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トリスタンとイゾルデ

2006年10月23日 | た行 外国映画
ヨーロッパに伝わる悲恋物語『トリスタンとイゾルデ』を、いまや巨匠となったリドリー・スコットが思い入れたっぷりにプロデューサーとして、映画を世に生み出した。

ローマ帝国が滅び去ったあとのブリテン島。群雄が割拠し、なかなかまとまらない。いろいろな民族がせめぎあってる中、何とか同盟を結んで、国としてまとめようとしていた男がいた。マーク。しかし、アイルランドに攻め込まれ、仲間を失い、自分も右手を失う。その時に助けた少年がトリスタン。成長して立派な青年となり、マークの同盟の実現に大きな力となる。

一方、ブリテン島に影響力を保持したいアイルランドのドナカー王は、最強の部下、モーホルトをブリテン島に派遣して、同盟を阻止しようとする。むくつけき大男のモーホルトは王に妻を所望する。王女の美しきイゾルデ。王にとって娘など、政略結婚の道具にしか考えていない。

多くの奴隷を手に入れ、意気揚揚とアイルランドに帰ろうとするモーホルトに、トリスタンが挑む。戦いの末にモーホルトを葬ると、自分も毒の剣でやられてしまう。葬船で海に流されたトリスタンはアイルランドへ。仮死状態だったトリスタンを発見したイゾルデは彼を必死で助ける。助かったトリスタンとイゾルデは自然に愛し合うようになるが、二人の愛は成就することがない。仇同士の愛・・・。

ということで、美男・美女の王道を行く悲恋物語の誕生。仇同士の結ばれることのない二人にこれでもか、これでもかと苦難が待ち受ける。もしかしてうまく行くのか・・と思うと奈落の底に突き落とされる。ジェームス・フランコのたれ眉と、涙のあふれた目におばさんはやられっぱなしでございます。やけに鍛えたらしいフランコ君。あの細身の顔に妙にバランスのわるいムキムキのアンバランスの身体がまたいいです。

片や王女はケイト・ウィンスレットを思わせるはっきりしたソフィア・マイルズ。これもなかなかのマッチングでした。時代の描き方も中世イギリスにやけに固執しているケビン・レイノルズだけあって、おどろおどろしい雰囲気が上手くかもし出されています。

BUT!ただの悲恋物語として見るには何の支障もありませんが、下手に歴史の知識があると、どうも引っかかることが多すぎて、鑑賞の邪魔をしてしまいます。ローマ帝国去った後のブリテン島はどんな様子だったのか、よく分かっておりませんが、分裂していたブリテン島の時代というのはアングロ・サクソン七王国といわれた頃。11世紀になるとノルマン人が攻め込んできて、ブリテン島は征服され、統一いたします。アイルランドを悪の権化のように描いておりますが、ヨーロッパ中に居住していたケルト人を西の果て、アイルランドに追いやっておきながら、あの描き方はないでしょう。

騎士が騎士として活躍するのは、封建社会が成立して、人々の分業が成り立ち、いわゆる中世という時代になってから。あの暗黒の時代に騎士道もへったくれもないでしょう。おまけにイゾルデ姫、普通に本を読んでましたが、本の存在はかなりの貴重品。あの本はどう見ても印刷したような雰囲気。オイオイオイ、と突っ込みたくなるコトが多くて、素直に見れません。

なので、歴史的な知識は何にもいりません。あるほうが邪魔になります。頭をすかーーんとまッさらにして美しい悲恋物語に浸りましょう。ルーファス・シーウェル・・・出てきた瞬間から「キターー」と思ったのですが・・・・いい意味で期待はずれ。

『トリスタンとイゾルデ』
監督 ケヴィン・レイノルズ
出演 ジェームズ・フランコ ソフィア・マイルズ ルーファス・シーウェル


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19 コメント

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TB・コメントどうもです! (mezzotint)
2006-10-26 22:05:07
sakuraiさん

TB・コメントありがとうございました

いやあ~~私なんかすっかり世界史なんて

忘れていて・・・駄目ですね

ハハハ覚えているときっと

映画がもっと楽しく観れたでしょう。
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どうもです。 (sakurai)
2006-10-27 11:23:23
いやいや、この映画に限っては知識が邪魔をします。

「あぁ、中世ヨーロッパの風景がきれい~。フランコ君、すてき!」と純粋に見た方がいいと思われます。

あんとき、こうだ!とつっこむ見方をしている自分が悲しくなりました。
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歴史が。。 (Cartouche)
2006-10-28 10:13:59
はじめまして。Cartoucheです。私も歴史的背景が気になって仕方ありませんでした。そうですよね。アイルランドは悪く描かれすぎ。。なるほど。騎士が出てくるのは後のことなのですね。元々私はオペラを見ているので、話がかなり違いこれも混乱の元でした。ほんとそういうことを考えずただの恋愛ものをして見た方が良さそうですね。
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>Cartouche様 (sakurai)
2006-10-30 15:58:00
ありがとうございます。

むくつけき大男といい、悪の権化の王様といい、あまりに悪く描きすぎで、なんか恨みでもあんのかな、と思うほどでした。

このあと、イギリスはアイルランドを徹底的にやっつけるんですけどね~。

もともとの話があって、自己流の解釈の「トロイ」ぽい印象を受けました。
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トラバさせていただきました (みん)
2006-11-02 02:32:10
わたしもなまじ元ネタもなにも知らない方が、素直に楽しめる映画だと思いました。
ツッコミながらみるのもそれはそれで楽しいですけど(^^;)

>自己流の解釈の「トロイ」ぽい印象を受けました。
すごく同意です!!
「トロイ」もツッコミどころ多くて…。ただしトロイア戦争は思い入れが強いため見たときは楽しむよりげんなりでしたけど(笑)
今回は元々のそこまでの思い入れがなかったので、楽です~

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どうもです (sakurai)
2006-11-02 20:18:20
元ネタも、時代背景も知らないで、純粋に悲恋物語として見た方がずっと楽しめる映画も珍しいと思います。
いやーー。リドリー&ケビン・レイノルズにやられました。
「トロイ」も・・・・という突っ込み満載でしたからね。
あれはあれで楽しましたが。
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こんにちは (はらやん)
2006-11-03 13:07:34
sakuraiさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
悲恋ものとして素直に見ているほうがいいのかもしれませんね。
そういう見方だとけっこうひたれました。

ジェームズ・フランコ君は思いのほかよかったです。
彼のうるうる目には女性の方々はやられた方も多いのではないでしょうか。
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突っ込みどころも (sakurai)
2006-11-04 13:49:37
満載で、いろんな意味で面白い映画でしたが、ジェームス君に免じて、すべてチャラにしたいかなっと。
ジェームス君、鍛えすぎてて、顔とのバランスが取れてなかったあたりも愛嬌ということで。
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トラバ・コメントありがとうございます (ひらりん)
2006-11-10 23:50:07
ヨーロッパの歴史は全然詳しくないので、
普通に見てました。
でも、ひらりん的イメージからすると、
アイルランドも、イギリスに対して強い時期があったんだなぁ・・・
という印象を持ちました。
なんか、いつの時代もイギリスにいじめられてそうなイメージのアイルランド。
近々公開の映画でも、そんなテーマの作品がありました。
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どうしても (カオリ)
2006-11-11 01:29:00
アイルランドの描かれ方は、現状からさすればう~ん?となってしまいますね。この映画、イギリス映画化と思ったらアメリカ映画だったんだ、と気付いたときに、なんだか頷ける気がします。ちょっとナイーブな問題ですよねえ。

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