねえ。
狂頭!!いろいろとやってくれるので、次は何をしてくれるのか、楽しみになってきてます。
返信する
本年も宜しくお願いいたします (ピロEK)
2009-01-10 12:30:25
ご挨拶が遅くなりましたが…
明けましておめでとうございます。

ジョージ・クルーニーはこの手の少し分かりづらい(?)社会派作品に出演するのが好きみたいですねぇ。
いつも私がお子様なのかと心配になります。

アメリカの弁護士事情は良く分かりませんが…訴訟ありき、道徳は後回しって社会は…ある意味安心できる部分はあるようにも思えますが、楽しそうじゃないナァ。

では、また来させていただきます。今年も宜しくお願いいたします。
返信する
>ピロEKさま (sakurai)
2009-01-10 16:30:49
どもです。
どうぞよろしゅう。

J・クルーニー兄さんは、そういったイメージで最近来てますねえ。
アメリカの法律事情を詳しく知ってるわけでもないのですが、悪いことしたら、素直に悪かったくらいは言って欲しいです。

シリアナは結構真面目にレビュー書きましたので、もしおひまでしたら、のぞいてください。

http://blog.goo.ne.jp/sakura1043_2004/e/47165d66acbbcededc8417cd34727473
返信する

コメントを投稿