大阪弁講座の第32弾をお届けします。
<よそはよそ>
「よそ」は漢字で書くと「他所」か「余所」(たぶん)。「ほかの場所、組織、家庭」なんかのことですが、果たして、生粋の大阪弁か、ということになると、いささか自信がありません。「よそもん」なんて言い方は、全国的に通用しますから。
ところが、「よそはよそ」という言い方になると、これはもう「大阪的」としかいいようがありません。
ビジネスの現場なんかだと、「「よそはよそ」で、いろんなやり方やってるけど、マネしてもしょうがないやろ。ウチはウチで、もっとオリジナリティ重視で行くで」
いかにもポジティブな姿勢で、これはこれで、関西商人のひとつの典型。
「「よそはよそ」のやり方で、儲けたらエエねん。ウチはウチで、コツコツ行くしかないやろ」と、いささか自嘲的、捨て鉢的な使われ方もしたりします。
ビジネス現場での用例を考えると、どうしても「ウチはウチ」とセットになります。
さて、家庭で、この表現が使われると、ほぼ「ゼイタクはアカン」という宣言です。
「なあ、ファミコン買(こ)うてぇな。皆んな持ってるで」「「よそはよそ」や。そんなんばっかりやってたら、アタマが悪うなってな、あんたのおトウチャンみたいになってまうで」最初はこんなんでしたかね。
「なんでウチのテレビだけ白黒なん?まわりの家、皆んなカラーやで」「「よそはよそ」白黒もカラーもやってる番組は一緒やろ?タイガースのユニフォームなんか、白と黒の縦縞やから、白黒で十分やんか・・・」
用例の時代背景はいささか古いですが、理屈にならん理屈で、子供の要求を蹴飛ばすのも、大阪のオッチャンの得意技。
<ガッコ頭>
「学校頭」を「ガッコ頭」と言い慣わすのが大阪流。
教えられたことを暗記したり、試験でええ点を取ったりと、学校でだけ通用する要領の良さ、頭の良さを持った連中ーガリ勉とか受験秀才とかいう言葉を思いつきますーに対して、さげすみ半分、やっかみ半分で使う感じ。
「あいつ?ガッコ頭はエエかもしらんけど。ジコチューで、威張りくさって(やがって)、ごっつ、性格悪いわ。政治家か役人にでもなるつもりやろか?」
<けつかる>
相手の失礼な言動とか、生意気な態度をとがめる時、共通語だと、例えば「何言いって「やがる」」となります。ちゃきちゃきの江戸っ子だと「てやんでぇ」ですかね。
大阪弁の場合、「やがる」の部分が「けつかる」となって、「何言って「けつかる」」と言う具合。ただし、一筋縄でいかないのが大阪弁。いろいろバリエーションがあります。
「言う」よりキツい「ぬかす」を使って、「何ぬかしてけつかる」、その短縮形で、「なぬかしてけっかる」。このあたりは、ネイティブでも舌を噛みそう。
「する」より、更にキツい「さらす」を使う手もある。
「何さらしてけっかんじゃ、ワレ(おまえ)。一発いてこましたろか(お見舞いしたろか)」お~コワ。用法、容量を守って、正しくお使いください。
いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。