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第174回 アメリカのニッチなネット商法

2016-07-15 | エッセイ

 狭い日本でも、ネットショッピングが全盛。私も、中古の本を中心に、割と利用しているクチ。確かに便利には違いない。

 国土が広いアメリカでは、もっと盛んですが、日本ではあまり馴染みのない仕組みとして、プライス・マッチ・ギャランティーというのがあります。大手の業者のほとんどが採用している一種の返金保証制度で、細かいルールは区々ですが、概ねこんな仕組みです。

 ネットで購入した商品の価格が、一定期間(返品受付期間内とかが多いようです)のうちに、値下げになった場合、「申請があれば」、その差額を返金する、というものです。うるさい消費者の多いアメリアならではの仕組みです。ちなみに、アマゾンの場合、なんと、一日で、8000万件(タイプミスではありません。ネットならではの仕掛けです)の値付け変更がある、というんですからスゴいでしょ、と私が自慢しても仕方ないですが・・・

 で、そのためには、購入者自身が、購入した商品の値下げ状況をこまめにチェックし、その都度、業者所定のメールフォームで、申請する、という面倒な作業が必要になります。

 そこにビジネスチャンスを見いだして、事業を立ち上げる、というのが、これまたアメリカ的ですが、そのサービスの名は、Paribus(パリバス)といい、2015年の5月に、本格サービスを開始しています。

 消費者と、通販業者(現在、このサービスに加盟しているのは、アマゾン、ウォールマートなど18社)との間に立って、先ほどのチェック、申請などの消費者側の手続きを代行する一方、事実確認、返金振込など業者側の作業も面倒みようというわけです。

 サービスを利用するには、最初に、指定のオンラインメール(Gmailなど)と、利用する業者のアカウント(いずれもパスワードを含む)を登録するだけです。あとは、システムが、利用者のメールを見にいって、購買履歴をチェックする一方、期間内に値下げになった商品のチェックも自動で行い、両方のデータのマッチングを行って、値下げがあれば、業者に連絡し、業者から購入者の取引口座に返金させる、という流れになります。スマホでのお知らせ画面です。


 返金額の25%がサービスを提供している会社に入る仕組みで、なかなかうまいことを考えるもんだなと感心します。

 先日も、アメリカのニュースが、このサービスを取り上げていましたが、小さい子供のいるいかにもニューファミリーみたいなのが登場して、「この1年で、30アイテムほど購入したが、400ドルほど返金があった」と嬉しそうにしゃべってました。ふ~ん。

 パスワードも含めた個人情報は、暗号化など厳重なセキュリティ対策を講じている、というんですが、仮に日本でサービスが始まっても、私なんかはとても利用する気にならない。でも、ニュースで取り上げられるくらいですから、アメリカでは商売順調なんでしょうね。

 通販業者にとっては、「余計なお世話」をするサービスでしかないと思うのですが、「良心的な業者である」というイメージアップにはなる。また、購入者も、購入直後の値下げで、悔しい思いをしなくていい。それが、販売増につながるが期待もできる・・・・というわけで、今のところは、関係者一同、めでたし、めでたしみたいです。

 いかがでしたか?次回をお楽しみに。