第156回に続く「奇人列伝」の第2弾になります(文末に前回記事へのリンクを貼っています)。
これまでと同じく、 「万国奇人博覧館」(J・C・カリエール/G・ベシュテル 守能信次訳 ちくま文庫)から、ユニークな奇人、奇行のエピソードを選りすぐってお届けします。こちらの本です。
<変なクラブ>
17世紀末、ロンドンにつくられた「沈黙クラブ」の会員は、決して口を開かないこと、少なくとも話すためには口を開かないことを誓いあった。会長は、手話でコミュニケーションをとることがあったが、会の精神に反するこのやりかたは評判がよくなかったそうな。コミュニケーションを拒否する人たちが集まって、一体、何を、どうしようというのでしょう?摩訶不思議なクラブ。
18世紀の終わり頃、パリとベルリンに、「自殺クラブ」があった。会則によると、会員は自殺の義務を負い、年度毎の自殺候補者は、選挙で選んだ。ベルリンの支部のほうが長く存続したが、1819年、最後の会員が自殺して、会は自然消滅した。会の趣旨からすれば、正しい結末ですが・・
<普遍的言語>
1867年、アルドリック・コーモンなる人物が、「人類の普遍的言語生活」なる本を発表した。ここには、8カ国語で書かれた110の文章が載っていて、全人類は、その文章を指し示すことで、意思を通じ合えるというのである。それにしても、110の例文しかないというのが、いかにもショボい。例文の一部だけでも知りたいとこだが、残念ながら、そこまでは書いてなかった。
<遺伝>
ドイツの農民イグナーツ・ロールは、飼っていた七面鳥すべての頭にターバンを巻いた。こうすればいずれターバンを巻いた七面鳥が生まれるものと信じて。もちろんその期待は裏切られたが、ほのぼのしたいい話だと思う。
ちなみに、4月の句会(兼題:鳥)に投句した<ターバンを巻いてる春の七面鳥>は、このエピソードにインスパイアされたもの。残念ながら、0点でしたけど・・・
<数奇な死>
プラハに住むヴィエラ・チェルマークという女性は、夫の浮気を知って3階から飛び降りた。ちょうどそこへ夫が帰宅。彼は、妻の下敷きとなって死んだ。
<お守り>
ルイゼット・トルトン夫人は、夫が10年前、臨終の床でくれたお守りを、大切に、文字通り肌身離さず持ち続けてきた。10年経って、夫人はお守りの中味が知りたくなって、中を開いてみた。彼女が見たもの、それは、なんと、雷管を装填した手榴弾だった。お~こわ。
<元の鞘(さや)>
1975年、ロンドンで離婚して数ヶ月になるウォルター・デイヴィスが新しい結婚相手を求めて、結婚相談所を訪れた。同じ相談所には、別れた妻も登録していて、コンピュータが選んだ相手はその彼女だった。従順な二人はまた結婚した。めでたし、めでたし?
いかがでしたか?前回記事へのリンクは、<第156回>です。いずれ、エピソードが集まれば、続編をお届けする予定です。お楽しみに。