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第266回 大阪弁講座−31 「ありがとう」「よして」

2018-05-04 | エッセイ

 第31弾をお届けします。

<ありがとう>

 何ぃ、「ありがとう」のどこが大阪弁やねん!「おおきに」と間違えてへんか?とツッコミが入りそうですね。現に、こんな暖簾を出してる店もあるくらい。


 何の変哲もない感謝の言葉ですが、関西、特に京都人あたりに、「ことあらたまって」これを使われると、やっかいな事が多いんですよ。

 「なあ、今度おいしい店見つけてんけど、行かへんか?」
 「ありがとう」
 「礼はええから。行くの?行かへんの?」

 誘ってくれたことに、取りあえずのマナーとして、お礼の「言葉」は返すけど、「ありがた迷惑もええとこ。好かんタコから誘われて、ちっとも嬉しないわ。あえて(堅苦しい)共通語で、他人行儀なお礼の言葉を返してるのが分からんヤツとは行きとうないわ」という本音が隠されてたりする(こともある)から、実に手強い「お礼の言葉」

 やっぱり便利なんでしょうね。特に、女性の方々がご愛用のようで・・・・
 広く関西弁までカバーしてる私なんかでも、(相手が女性なんかだと特に)ホンネを確認しなければならないことが(昔は、ごく稀に)あって、ホンマ、めんどくさい、というか、性質(たち)が悪いモノ言いやなと、なぜか遠くを見つめる目になって、思います。

<よして(よせて)>

 共通語で「よして」というと、「やめて」と言う意味です。「冗談は「よして」」という具合。

 大阪でも、そういう使い方はありますが、特に、子供の世界で使われるのは、「(遊びの仲間なんかに)入れてほしい、加えてほしい」という意思表示のケース。
 「なんか面白そうな遊びやん。ウチも「よして」(「よせて」とも)」
 「ええよ、アンタは、きのう、ウチらにお菓子くれたから、「よせたげる」(よせてあげる、が短縮形でこうなる)」
 大阪の子は、しっかりしてて、ただではなかなか遊んでくれまへんで。恩きせがましく、次への営業トークを忘れない。こんなかわいいイラストを見つけました。



 考えてみたら、不思議な言い方ですけど、「身を「寄せて」、仲間に加わる」、そんなとこから来てるのかも知れません。

 同じような状況で、「混(ま)ぜて」という表現もよく使います。モノとモノを一緒にする、という意味を拡張して、ヒトとヒトを混ぜるのに使うのが大阪的。

 さて、オトナの世界でも、使えなくはない。
 「なんや、みんなで、飲みに行く相談かぁ。ワイも「混ぜたってぇな」(仲間に入れてやってくださいよぉ)」
 「ほな、二次会は、アンタ持ちで」
 「え~っ、そんなアホな」

 オトナが使うと、何となく卑屈感が漂う。言われた方も、結構、イヤミの一つ、二つ飛ばして、シビアに対応するのが、大阪的お約束。

 ちなみに、"Count me in !(カウント・ミー・イン)" という英語の表現があります。「私を(参加する)数のうちに入れて!」というわけで、「よせて~」「まぜて~」にぴったり。と、英語弁講座も兼ねました。


 いかがでしたか?次回をお楽しみに。

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