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第333回 大阪弁講座-37 「まあ」ほか

2019-08-23 | エッセイ

 「333回かぁ、7の並びやったらフィーバーやのに」そんな大阪のオッちゃんの声が聞こえてきそうですが、大阪弁講座の第37弾をお届けします。

<まあ>
 大阪に限らず、話の中に、やたらと「まあ」を入れる、というか、入ってしまう人がいます。
 
 「趣味ですか?まあ、そうですねぇ~、まあ、もともと無趣味なほうでしたから、まあ、とりたてて言うほどのものは、まあ、ないんですけど、そうですねぇ、まあ、近所をぶらぶら散歩したりとか、まあ・・」
 その人なりのしゃべりのリズムになってるんでしょうけど、気にしだすと、結構、気になるものです。

 大阪にも、「まあ」この手の人はいるわけですが、意識的にというか、確信犯的に使うのが、大阪人のような気がします。

 ひとつは、ケンカとか、揉め事の仲裁で使うケース。
 「まあ、あんたの言い分も分かるけど、相手さんも、まあ、あそこまで謝ってはるわけや。そやから、ここはひとつ、オトナの解決で、と堅苦しい言葉使うけど、まあ、ここらあたりで、手ぇ打ったらどうかと、まあ、思うんやけど・・・」

 いきり立ってる双方を宥(なだ)め、落ち着かせるための一種の間合いとして、使ってるケースで、なかなか巧妙。ちなみに、こちらは、古代エジプトのケンカ仲裁の神「マーマ・ソノヘンニ・シトキーナ」だというんですが・・・真偽のほどは保証できません。


 もうひとつは、お詫び、言い訳の「まあ」
 「なんと申しましても、こちらの手落ちでっさかい(ですので)、一度くらいお願いにあがっただけでは、まあ、済まんやろうと思てます。このあとのこともありますよってに(ので)、今度のことは、まあ、ナニにしてもろうて、まあ、これに懲(こ)りんと、まあ、よろしゅうお願いいたします。」
 こんな感じでしょうか。のらりくらりと言い逃れするのに便利そう。

 さて、大阪独特のニュアンスで使われる「まあ」です。

 「あいつ、ちょっと抜けとうから、なんべんやってみても「まあ」アカンで」
 「今頃出かけても、「まあ」間に合わんやろ」

 共通語のニュアンスとしては、「たぶん」とか、確率は「五分五分」と、受け取る人が多そうです。
 でも、大阪で、否定的な言葉の前に置かれると、「まちがいなく」アカン、「とうてい」間に合わない、などと、ダメな度合いが、極めて高くなるのが普通。

 「まあ、世の中、何が起こる分からんから、絶対とは言わんけど」という言葉が、隠されてるからかなと、まあ、考えたりします。

<「なおす」と「ほかす」>
 大阪弁としては、割とポピュラーな話題かもしれませんが、軽く、ご紹介しようと思います。
「なおす」は共通語では、「直す」、つまり、ものを修理、修繕すること。言葉が同じだけに間違いやすいんですが、大阪では、「片付ける」ことを意味します。「元の状態にする」のと「元の場所へ移動させる」という意味では、根っこがつながってるんじゃないでしょうか。
 「それ、どっか、眼ぇにつかんとこにでも、「なおし」といて」といった具合。

 「ほかす」も関西以外の人の誤解を呼ぶ表現ですが、「捨てる」の意。
「それ「ほかし」といて」といわれた東京人が、「保管しておいて」と勘違いして大事にとっておいたところ、「何を大事に持ってるんや、捨てといたらええねん」と言われた、という定番の笑い話を思い出しました。

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。