迷宮映画館

開店休業状態になっており、誠にすいません。

TAJOMARU

2009年09月17日 | た行 日本映画
管領・畠山家とくれば室町時代の名門である。その跡継ぎである長男の信綱と、次男の直光。仲のいい兄弟に、幼馴染の大納言家の阿古姫が、いつも一緒であった。

そこに従者として加わったのが、屋敷に盗みに入った子ねずみ一匹。打ちのめされるところを、直光に助けられ、従者となり、桜丸という名をもらう。畠山家は安泰・・・と思っていたところに、軋みが生じる。

将軍。義政の横槍が入る。大納言家の金塊がほしい義政によって、直光と阿古の婚儀が暗礁に乗り上げる。阿古と結婚したものが、畠山家の正式な跡継ぎとされたからだ。跡継ぎは長男のはず。しかし、阿古と婚約しているのは弟の直光。

これは力で阿古を手に入れるしかないと思った信綱は、無理やり阿古を奪おうとするが、直光が阻む。仲のよかった兄弟は、将軍の気まぐれによって翻弄される。

阿古と逃げる直光だったが、その途上、盗賊に出会う。都にその名をとどろかせている多襄丸だった。二人を襲って、阿古を手に入れようとした多襄丸だったが、阿古はその場を逃げ、多襄丸は、直光に殺されてしまう。



そして、多襄丸に、名を受け継げ・・・と託された直光は、多襄丸となって、部下を従える盗賊の頭目になっていた。

ある日、聞こえてきた噂。畠山家の長男・信綱は急死し、その後を弟の直光が継いでいるという。おかしい。直光はこの私、ここにいるはずなのに、一体?畠山家に乗り込んだ直光は、そこで陰謀に満ちた謀略にはまったことに愕然とする。

多襄丸として捕らえられた直光は、所司代の前に引き出されるが、果たして真実は暴かれるのか・・・・。


と、何にも知らずに、TAJOMARUって、羅生門だったよなあと思いながら鑑賞と相成りましたが、なんと『羅生門』そのものではございませんか!!あの傑作を、又大胆にアレンジ!!『羅生門』自体が、いくつものパターンを生み出す一種のパラレルワールドで、これまた別の視点の愛の物語になっていると言う!!!

いやーー、面白い。うまい本です。何の間違いもなかった子供の世界に、大人のわがままが加わって間違ったベクトルに行ってしまった最初の間違い。人間の欲は限りがないが、その欲に身を滅ぼしてしまうか、それとも、それに勝る何が勝つか・・・。その辺のせめぎあいのあらわし方も見事なら、やっぱ小栗君でしたかね。

いや、おばさん、それほど小栗君のファンでもなんでもないのですが、短ランきて、ボンタンはいて、リーゼントしてけんか三昧している姿をマジにかっこえええ!と思った口ですから、こういう吼える小栗君は、うーん、いい!いいです。

話の展開に無理もなければ無駄もない。前の日に、やたら無駄なスローの多用と、無駄なテンションのイタイ映画を見たばっかりだったもんで、ますますこのスピーディーな展開と、たぎる熱さに見ほれてしまいました。

すーっと、自然に流れ落ちる涙がいいですね、小栗君。

配役も思いもつかないような人を配しながら、ぴたっと来るとこがいい。ショーケンの将軍は、鬼気迫ってましたな。阿古姫もお似合いでした。と、桜丸の非道ぶりがいい。

新たな『羅生門』でしたが、室町時代というのは、結構何でもありの世の中で、私、時代的にはとっても好きなところなのです。応仁の乱を絡ませて、下克上の世に至る展開もなくもないし、うまい!!



つうことで、大満足の一本。『クローズZERO』の面々の活躍も目にうれしく、室町時代版クローズZEROっすかね。多襄丸のZEROからの出発です。
もっかい見ようかしら・・・。

◎◎◎◎○

『TAJOMARU』

監督 中野裕之
出演 小栗旬 柴本幸 田中圭 やべきょうすけ 池内博之 松方弘樹 本田博太郎 近藤正臣 萩原健一


最新の画像もっと見る

10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
クローズ (miyu)
2009-09-17 15:37:46
ZEROとかは観てなくってあたしはやっぱり「X-MEN ZERO」派なのですが、
それでもこれは面白かったです。
こうゆうちょっとひねりのあるお話が好きなのですが、
小栗くんも確かに良かったのかもしれませんね。
返信する
うむぅ (KLY)
2009-09-17 19:59:52
ショーケンの切れまくった怪演にやられました。ヤバイですねぇあのお方は。小栗君は「クローズ」と同じなんですが、彼の場合、演技の外側より、内に込める気迫で勝負みたいなところがあるんで、やっぱり伝わるんですよねぇ。全体として新しいタイプの時代劇でしたが、若い世代がメインを張るようになってきて、こういうタイプが増えていくのかなと。一見正統派時代劇でも宮崎あおいちゃんが篤姫やる時代ですし。
返信する
えっ?? (mariyon)
2009-09-18 00:58:42
こっちはバラッド同様、パスって思ってたんですが・・・・。
sakuraiさんがそうおっしゃるなら、ちょっと心動きますね~~。
でも、まあ、「カムイ」もあるので、保留でしょうか?
返信する
>miyuさま (sakurai)
2009-09-18 22:14:52
クローズZEROの室町時代版!と開き直って作ってる感じが、とってもはまりました。
好きですわ、こういうの。
評価はかなり別れてるようですが。
あたし、なんだかんだ言っても、やっぱ好きなのはチャンバラなんだなあと思いますわ。
戦いのシーンのない戦国時代を見たばっかだったもんで、うっ憤ばらしにもよかった。
返信する
>KLYさま (sakurai)
2009-09-18 22:41:17
そうそう、小栗君の発するオーラとでもいいましょうか、あのエネルギーは、見てるとおばさん!!10は若くなります。
だからと言って完全に陽ではなく、陰の力強さみたいなもんを感じます。
ほとんど中身を知らずに行ったのが功を奏しましたが、あたしは完全にツボでした。
ショーケンも。
返信する
>mariyonさま (sakurai)
2009-09-18 22:56:06
いや、期待を持って行くと、はずすかも。
あたし、何にも知らなかったもんで、ハマってしまいました。
完全に「クローズZERO]でしたもん。
カラスが見れれば、これもOK・・・だと思いますわ。
「カムイ」は、まずこの連休でマンガを読みなおそうかと思ってます。
「カムイ伝」は、あたしの人生変えたマンガですが、外伝はまあ普通だから。
返信する
こんにちは (はらやん)
2009-09-22 17:25:18
sakuraiさん、こんにちは!

>室町時代版クローズZERO
まさにそんな感じですねー。
プロデューサーも同じですし。
小栗くんは、テクニックというよりも役に入り込んで感情が爆発するあの感じというのが素晴らしいですよね。
彼は今度監督もするんですよねー。
どんな作品になるんでしょう。
返信する
>はらやんさま (sakurai)
2009-09-22 19:32:42
結構スカッとしました。
作ってる方は、確信犯的に「クローズZERO」風味で作ってたと思いましたが、あたしにはいい方に作用したところです。
あの想いで演じることができる、なかなか稀有な役者さんだと思いますわ。
超ハンサム!!ってわけじゃないと思うんですが、気持ちが熱いハンサムなんすね。
返信する
こんにちは~♪ (由香)
2009-09-25 09:41:40
sakuraiさんは楽しまれたようですね~
私は全く受け付けませんでした、これ(泣)
カムイと並んで(涙)今年のワーストですぅ~

とにかくお話がダメでした~嫌な話だなぁ~って思って。俳優さんたちの演技も受け付けなかったなぁ~
小栗君は結構好きなんですが(イケメン好きなので・笑)、TAJOMARUはカッコ悪く見えちゃった。
返信する
>由香さま (sakurai)
2009-09-25 15:10:35
「カムイ」もだめでしたか。
あたし、そっちもそんなにひどい評価じゃないです。
だから映画は面白いですね。

もともといやな話で、「羅生門」なんか、一粒の救いもないですが、こういう流れもあるのか!と結構感心しました。
さすがの脚本だったと思います。
返信する

コメントを投稿