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第264回 苦痛の講演会

2018-04-20 | エッセイ

 以前、「イラっとするイベント」(第232回)で、ご紹介した会のイベントに、性懲りもなく、参加しています(いろいろネタが拾えたりしますので・・・)。

 会の性格上、講演会が多いのですが、なんとかしてくれ~、と苦痛に感じるのがほとんどです。どうしてそうなんだろうと、最近の講演会を例に、私なりに考えました。

 講演テーマは、日本の山々を移動しながら、狩猟生活に明け暮れる「マタギ」と呼ばれる人々の生活ぶりと文化です。矢口高雄さんの漫画で、言葉だけは知っていました。


 これらの人々と親しく交流している研究者から、直接、話を聞ける機会はそうないので、それなりに楽しみにしていたのですが・・・・

 まず残念だったのは、声が聞き取りにくいこと。お年のせいで歯切れが悪いのは、やむを得ないとしても、背中を丸めて、マイクに口を近づけすぎてしゃべるから、くぐもった声になります。
 内容第一とはいいながら、講演と銘打ってるんですからねぇ。聞きとれてナンボ。講演者にもプロ並みでなくても、マイクの使い方、発声にも気を配って欲しいと、今回に限らず、いつも感じます。

 それ以上に、残念だったのは、スライドの使い方。

 今どきの講演会は、パソコンのプレゼン用アプリで作り込んだスライドを使うのが常識になってます。「うまく、効果的に」使えば、これほど便利なものはありません。
 くどくどした説明より、1枚の画像(ビジュアル)の方が、はるかにパワーを発揮し、リアルに理解できます。

 でも、スライドって、本来、補助手段のはず。聞き手の立場になった時、1時間なりの講演では、話の筋道を見失いがちです。そうならないために、要所要所に立てる案内板、標識みたいなものでいいんじゃないでしょうか。

 これから話す項目とかキーワードをさっと示すだけですから、1枚のスライドに、理想は1項目、せいぜい2~3項目というのが適正ですね。

 だけど、どういうわけか、講演者の皆さんって、ほぼ例外なく、1枚のスライドにあれもこれもと詰め込むんですね。「講演」会なのに、まるで「スライド鑑賞」会。

 で、、今回のスライドも、例のごとく文章がびっしりで、まるで教科書。最前列でもロクに見えません。しかも、それをほぼ読み上げる形で、ノタノタと講演が進行していきます。「見にくい」(というか、ほぼ見えない)スライドを、一応見るのと、「聞きとりにくい」話を聞くのとで二重苦。

 とまあ、文句ばっかり言ってても仕方がありませんので、僭越ながら、私ならこうするけど、というひとつの案をお示ししようと思います。

 講演会の中で語られた興味深い話題のひとつが、熊とマタギの命をかけた駆け引きです。

 で、私が用意するのは、スライドの真ん中に、ど~んと「熊とマタギの知恵比べ」とだけ。

 いかがですか?ちょっと身を乗り出したくなりませんか。獰猛なだけと思われてる熊が、意外と知恵が働くのだ、というあたりを、前フリにすれば「つかみ」はオッケー(のはず)。
 その上で、具体的な事例に入ります。

 最初の事例を紹介するスライドには、スターウォーズのノリで、「エピソード1 バックステップする熊」とだけ。

 「熊が、バックステップ????どういうことかな」と思わせておいて、更に身を乗り出させようという魂胆です。
 
 なんのことはない。熊があるところから、後ろ向きに歩いて、自分の足跡が途中で立ち消えたように見せかけた、というんです。マタギも騙されかけたというんですから、なかなかの知恵者です。

 身振り、手振りを交えて、あくまで「しゃべり」のワザで勝負したいところですねぇ(くどいようですけど、「講演」会ですから)。「次は、どんなエピソードかな」と、聴衆の期待も煽(あお)りながら、エピソード2ヘ・・・・と、まあ、素人の勝手なアイディアですけど・・・・

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。