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飛べ!ダコタ

2014年01月16日 | た行 日本映画
さて、2014年一発目は今作と相成りました。予告も一度も拝見せず、中身も何にも知らずに、ただ飛行機が飛ぶんだろうなあ~くらいの気持ちで行ったところが、これが意外にずどんとやられてしまいました。アナログの強さ!年末に「永遠の0」という、ハイテクを駆使して、戦争を描きだした秀作もあれば、文字通り人の力で、どっこいしょ!と作った珠玉の作品でした。見てよかった~。

なによりかにより、これが実際に起こった話だ!と言うのにびっくり。こんなことがあったんだ。いやいや、埋もれさせておくには、もったいない話です。戦争が終わって半年。まだまだ戦争の傷跡だらけだったころに、空から突然ユニオン・ジャックの飛行機がやってきたら、そりゃビビる。おまけにそこは佐渡島。鬼畜米英のまさにその人たち。

島民はそれこそ鬼でも見るように彼らを覗き見るが、上海から東京に向かう途中で、エンジントラブルで不時着をした領事官たちだった。当然、言葉は通じない。まだ戦地から帰ってこない家族もいる。もちろん戦争で息子を亡くした母もいる。怪我を負って、志半ばで勝ってきたものもいる。

それはイギリス側も同じで、ちょっと前まで兵士として対峙していたもの、家族を失ったもの。それぞれが、さまざまな思惑を抱いての邂逅となった。

そこは同じ人間。困っている人がいたら助ける!助けなければならない!波が来たら人力で飛行機を動かす。滑走路作らねばならないとなったら、村民総出で石を運ぶ。黙々と、ただ困ってる人のために。手間賃が出るわけでもない。この間まで敵味方と分かれて戦っていた相手のために、寒風吹きすさぶ海岸に、石を敷き詰めて行く。。。。

わーーーー、なんでしょう。何とも言えない人情って言うか、人と人との触れ合いっていうか、温情とでも申しましょうか、言葉を超え、人種を超え、敵味方の関係を超えて、助け合って作り上げて行ったもの。これぞ、人間の本当に素晴らしいとこです。それも実話であるということに、頭が下がりました。こういうのをいい話と言うわずに、なんという。

お見それしました。これは語り継がなくてはならないでしょう。実際に『ダコタ』の修理を行った整備士の息子さんが佐渡を訪れ、父が世話になったことをどうしても伝えたかったということから、この話が広がり、映画化となったそうな。いや、ほんとにいいもの見せていただきました。

東京乾電池の皆さまの味わい深い演技と言い、なんともアナログな匂いがプンプンとするのですが、これもまたいいです。戦争を背負ってる若い人たちの葛藤と挫折と未来への歩みの挟まり具合もちょうどよかったと思います。こういう映画も大事だわよ。「蛍の光」に思わず泣けてました。

◎◎◎○●

「飛べ!ダコタ」

監督 油谷誠至
出演 比嘉愛未 窪田正孝 柄本明 ベンガル 綾田俊樹


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2 コメント

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Unknown (ふじき78)
2014-01-19 00:27:54
こんちは。

日本人はお人好しだよなあと思う(それは全然嫌じゃない)。お人好しはもっと褒められていいでしょう。

ネットで韓国人がNYのマクドナルドに朝から晩までいずっぱりで店を困らせてるって記事を読んで、隣国が度を越して自己中だからなあと嘆息したりもします。
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>ふじき78さま (sakurai)
2014-01-23 18:58:05
いい人と、人がいいでは随分とニュアンスが違いますが、どっちもいいですよね。
人がいいも好きです。

やっぱ、もまれて生きてきた民族ですから、自己中にならなんとやってけないってのもわかるんですがね。
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