17歳

オゾンの興味は今は10代、なんでしょうか。「危険なプロット」に続いて、今度は17歳の少女・・いや、女性・・うーん難しいとこがまたこの映画のテーマ、かな？

アンリ4世高校というのが、本当にあるのかどうかは知りませんが、名門だっていうことには違い無い。そこに通う17歳のイザベルのなんとも奔放で危うい日々を見せます。

・・・・・ちなみに、アンリ4世っていうのは、ブルボン王朝の始まりの王様。長年続いた宗教戦争を終わらせた方でございます。かの太陽王ルイ14世のおじいちゃんであらせられます。・・・・

フランス人らしくバカンスに行ったと思えば、のんびり過ごして、さらっと簡単に男の子と寝ちゃう、と。。。これが夏。秋になって、学校に通う傍ら、携帯片手に、せっせと男たちとコンタクトを取って、せっせと金儲け。なんとか、年をごまかそうとスーツなんかを着込んでますが、少女の面影を消すことはちと無理。

やさしい思いやりにあふれたおっさんもいれば、反吐出そうなとんでもな親父もいろいろ取り揃えております。なにこれ？少女の売春物語？いつもながら淡々と進むなあ～と思いきや、突然の転！

綺麗に起承転結になってます。もちろん、褒められたことをしてるわけじゃないのですが、もし見つかったとして、「やめろ！」と言われても、そう簡単にやめるはずがない。なにか決定的な、大きな衝撃でもない限り、彼女を根本から変えることは難しいと思いますが、それが起きちゃう。ちょっと痛すぎる代償だったかもしれませんが、ものごとをしっかり考えるには、いいきっかけになったかもです、ということが起きる。神様は見てますよ～です。

予告で何度も見たランブリングの「17歳。美しい年・・・」という一言が強烈に残ってます。本編での印象的な場面での一言。心から、本当に心から美しいと語ります。その一言がこの映画のすべてでしょう。17歳という人生で一番甘美で美しく、危うく、そして強い時。その年齢を表したかったのかなあ。

イザベルを演じたマリーヌ・ヴァクトさんは、モデルで実際は20歳過ぎだそうですが、少女と大人の境目の微妙な感じがとってもうまーく表現されておりました。少女だったり、女性だったり。オゾンのすごいとこは、配役でしょうね。いつもながら見事に訛りすぎる役者さんをはめちゃう。この人だけは、誰にも譲れないランブリングは不動ですが、いつもながら新鮮な気分を味あわせていただきました。

◎◎◎○●

「17歳」

監督　フランソワ・オゾン
出演　マリーヌ・バクト　ジェラルディン・ペラス　フレデリック・ピエロ　ファンタン・ラバ　ヨハン・レイセン